「魔の3ロック」

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「魔の3ロック」

1、過剰な薬物投与や不適切な薬剤の投与で行動を抑制する「ドラッグ・ロック」

2、身体拘束を行い身体活動に制限をかける「フィジカル・ロック」
3、指示や禁止等を強い口調で伝え抑圧する「スピーチ・ロック」



介護関係者であれば、聞いた事がある人も多いと思います。

高齢者虐待防止法の施行後約10年で、介護施設の中において(1)(2)はだいぶ減ったと感じています。

厳密に言えば、施設玄関に鍵がかかっているのは(2)に該当すると思われますが。

そこはまだまだ課題を残している現状があります。

 

(1)(2)を受けている人の状態を想像してみると「人としておかしい」と感じる人は多いと思いますし、そのような倫理観、価値観が広まったのだと思います。

 

くせ者は(3)の「スピーチロック」で、これが未だはびこっています。

滝子の施設でも「ダメですよ」くらいの言葉までですが、時々聞く事があります。

前回に続きお恥ずかしい話ですが・・

 

「ダメですよ!」

「やめて下さい!」

「何回も言いましたよ!」

「座ってて下さい!」

「何やってるんですか!」

 

当等の言葉達ですが、その場で「言い放って終わり」のような感覚ですし、そんなに入居者・利用者に「ダメージが及ばない」「悪影響が少ない」と勘違いしている場合もあるでしょうし、「悪い事」「おかしな事」と気づいていない場合だってあるのだと思います。

職員に負荷・ストレスがかかる事で「つい」「思わず」「悪意はないけど」等の状況で出てしまう事もあります。

または、職員自身が「素」な状態のままで、「専門職」「プロ」として演じる事ができない場合もあるでしょう。

もちろん、それらは「おかしい」という倫理観を伝えきれていない組織側にも課題はあると思うのです。

 

いずれにしても、一見(1)(2)と比べて、当事者が継続的に「非人権的な扱い」を受けているように見えないので罪悪感が感じられにくいのかもしれません。

 

しかしスピーチロックを受けると、心を傷つけたり、主体性を奪ったり、ストレスがかかったり、認知症の進行に繋がる事になってしまいます。

また、慣れの中で(1)(2)の行為に波及してしまう事だってあり得ると思います。

 

いずれにしても、非人道的なアプローチだという事を肝に銘じて、専門職としての立ち振る舞いを意識していきたいものです。

職員個人も会社組織も、私達介護の専門職として、あってはならない「魔の3ロック」からの脱却を目指す時代です。

 

私達の仕事として「ロック」をかけない所に専門性を発揮すべきです。

「ロック」をかけるのではなく「ロック」を外す側です。

 婆さん’ズ 開放運動の戦士「和田行男」に続かねば、介護に未来はありません。

真摯な態度で「ロック」からの開放運動を進めていきたいと思います。

 

滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治

2015年08月10日 Category:スタッフ日誌