支援の形あれこれ 「仕掛け」
この写真を見て何を感じるだろうか?
見た通り「一本のほうき」である。
このシンプルな道具が時に入居者の方々の主体性を図るバロメーターになることがある。
よくある場面だと、職員がお願いをする→お願いされたから掃除するといったシーンである。
そのもう一歩先には「自ら考え行動する」といった主体的で能動的な行動をどのように導き出すのかといった「仕掛け」が必要ではないか?
食事の後の床はけっこう汚れている。
そこで自分が掃除を始めるフリをする。
入居者の目の前で、目に入るように。
そしてその場に、ほうきをさりげなく置いて立ち去る。
すると・・・
入居者の方が椅子から立ち上がり、このほうきを手にとり掃除を始める。
そこには「見た→考える→判断する→行動する」といった心理・行動が働いたということであり、これこそが主体的に生きる姿ではなかろうか。
そしてそれは、入居者の方々が職員の動きをよ~く見ている証でもあると言えるだろう。
「有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように」
この国の介護保険の理念の実践の一コマではないだろうか。
職員が意図的に入居者の方々の心と体の動きを導き出す「仕掛け」も大切な支援の在り方である。
・いつでも飲めるようにテーブルの上の置いておくお茶とコップ(飲みたい時に飲む)
・見やすい所に設置されている洗濯物干しや洗濯物(取り込もうと考え行動)
なども主体的な行動を導き出す「仕掛け」の一例である。
もちろんその、「見て・考え・判断・行動」していいという主体的な姿を導き出すまでには、日頃からの地道な生活行為の反復行動の積み重ねが、「今何をすべきか、行動を起こしていいのか」等々の判断に繋がるのではないだろうか。
もちろん「主体的な姿」が確認できた時には、自分も途中から一緒に加わって行うことが大切である。
「なんで私がやって、あなたはさぼってるの?」は普通に感じることであり、共同生活を営む人間関係の中においては一緒に行うことは大切なことである。
そして終了後には「労いの言葉」をかけ合う。それが次の主体的な行動に繋がる大切なアプローチなのだと思う。
いや~しかし、和田行男的実践は結構シンプルであり、奥が深いものであるとともに、仕事をしている感のある素敵なアプローチ方法ではないでしょうか?
活動のあとには仲良くお昼寝☆
ちょっとだけね。
Published by 井