「喧嘩中断」グッズ?
たまたま事務所に置いてあったものです。
これが、テーマとどう関係しているか・・・
どうしたら喧嘩中断(利用者同士の)のグッズになるか考えてみて下さい。
「認知症」はだれもがご存知の通り、「記憶の障害」が多かれ少なかれあります。
記憶の障害により、覚えにくい状態、思い出せない状態にあるが、それを「能力」と認め、活用することも支援の場面では必要となることがあります。
見出しにあるようなことは、私達でも起こり得るし、「認知症」という状態にある方々の間でも当然発生すします。
その時にスタッフはどのように動けばいいのか。
「どうして喧嘩してるんですか?」「まぁまぁ喧嘩なんかせんと」「仲良くやって下さいよ」などの声掛けや、どう止めていいのか分からず「放置」したり・・そんな場面をよく見かけます。
「怒る」という事自体は、感情を表出できない状態や環境を考えると、とても素敵な事であり、認知症になったとしても色々な感情を表現できることの素晴らしさを感じる場面でもある。「人」は他の動物と違って、様々な感情をもち、それを表現できる能力をもつ唯一の動物であるわけですから。
しかし、「喧嘩」という出来事は、記憶に残っていかなかったとしても、相手との間で起こった嫌な「感情」は残っていくし、その後の人間関係に影響を残すことになりかねません。何か手だてを打たなければなりません。
そこで私達専門職の出動です。
どうやって「喧嘩」を止めるのか・・・
そこに喧嘩の原因が明確であり、悪い方が明確であったとしても、狭い空間で共同で暮らしていく訳ですから、どちらかの味方になったり肩を持つことが良くないのはご存知の通りだと思います。本来はスタッフによる「仲裁(争っているものの間に入ってとりなし仲直りをさせること)」や、本人同士の間で「和解(争っていたものが仲直りすること)」にもっていければいいのですが、そこがうまくいかないこともしばしば・・・
そんな時は、せめて「中断(続きのものが途中でとぎれること。やめること)」をする必要があります。
今回も言い争いが勃発したのですが、それを中断できるグッズはないかと目に入ったのが「碁石」でした。
「碁石」だけを言い争いをされている方の脇の方へ持っていき、「囲碁でもやりませんかぁぁぁぁ」とわざと転ぶふりをして中身を「ザァァァァァァー」とテーブルの上にぶちまけました。
その瞬間「喧嘩」は中断。
「あらあら」「こりゃ大変」「あっはっは(笑)」
皆は大騒ぎ。 テーブルの上や床にバラバラに散らばった碁石を皆が拾い出す。
「ごめんなさい。手がすべりました。申し訳ありません。ありがとう」と謝りつつ、回収が終わりそうなタイミングで話題をすりかえる。
「今度囲碁を教えて下さいね」「それにしても今日は・・・」
5分後には、通常の雰囲気に。
私たちであれば、目の前の出来事が中断されても、事が済めば再開できるでしょう。
ところが「記憶障害」がある方はちょっと前の出来事を忘れてしまうことがあります。
もちろん個人差はあります。覚えていらっしゃる方もみえます。
しかし「忘れることができる能力」と「波の女」役員 和田行男が言っている通りで、
それを活用する支援やアプローチができるようになるとたいしたものです。
今回は「碁石」を使いましたが、過去には「バケツの水」をひっくりかえしたり、「ペットボトルキャップ」や「ビー玉」大量をばらまいたりと、その場で入手できるグッズを活用することで、喧嘩を「中断」し、注意を喧嘩している者同士から「自分」の方へ気を引き、話や場面を転換することで、先ほどの「喧嘩」を忘れていただくようにしています。
「バケツの水」をぶちまける・・・は、過去に和田行男より学んだテクニックでした。実際大事で後片付けが大変だったので、今回は「碁石」にしてみた訳ですが、大惨事であればある程、先ほどまでの出来事からの場面転換はしやすいと思います。
私たちでも、他者と喧嘩をしている目の前で、交通事故が発生したり、地震や火事がおこったりしたら「喧嘩どころではない」「喧嘩より大事が発生した」ということで、場面転換をする、せざるを得ないということと、その転換のあとは、「記憶障害の能力を活用」するということです。
もちろんその後で、喧嘩の基になっていることに普段から対処する、根本的解決を目指すことが大切ですけど。(終)
★昨日はPCの不具合にて後半をUPできませんでした。申し訳ありません。★
Published by 井