トイレを認知(中盤)

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前回のつづき

センサーではありませんでした。ここの流すボタンは壁についているリモコンでした。

最初から壁のリモコンだと思う方の方が多いとは思いますが、自分は先にセンサーの部分に目がいってしまいました。

思い込みは怖いものです。

洗ったり乾燥させたりとたくさんのボタンがついているだけなので気がつかなかったが、様々な機能のボタンの一番上に「流す」というボタンが付いていました。

通常よく使用する環境ではウォシュレット機能と、「流す」ボタンは別々になっています(自分の場合)。(下記写真参照)

この環境に慣れているので、上記写真のリモコンには「流す」ボタンが付いていないと、習慣から思い込んでいたのでしょう。


 
ある程度普通に生き、色々な環境に適応する力もまだ備わっていると思っていますが、今回のトイレ環境には???で少し不安を覚えました。

これを機に、自分の中でのバリエーションが広がったと思うので、対応できる幅は広がったと思いますが、これは普通の状態です。

これが高齢者や認知症といった状態になって果たして使いこなせるのか?

どのように思いますか?

認知症になったとしても、繰り返し行う生活行為の中で新しい事を、頭でも体でも覚える力は有していますが、ここまで多機能化が進むトイレ事情に対応できるのでしょうか。

最近増えたウォシュレット機能はさる事ながら、座ると流水音が流れたり、臭いを吸ってくれる脱臭機能があったりと、いたりつくせりです。

しかし、認知力が落ちてきている方にとっては、色々な音やアクションがあるトイレは混乱したり、時にはオドロキを感じる事もあるのではないでしょうか?

以前の施設のウォシュレット機能付きトイレで「ギャー」と叫んでいたお年寄りがみえた。

何が起こったかは、ご想像の通りだと思います。「流す」ボタンと間違えてウォシュレットボタンを押されたのです。

自分の予想していた事とは違う事が起こった訳です。

予測できていないのに突然お尻に向けて温水が噴き出したら誰だってビックリしますよね!?。

何事かと扉を開けたら・・・・思わず立ち上がってよけたお年寄りもビックリながら、トイレの中から噴水のようにきれいなアーチを描きながら、自分に降り注ぐウォシュレット!

こんな事になってしまう今のトイレの多機能化も良し悪しです。

多くの人が集まる、きれいなショッピングモールのトイレは、障害者やお子様連れ向け用のトイレが整備されており一見人にやさしく見えるようだが、認知力がある人を対象にした作りではないだろうか・・認知力が落ちてきている方の事をどれだけの企業が考えているのでしょうか?




トイレの入口にしてもしかりです。

今回のトイレは青と赤、男女マークで区別されており、入口で迷う事はなかったが、最近増えてきているデザイナーズトイレ的なものは、モノトーンであったり凝った文字や形をしていて、どっちが男性用女性用なのか何回も確認しないと分からないような入口もたまにみかけませんか?

手をかざすと自動で流れる洗面の蛇口、入ると自動で点灯する照明・・・そして自動消灯機能により、そこにいる間は消えない照明。

人が目や頭や体を使ってしてきた当たり前の一連の行為を、どんどんと自動化するのが本当にいいのでしょうか?

照明のスイッチを探したり、蛇口を認識し右にひねるなんて体に染みついた行為を当たり前に発揮する場面を奪ってしまっていいのでしょうか?

今は便利そうにみえても、この国は高齢化率が40%を超す社会に向かっていますし、認知症の方も益々増える社会だというのに・・・

自動多機能化になれた私たちが高齢になり認知力が落ちてきても、自動多機能化に体が慣れているので手続き記憶により、ある程度は対応できるかもしれませんが、問題は自動多機能化に加え、種類(色、形、設置場所、表示形式等々)も様々になってきているという事です。

新しい事を覚えたり、環境の変化への対応力が落ちてくる(できない訳ではない)認知症の方の特性に、社会環境が合わせていく必要性が今後の日本では必要なのではないでしょうか?

長くなりすぎました。次回へつづきます・・・またまたすいません(笑)

Published by 井

2012年03月15日 Category:スタッフ日誌