達成感
ゴールデンウィーク初日の昨日。
グループホーム入居者さんもウキウキしてか、朝8時から1人外出され行方不明の方が出ました。
すぐさま、いるスタッフで捜索を開始。
9時から出勤の日勤者も、施設に来ず直接探しにまわります。
入居前は、しょっちゅう警察のお世話になっていたYさん。
保護される確率が高いとの見立てで、早目に警察へも届出ます。
注意力はあるていどおありの方なので、交通事故の確率は少ないと思います。
しかし、体力・体調面では不安がある上、当日はかなりの強風。
転倒や体調悪化が考えられます。
とにかく発見を急がねばなりません。
自分も外せない訪問業務をこなしつつ捜索に動きます。
なんとなく直感で南の方面を中心に、
行きつけの喫茶店
近所の喫茶店
以前よく世話になった、いきいき支援センター
以前通っていたデイサービス
約3km離れた、以前の自宅マンション
その道中の家や道端にヤマを絞り探しました。
他の皆も方面を分け、聞き込みやあたりをつけながら自転車で探し続けました。
入居前後の行動パターン予測から、喫茶店やタクシー利用は十分考えられる方です。
社長も加わり、捜索を続けること3時間。
依然、発見の情報がありません。
以前は送迎車が到着前に自宅を出て、デイサービスになかなかたどり着けなかったYさん。
「今回は施設を出て自宅に向かうのでは・・」
どうしても頭の中で「自宅」というキーワードが離れません。
再度、行動予測を立てイメージしてみます。
約3km離れた元自宅に、迷いながらも交通機関を利用し向かうと30分~45分。
1回目はその時間帯に自宅前で待ってみましたが、現れず・・・
途中で喫茶店で休憩しながら、ゆっくり徒歩で向かうと・・2時間~3時間。
そろそろ11時で3時間になるので、2回目の自宅張り込みに向かいました。
元自宅は2階なので、エレベーターで2階に上がります。
そしてエレベーターのドアが開くとそこには・・・
「!!!!!!!!」
Yさんの姿がありました。
Yさんは、下に降りるつもりでエレベータを呼んだのでしょう。
本人さんを探す職員と
行き先を探すYさん
同じタイミングで、エレベータのドアの前で鉢合わせです。
エレベーターの扉が開く瞬間や、Yさんがこちらを見て微笑む姿が、スローモーションのように流れたドラマチックな場面でした。
「こんなドラマみたいなシーンが起こるなんて・・」
驚きと喜びと達成感を感じながらも、そこはプロ。
冷静に「Yさんお迎えに着ましたよ。行きましょう」
と振る舞い、車へ案内し乗り込んでもらいました。
それにしても会えた時、いい顔をされていました。
施設や職員から離れ自分の頭と体一つで社会の中で行動した3時間。
そんな時間はどのくらいぶりでしょう。
Yさんにとっては、「有意義で達成感」のある時間であったのだと思います。
いや~本当によかった。
3時間の経過の後に、ピンポイントで会えたことに感動の場面でした。
自分もYさんも達成感いっぱいの空気が流れる社内で会話が弾みます。
無事に施設へ戻り、皆も喜んでいます。
そして午前中にして「その日の仕事は終わった!」と勝手に思っている自分がいました。笑
戻った後はバイタルチェックに加え、入浴による体の傷の確認。
表情や会話の内容より、メンタル面への影響。
持ている荷物や財布の中身の把握。
いろいろ情報を集めながら、Yさんの無事を確認します。
そして猛反省するとともに再発防止をしっかりしなくてはなりません。
そして万が一に備え、何回か尾行による行動パターンの把握の機会を設けたいと思いました。
1人で街の中でどのように行動しているのか・・
発見報告をしたデイの職員さんは「まだ自宅に帰れるんですね!?」驚いていました。
「イザ」という時は、情報を基に予測力の精度を高めておく材料が強みになります。
あれこれ考えながら、暮らしの豊かさと、リスクに備えたいと思います。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
GWの中、捜索に本気モードが感じられた警察に感謝です。
「Yさんの匂いのあるものありますか?」
警察犬の投入の動きもありました。
見てみたかった気もしますが・・笑