「大逆転」のススメ Vol.23
【自立・支援・代行・管理】
大逆転の痴呆ケア 和田行男著 中央法規出版 P196~抜粋
1・自立
自分のことが自分でできる、他者や周りの環境との関係性も作ることができる状態を「自立」とする。必ずしも完結した状態ではないが「大したことではない」と判断した場合もこれに含んでる。
2・支援
自分でできるわけやないけど、職員が代りにやってしまわなあかん状態でもない。
つまり何らかの支援が必要な状態を「支援」にする。
同じ婆さんでも日によって時間によって気分によって天候によって違う。
同じ婆さんに、同じ時間・同じ声かけをしても、声をかけた職員によって響き方はまったく違うこともあり、「支援」は非常にやっかいな状態やな。
3・代行
支援をしても婆さん自身ではできないことを、本人に成り代わってだれかがやってあげる必要がある状態を「代行」とする。
「自分でできる」から「支援を要する」状態になり、やがて「代行を要する」状態になるんやけど、痴呆という状態にある人は、最初から「代行されてしまう」ことが多いのが現実やな。
単純な「代行」にならないように「自分の生活行為は自分でする」という当たり前のことを大事にする視点で見極めんと、専門職がかかわったばかりに婆さんたちがダメになったと言われてまうで。
4・管理
管理とは、自分の力でできようができまいが、職員側で「管理」してしまわなあかん事柄やな。たとえば薬に関することでいうと、その人自身が内服や薬の管理を自立してできたとしても、共同生活場面ではその人の薬が他者に渡ってしまうことも考えられる。また、内服完了まで見届けなければ、本当に薬を飲んだかどうかを判別することもできひんわけで、こうした事柄は管理せざるを得ない。
この「点」は自立やけど、この「点」は支援が必要、あるいは危険が高い「点」は管理しなあかんというように、ひとりひとりの状態に応じて必要な支援策がいるということになるし、逆にいうと必要な支援さえあればいいともいえるわけや。
以上
私たちは利用者・入居者の有する能力や状態を、生活の中のあらゆる行為や関わりの中で、この4つの視点に分解して見極め、必要なところに必要な関わりをピンポイントでするという事を改めてチーム全体で意識・見直していかねばならないと、今年を振り返って思いました。 チーム力を上げるためにも、この視点を大切にしていきたいものですね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治