対処(後)
(前回の続き)
今回の対応で考えたのは、「怖くて・・」という職員本人の気持ちを、一旦は中心に添えようと思いました。
前回書いたような倫理的なものであったり、介護職の使命であったりというのは、私たちの仕事の土台ではあります。
しかし自分を傷つけたり、自分を犠牲にしてまで行ってはいけないように思うのです。
本来は、そのような状態に追い込まれないように、原因追及と対応力の向上を目指すべきですが。
しかしこの方の今の心境を推測すると、何を伝えても「届かない」「響かない」という状態に追い込まれている感はありましたので、一旦は職員さんが働けるための条件を可能な範囲でかなえる必要があると判断しました。
その先で、有効なアプローチ方法を考えたり、対処法を伝えたりしながら、「挑み」のモチベーションがアップするように関わっていきたいと思います。
という事で今回の夜勤の時には簡単ですぐできる事で、対策を考えました。
まず原因の一部に、空腹=イライラの基ではないかと推測をたてました。
食欲は旺盛な方で、食後に機嫌が悪いのをあまり見た事がなかったのです。
現在の体調としては、肥満や過栄養による不具合のリスクは低い状態なので、捕食やおやつをタイミング良く出すよう助言させて頂きました。
そして、「いつでもフォローするので電話ください」と、職員の安心感に働きかける声かけを多くしました。
翌朝、夜間に連絡がなかったのを心配し、朝早めに連絡をしたところ・・・
「言われたとおりにやったら、しっかり睡眠されたし、機嫌も悪くなりませんでした!!」
と報告してくれました。
そして出勤してその職員の表情を見ると、晴れやかな顔をしていたのです。
そんな職員の姿をみると嬉しくなります。
このうまくいった時の達成感というか、やりきった感というのがとても大切な仕事です。
そのような成功体験を積み重ねる先に、苦手意識の克服や、改善意識が育まれるのではないかと思います。
苦手な事から逃げる、離すという安易な方法で対処するのではなく、いろいろ先回りしながら、うまくリードしたり、うまくやりきれるようにサポートする方法をもっと実践していきたいと思います。
別の利用者さんで、入浴支援が困難な方には、入浴アプローチの途中で交代して「もっていき方によっては入ることができるんだ」という体感的理解を感じてもらったり・・・
そんな成功体験を導き出せるようにしながら、職員さんのスキルアップやモチベーションアップを図っていきたいと思います。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治