言葉を変え、意識を変える①

Published by i

ある月刊誌を出している組織から原稿の依頼が来ています。

依頼のテーマは「無断離設(離園)」の対応についてです。

(「断りもなく施設を離れてどこかに行こうとされる」の略語)

 

この表現を聞いて違和感を感じることができるでしょうか?

最初にこのテーマで考えていかなければならないのは、入居者・利用者側の問題ではなく、私たち介護業界側の問題であると捉えることが必要なのだと思います。

 

最初は入りたくて入った訳でない施設。使いたくって使っている訳でない施設。

ご本人の意思とは関係なく身内や事業所が主導し、そのような状況に追いやられているご本人の立場・気持ちを汲んでいくところが大切なのだと思います。

 

「その人らしさを大切に」等の、目の前の困っている方に手を差し伸べ、寄り添い、力にならせて頂きますといったニュアンスの素敵な施設理念を掲げながら、このような表現をしていていいのか?ということです。

 

まず「無断」という表現、意味について考えてみましょう。

辞書によると、「断る(許可を得る)必要がある場合に断らずに行うこと」とあります。

認知症という状態にあり、施設を利用・入居されている方の内、どのくらいの方が「許可を得る必要がある」と分かっていて、その理解の基で「断らずに」出て行っているのか?ということです。

 

記憶の障害があり、正しい理解や判断が難しくなっていく状態にある方が、施設側の意図と異なる事をしても当然であり「そりゃそうだよね」と捉える事が大切なのではないでしょうか。

 

正しいニュアンスとしては、「勝手(相談しないで自分の考えで行うこと)」の方が近いのかも知れません。

どちらにしても言われた当人には聞こえの良くない表現ですね。

 

不本意ながら認知症という状態になられ、困られている方々に対する表現・意識を変えていかねばなりませんね。

いかがでしょうか?

(続く)

 

滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治

いつでも出入り自由な空気感に加え、毎日出かけてみてはいかがでしょうか。

人は抑制すると、よけいその思いが強くなるものではないでしょうか。

写真は脱走計画をボソボソされている場面ですが・・(笑)

2014年09月17日 Category:スタッフ日誌