繋ぎ
「私(左側)最近あの人苦手なの(右側)」
写真とは別の日ですが、対象者がみえない時にぼそっとつぶやかれました。
私達の仕事は、有する能力に応じ、「補い」「できるように」といった介護や支援の仕事だけではありません。
「人」と「人」が、共に織り成して行けるように、関係性を「繋ぐ」のも仕事の一部です。
それは「人として生きる」ということを目指していく上で必要なことだと思うのです。
相性や症状、状態の違いにより、アプローチしても埋まりにくい事もありますが、諦めずにあの手この手を尽くしていきたいものです。
関係性を取り戻す、繋ぐために必要なアプローチの一つは、「共同作業」
同じ目的のために同じ作業を行い、「できた」という達成感の積み重ねが大切だと思うのです。
「買い物」「袋詰め」「調理」「片付け」「掃除」「洗濯干し・たたみ」
そんな生活行為を中心に、共に在り、共に活動し、共に食べ、共に語り、共に笑う
そんな体感的行為の積み重ねが関係性構築には欠かせません。
そこには「隠し味」「スパイス」が必要で、その働きをするのが「職員」となります。
それぞれが、要介護状態、認知症等にある方々ですので、関係調整や仕掛けをしないと、仲良し、仲悪、単独に別れてバラバラになっていくばかりです。
そして狭い空間の中で、互いに嫌な感情を持ち合いながら、表情冴えなく、言葉も交わさず、ただただそこにいるだけといった空間になってしまうかもしれません。
職員にも個性やカラー、雰囲気がありますので、皆同じようにとはいかないまでも、「意識を持ち」「役者を演じ」関係性を取り戻す、作る役割を担えるようにしていく必要があるのだと思うのです。
そんな時のコツの一つ?に、対象となる相手のいないところで、「○○さん(苦手だと思っている人)が、△△さん(苦手だと言った本人)のことを、すごく褒めてたし、感謝している話をしていましたよ」と伝えてみたりします。
人は「直接」感謝されたり、良く言われる事も嬉しいものですが、その効力を倍増する方法として、「○○と言ってましたよ」と影でうわさ的に言われたかのように伝える「間接」的な言葉の方がより響くものです。
その逆もそうで、間接的に聞く悪口の方が気になるしこたえるものです。
あの手この手で、良いスパイスをきかしてそのフロア内の空気感、人間関係を整えていけたらと思います。
「ありがとう」が言えない方は、「ありがとう」を代弁する必要もありますよね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治