頭を突き合わせて(前)

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最初にご利用のご相談頂いた時の話です。

毎日、喫茶店に出掛けていてお昼前から夕方までずっと過ごしている。

誰かと約束しているわけではなく、馴染みのお客様ばかりなので、

行けば、誰かに合える場所。

歩くにも近すぎず、遠すぎず、ご自分で歩いて出掛け、

ご自分で歩いて帰って来れる丁度良い場所。

kkk

ご家族と同居の方で、特に大きな病気はありません。

 

ここまで聞くと、「素敵なご自宅での生活」

と勝手に思っていました。

 

家族側の視点では、

お風呂に入れていない。

なかなかトイレに行かれない。

時々、衣類が、汚れたことに気が付き、一人でこっそり着替えているが、

汚れた衣類をタンスの中にしまわれ、また着ている。

その他に細かい事も、もろもろとありましたが

1番心配されているのは「清潔」でした。

 

ご自宅でトイレの声掛けをしても、

「汚れてないから、いいよ。」

「今、トイレ行きたくないよ。」

と言われ、それ以上強く言う事も難しいそうです。

自宅なので、汚れたら洗濯して掃除する。

頑張る。とご家族様も思ってみえたようです。

jjj

 

そんな中、別の立場の方から、家族へ話があがってきました。

「お宅のおばあちゃんが喫茶店から帰った後、椅子がベタベタだった。」と。

毎日、何時間も座っていて、お店も汚してしまって、申し訳ない。

そう思うのと同時に、こんな感覚が芽生えてきました。

「おばあちゃんが外でどんな風に見られているだろう。」

それを考えて、胸を痛めてみえたお嫁様の、

悩み疲れたお顔は今でも思い出されます。

 

「デイサービスなんていかないよ。」

と言われていると聞いていましたが、

「1度、遊びに来ませんか?」

とお誘いし、意外にも、ご利用して頂く事ができました。

初日から入浴して頂くこともできました。

 

ご家族様の、お悩みにすぐにも答えたかったのですが、

関係性を作る為、ゆっくりと時間をかけさせて頂き、

リハビリパンツを使用して頂く事にも繋がりました。

 

最初は週に2日のご利用でしたが、3日になり、4日になり。

 

ケアマネさん、ご家族様と「頭を突き合わせ」1つずつ進めて行きました。

三歩進んで二歩下がる。手さぐりの状態が続きました。

 

さあこの方の暮らしぶり、支援のアプローチはどんなふうになっていったのでしょう。

その後の経過は、次回へ続きます。

 

クラブ 雁道デイサービス

日置 紀子

 

2018年09月19日 Category:スタッフ日誌