心が動く
なかなか入浴が出来ていないNさん。
今月に入り、入浴回数は、2回、前回入浴したのが5日間前。
Nさんは入浴支援は、男性職員の介入が難しいため、女性職員が出勤の時にお誘いしています。今日は、女性職員が出勤しているので、絶好のチャンスです。
何とか入浴していただこうとアプローチ開始。
1回目
たわいもない話をしながら、おしゃべりしていると、突然「今日は風呂に入らんよ。」と・・・。
こちらの作戦?を見透かされていたようです。無理強いもしたくないので、ひとまず引く事に。
2回目
今度は、素直に前回入浴から5日間、入浴されていない旨をお伝えすると、
「汗もかいていないから大丈夫!」とまたまた作戦失敗。
3回目
三度目の正直です。雑談しながら糸口を探す。
Nさんは、日頃から首の凝りと頭痛に悩まされております。
首や肩をマッサージしながら、
「首の凝りは辛いですね。半身浴や入浴で体を温めると血行が良くなって首の凝りも緩和されるかもしれないですよ」とさりげなく?入浴の方に話を向けてみました。
すると、しばらく考えこまれ、「そうか、それなら入ってみようかな。夕食後に」と、入浴することを承諾していただきました。
これで一安心と思いきや、
夕食も終わり、一段落した所で、女性職員がNさんのもとへ、
何やら雲行きが怪しい様子。
隣の席のHさんとヒソヒソ話し。
さりげなく聞き耳を立てていると、
Nさん「Hさん、お風呂毎日入ってる?」
Hさん「毎日は、入ってないよ。」
Nさん「そうでしょ。私も毎日入るのは、身体がエライんだよね」
会話を聞きながら、頭に『?』がついた私。
しばらく様子を見て、再度アプローチの開始。
よくよく、話を聞くと「お風呂に入るまでが、おっくう」との事。かくいう私も、お風呂は面倒なので烏の行水です。 気持ちは分かるが、何とか気分を変えてもらおうと、マッサージや雑談をしながら、話をしていくと。
「じゃあ、お風呂入ってさっぱりしようかな!」とご自分でお風呂の用意をされ入浴されました。
入浴後のNさんに感想を聞くと「疲れた」と一言。
入浴は実施できましたが、心は動いていなかったのか?入浴に限らず、ご本人様にいかに気持ち良く毎日を過ごしていただくか、声の掛け方一つで心も変わる。当たり前のことですが、再認識させていただく事ができた、貴重な一コマでした。
グループホーム滝子通り一丁目 永田 純