行方不明者(認知症を有する方の)1万人時代
本日のNHKのニュース番組で取り上げられていました。
1年間で1万人近くの行方不明者が出ているとのこと。
平均で毎日「26人」近くの行方不明の認知症の方の捜索依頼が出ていることになります。
そのうち何回かは、当施設からの捜索依頼も含まれているだけに関心の高い内容でした。
その内の約5.8%の559人は死亡か行方不明のままだという。
平均で毎日「1.5人」くらいの方が戻らなくなったということになります。
今回のニュースの焦点としては、「ある日、突然」ということでした。
それも「周囲が気づかずに」ということで、長年連れ添っている夫婦間でも起こっているそうです。
朝、いつもの日課通りに散歩に出たらそのまま・・
無事発見され、慌てて受診したら「認知症」の診断がついたと一例の紹介がありました。
日々の、同じことの繰り返しの生活は、認知症という状態になっても継続されやすいのだと思うのです。
そこに落とし穴があるのかも知れません。
認知症といっても、「脳血管性」の認知症の場合、その障害が起きた周囲の部位の脳の役割に対して、変化が出やすいので気づきやすい可能性はあります。
しかし、進行が緩やかなアルツハイマー型認知症(一般的に)の場合は、いつも一緒にいる連れ合いでも変化には気づきにくいという事は十分にあり得る話です。
認知症に対する知識を有していないということも、気づきが遅れる原因のひとつであると思います。
全ての国民が認知症の知識を持ち、早期発見の大切さを知るための啓蒙活動や、早期受診や定期健診といった流れの確立と、認知症になっても「なんとかしてくれる」といった安心感を、地域に提供できるような活動ができる施設や専門職の存在が必要なのではないでしょうか。
「まさか自分が」「まさか連れ合いが」「まさか両親が」という他人事として認知症を捉えるのではなく、「誰でもなる」「自分もなる」「なり得る」という心構えを持つということを前提に、この社会のありようを考えていかなければならないのだと思うのです。
自分も、自分の周りの人も、お隣同士の方も、近所の方も認知症と出会い、関わっていく社会に突入しているということです。
そのために専門職として何ができるか。
何をすべきか。
真剣に考えて、行動していかなければなりませんね。
認知症1000万人時代の到来なのですから。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治