「大逆転」のススメ Vol.6
★ばあさんず「おそうじ」★
~掃除は宝の山~
身体酷使作業、だから宝
汚れたものがきれいになっていく達成感は、だれもが感じたことがあるだろう。
ものも言えないほどの肉体疲労に心地よさを感じた人もいるはず。
しかも、だれのためでもなく、自分の、自分たちのために行う。
日常生活の中で掃除ほど面倒な作業はないかもしれない。
掃除が大好きな人にとっては何でもないことだろうが、日常生活においては、他の家政行為ではみられない身体酷使作業でもある。
地を這い、天を見上げ、中途半端な体位を必要とするがゆえに、身体にとっては宝になりえるのだ。
多くの施設で磨けば輝きのあるこの原石=掃除に見向きもしないのは、「もったいない」の一言である。
「大逆転の痴呆ケア」和田行男著 中央法規出版 P32より一部抜粋
和田の言うとおり、滝子における入居者さん達の掃除の場面は、体や脳にとって宝の山である。
みよ、この体位。
「あらあら、こんなところも・・・」
拭く、掃く、洗う、片づける時に、体の関節、筋肉、バランス、注意力等々を必要とする掃除の場面である。
腕を伸ばし高いところもスイスイ~
自分で気づいて掃除を始める方もいれば、こちらで仕掛けをしないと始めない方もいたりではありますが、掃除はその方々の有する能力を発揮する絶好の機会となる。
「こっちは私が・・・そっちは・・・」
共同生活の人間関係を繋ぐ場面でもあります。
共通の目的に向かって力を合わせていきます。
テーブルも移動するために吊ります。重い椅子も上げ下げします。
もちろん、できないことを無理やりに行ってもらっている訳ではありません。 その方々の「有する能力」を発揮して頂いているだけです。
時には仕掛けもします。
わざとオーバーリアクションで、「こんなに汚れて~」と自らが掃除を始めることも必要。
時には、入居者の方に見えないように、バケツの水をわざと振りまいて「あらら、びしょびしょになってしまったぁ」「皆さん助けて~」と雑巾を差し出す。
視覚的にゴミや水を見えるようにしたり、注意を引きつけるように声や動きを見せる。
あとは道具があれば、大切な身体酷使作業の始まりです。
そして掃除終了後には達成感と、水分を取り込む機会となります。
「大逆転の痴呆ケア」P33より。↓↓
「お年寄りにそんなむごいことをさせるなんて」と、見学者から激励(?)の言葉をもらうことがある。
確かに婆さんや職員以外の人目にはそう映るかもしれない。けれども・・・(興味のある方は本で続きを) とても大切で好きなフレーズがあります。。。
もともと、能力も知恵もある方々ですからね。
「米のとぎ汁で、下洗いするわね」
なんとエコな。。。
洗濯バサミをたくさんくっつけて・・・
「ちゃんとやらなきゃね」
でも、机の上に椅子がそのまま・・・
このうような機会をたくさん作らないといけませんね★
Published by 井