約束の地、伊勢へ!
はじめまして。グループホーム2階の和田健二と申します。
どうぞよろしくお願い致します。
(ちなみにあの認知症ケアの巨人、和田行男さんとは血のつながりはありません。笑)
さて、先日、井施設長のブログにもありましたように、三重県出身の入居者Uさんとの会話の中で「お伊勢参りに行きたい」という思いを聞き出したスタッフとは私のことです。
「思いを聞き出した」と言ってしまうと、少し語弊があるかもしれません。
Uさんは、夕方から夜にかけて落ち着きが無くなることが多く、そうなるとなかなか寝て頂けません。
何とかUさんに心穏やかに過ごして頂けるよう、スタッフみんなであの手この手と毎日創意工夫して頑張っているのです。
その日も「何とかUさんに落ち着いて過ごしてもらえないかなぁ」と思い、Uさんとお話をしていました。
しばらくすると、Uさんの故郷のことに話が移りました。
故郷の思い出話をするUさんはとてもイキイキとされ、懐かしそうでした。
「これはもっと何か引き出せるかもしれない」
と感じた私は「三重県と言えば伊勢神宮だと思うんですけど、Uさんは行ったことありますか?」と尋ねてみました。
すると、Uさんの表情がパッと明るくなり「お伊勢さん、いいねぇ。私大好き。若い頃1人でよく行ったよ」と話してくださいました。
調子に乗った私は「じゃあ今度、久しぶりにお伊勢参りに行きませんか!?」と尋ねると、「うん行きたい!行こう!」とおっしゃったのです。
その夜、私との約束を胸に、ぐっすり眠って頂けたUさんでした。
私「これは使えるぞ(ニヤリ)」・・・
その後も、度々私はこの話を持ち出しては、Uさんに心穏やかに過ごして頂けるよう努めていました。
日によって、上手くいったりいかなかったり・・・・
しかし、次第にUさんから次のような言葉が聞かれるようになりました。
「いつになったらお伊勢さんに連れて行ってくれるの?」「どうせ嘘なんでしょ?」当等・・・
私「ガ-ン!全部見抜かれてる!!」
そうなのです。施設長がブログで言っていた通り、Uさんにとっては約束を「交わした」つもりでも、私にとっては、苦し紛れの方便として、その場を「かわして」いたに過ぎなかったのです。
「このままでは嘘になってしまうなー」
「Uさん、行きたいんだろうな。でも実際行くとなると・・・」
「老い先短いお年寄りのささやかな願いも叶えてあげられないで、これが介護って言えるのだろうか?」・・・
そんなこんなが頭の中をグルグルグルグル・・・
「行ってみようか?伊勢」
その矢先でした。施設長からその言葉を頂けたのは。
「・・・そうだ!ここは波の女なんだ!」
入居者の思い、願いは可能な限り実現して差し上げる。
それが波の女スタイル。
大事なのは「そうだ 伊勢行こう」という瞬発力だ。
これを実践していこうという空気が波の女には溢れている!
それからはとんとん拍子にことが進み、ついに先日(5/22)伊勢神宮へ行ってきたのであります!!
それなりにドタバタがありましたが、結論だけを申し上げると、Uさん、参拝した時に涙を流して喜んで下さり、行って本当に良かったと思いました!
ちなみに参拝後、Uさんに「私をどこに連れてくの」「こんなとこ来るんやなかった」と、どやされました。
予想通り!笑
でも、それでいいんです!
その一瞬に涙を流してまで喜んで頂けた、そのことを大事にしたい。
そのことにこそ認知症ケアの醍醐味があるんだと思います。
Uさんと知り合って、これまで色々なお話をしたり、色々な場面で介助をしたり、色々とプラスのこともあればマイナスのこともあったりして、今日まで何とかくることができました。
Uさん、入居者・スタッフの皆さん、本当にありがとうございましたー!
長文・拙文 失礼致しました。
グループホーム2階 和田健二