「大逆転」のススメ Vol.10
『汚くても死にはしないが・・・・・・・』
掃除をしなくたって生きていける。
汚くたって死にはしない。
だから、婆さんたちが掃除をしようという気持ちにまで職員がもっていくのは難しい。
食らうために必要な調理・買物のようにはいかないのだ。
しかも、婆さん自身がちょっとでも心身の状態が悪いと感じていると、なおさら難しい。
掃除は生きていくために必要不可欠なことではないが、その分だけ行う機会が少なく、「やらなくなるとやれなくなる」ことにつながりやすいことを知っておくべきだ。
それは、洗濯も、整理整頓も、入浴も、おしゃれも同じ。
そこが飯を食うこととは違うのだ。
「大逆転の痴呆ケア」和田行男著 中央法規出版 P31~32より抜粋
『生活に無縁の「プログラム」とは違う』
僕らは専門職であり、その人の「生活力」を維持・回復することを目指している。
可能な限り長く自立した生活を営むことができるように支援することを大切にしているだけなのである。
決してできないことを無理にさせたり、生活に不要な特殊なことをやらせているのではない。
また、それが目的でもない。
むしろそれを言うのなら、婆さんたちが自分の力を使って生きる姿を奪ってしまって、レクリエーション、アクティビティプログラム、リハビリテーションなどの美語のもと、生活とは無縁の決められたプログラムを一方的にやらせているほうがむごいことであり、虐待ではないか。
「大逆転の痴呆ケア」和田行男著 中央法規出版 P33~34より一部抜粋
今日は3階小規模勤務でした。
和田さんの言う通り、掃除をしようという気持ちにまで職員がもっていくのは難しかった。
滝子の施設がオープンした頃は椅子をどけたり、テーブルに差し込む程度で掃除を促していたのですが、どうも入居者の気持ちを動かすのが弱い。
そこである時から見た目に掃除をしている感を出すために、掃除道具を用意するだけではなく、テーブルの上に椅子を上げ、そのテーブルごとリビングの隅に寄せ広いスペースを作り掃除をするようにした。
するとどうだろう・・・参加率、参加意欲が格段に向上するではありませんか。
それから、掃除をする時は声かけや、道具を目にとまるように置いておいたりすることに加え、より視覚的に「掃除をしますよ」と訴え掛ける
大掃除もどきのテーブル移動や椅子上げ方式を心がけるようにしています。
これは学生時代の教室の掃除時間をイメージして頂ければ分かりやすいと思います。
掃除をする以外の何者でもないという時間、空間、意識のもっていき方です。
で、本日はあまり派手に掃除をすることのなかった3階でいざトライ!!
3階の小規模多機能型居宅介護は1、2階のグループホームと違って、リビングの横に大きな食事テーブルを置ける畳スペースがあるので、椅子もテーブルも全部リビングから出してしまい、何もない床スペースで掃除開始~!!
掃き掃除、掃除機かけ、床拭きと分担すると、皆ホウキで掃く掃く、雑巾で床を拭く拭く。
皆で取り組むと、短時間で綺麗になってしまったので、その勢いで次は廊下に皆でなだれ込む。
みよ。この躍動感、一体感!笑
なかなか群れにならないと感じている(主観)小規模の利用者さん達が、施設の中でこれほどの動きを見せたのは初?久しぶり?のことではなかっただろうか。
感情の起伏がある利用者さんも自ら「ありがとうね~」「こんなに綺麗にしてもらって」(自分の家だと思っていらっしゃるようだ)と笑顔。
そして声かけに快く反応され掃除に参加。
掃除に疲れ座り出した方、歩行不安定で立っての掃除が難しい方は、別の仕事がやってきます。
椅子の座面、背もたれの消毒拭き掃除です。
次から次へと、全ての椅子が代わる代わる運ばれてきます。
そして、食事テーブル、椅子を元の位置にセットし直した後は、テーブルやクロスの消毒拭き掃除です。
清掃終了後は皆でスイカタイム!笑
皆で目的を共有し、共に活動した後のスイカは美味しいんだなぁ~
掃除は、掃除スペースを作り出し、そこに掃除をやりませんかぁ~と勢いのある風を吹かせ、皆で声を掛け合いながら行っていると自然と一体感が芽生えてくるのではないかと思っています。
達成感や心地よい?疲労感。一体感。掃除は宝です☆
掃除は派手に!が分かりやすいですね☆
「年末の大掃除だね」と利用者の声にこう返す。
「いえいえ、これは毎日やっていきましょう!!」
「えぇ~~」と悲鳴が。笑
Published by 井