アプローチの工夫
「味噌汁の味付けお願いできませんか?」
「そんなもんやらへん(利用者)」
日ごろから場面によっては、調理もされている方ですが、ここではNo
さてどうするか・・・
味噌のかたまりを放り込んで、
「このままほかっとけばできるかな?」
と独り言風に言ってその場を離れました。
30秒後・・
(やった! 笑)
人はその時の流れや、空気感、環境(他社との関係)により、気持ちや行動が変化する生き物です。
「お願いして、やってもらう」場面も多くあるものの、その「頼む側」「頼まれた側」という関係の一歩先にある、「主体的」な言動を引き出す事を意識するのも大切な仕事です。
そんな、どうしたら「やろか」「やらないかんな」と、主体的な気持ちや行動を引き出し、繰り返していくかが自立支援では大切な要素となると思います。
紹介させてもらった、「中途半端な状態」を作り、人の気持ちを引っ張り出すのも手の一つです。
その後、ご飯を頂く際に、
「自分の分の味噌汁よそって(つぐ)ください」
と伝えると、
「嫌だわ。おにいさんやってよ」
となりました。
小規模多機能の利用者さんですので、昼間は人が多く、関係のある方が隣で調理をしているので、自分もその空気感の中で調理をされたりしています。
しかし夕方になると、自宅に戻られる方々が減り、環境が変化します。
そうんると主体性を引っ張り出しにくくなったりします。
それでもどうしたら・・・
となると、次の手が必要です。
目の前に他のおかずがない状態でお願いしてしまったので、
「嫌だわ」
となりましたので、おかずを配った(自分で選んで持って行ってもらう)後に、
「好きなだけ味噌汁をどうぞ」
とお伝えすると、スムーズに行動されていました。
これは食べる準備の一連の「流れ」を活用したことで、
「嫌だわ」
から
「やろう」
と自然に気持ちが変化し、行動できたのだと思います。
細かいことですが、この「自分のことを自分でやる」といった体感的行為の日ごろからの積み重ねが、その先の主体的な行動につながるものだと思います。
流れか環境や持っていきかたを工夫して、「自分の事を自分で」できるように応援していきたいと思います。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治