理数系

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ある日の夕食。

焼きあがった魚 鯖4切れと鮭5切れがテーブルに並んでいます。

 

さあ、誰がどっちを?という段階で、一人の入居者さんがくじ引きを提案されました。

「希望は言っちゃダメ!」「鯖カードを引いたひとは鯖、鮭カードを引いた人は鮭!交換・譲り合い・分け合いは一切禁止。いいねっ!」

 

。。。

 

きっと「平等であること」を、この方なりに考えての提案だったと思うのです。

皆でくじを引く、ドキドキワクワク感を味わうもひとつかなあとも思いましたが、どうも他の入居者さんの顔色はワクワクというより、やや凍り気味。

そしてこの方法で決めるとなると・・・

 

  • 全員が希望の魚に当たる確率 ?パーセント 計算はできないですが、なくはない。
  • 全員が外れる確率  こちらも、なくはない

 

提案した本人ですら、希望を言わない覚悟を決めてのこと。

この案を崩すのはなかなか難しそうです(汗)ちなみにじゃんけんも「だめ!」ということでした。

くじ引きのスタイルだけはどうしても、提案者の頭から外せない模様!

そのスタイルを変えずに、食べたい魚にありつける確率を、最大限に上げる方法はないか?

ひとつだけ思いついたので・・・

 

職員「そうだ.ね。くじ引きだね。1番を引いた人から順に、欲しい魚をもらっていくで、言いっこなしね」

魚カードを数字カードに差し替える提案、これは一応OKがでました!

 

この場合

 ■ 全員が希望の魚を獲得できる確率  先ほどより上がるっぽい

■ 全員が外れる確率 0パーセント! 最低でも4人が当たる

 

食事が始まり空気が変われば、分け合う姿も自然と出てきたりもするので、その辺も期待しつつ・・・

そもそも買い物に出る前に、一人一人の希望 肉?魚?何の魚にする?って聞けばって話でもありますが、「今日は店に行って、目で見て、新鮮なものを選んでこよう!」という展開になることも多く、買い物チームの見立てと配慮でその日は2種類の魚になったわけです。

 

余談ですが「介護」というと、一般的には感覚的、情緒的なイメージが先行して、理数・物理系のイメージってほとんどない?ですかね~

私としては朝から晩まで、その生活支援の中で、けっこう計算づくめな感じがあります。

 

この日のくじ引きみたいに、ほんとの計算が必要になることもあれば、他にもいろいろ。

 

一人では絶対無理だけど、この人とこの人(のもっている能力)を足したら、手助けなしにおかずが一品できあがったり

 

人間関係においては、足し算引き算だけでなく、ベクトルみたいな作用までもが、関係しているようにも思えます!

 

起床の介助、朝食作りの段取り、代行部分の家事などを同時に一人の職員でこなす(職員にとっての)夜勤明けの作業などは、計算なしには、ほとんど成り立たないって感じます。

想定外のいろんな出来事も起こるので、途中で計算式も変えたりして、最終的に導き出せたものが、思い描いていた答えに近かったりしたときは、とてもとても嬉しいです!これはけっこうな、やりがいだと思っています。

 

気持ちを察することができる「想像する力」。

この想像をも、計算式に組み入れ・組み立てる「創造する力」も鍛えていきたいな~と思います。

 

滝子通一丁目福祉施設 職員

駒木根純子

 

 

 

 

 

 

 

2017年01月13日 Category:スタッフ日誌