「大逆転」のススメ Vol.14
「笑って終わる」
~中略~
婆さんが嫌がって怒るのを承知の上で、脱がして、拭いて、着せてをせなあかん。
ここで大事なのが、決して婆さんが怒ったまま職員が離れたらあかん。
怒らせたまま婆さんから離れたら、嫌なことをされたという出来事は忘れるかもしれんけど、嫌なことをされた気持ちは積もっていくやろ。
だからどんなに怒らせても、笑って別れられるように、僕がトイレの中でひとり芝居をして婆さんに見てもらったり、おかしな歌をうたったり・・・。
あの手この手を駆使して、怒りがおさまるだけじゃなく笑えるまでかかわるわけや。
大逆転の痴呆ケア 和田行男著 中央法規出版 P179より一部抜粋
先日、和田の研修会で同様の話をされていた。
「嫌な事をした後は、感情、記憶の一番上にいい思い、心地よさを積む事が大切やで」
「風呂やトイレの中で一番嬉しい事をする」
「いざこざは止めれなくても、その後に心地よさという感情をのせる」等々
これは現場で結構できていない、意識できていない事ではないか。
自分もできたりできていなかったり・・・忘れていたという事でもあります。
という事で、入浴に対していい感情をもたれていない利用者に早速実行。
入浴中は騒ぐ事はなかったものの、「なんにも着ていない・・」「好きにすればいいじゃないの・・」等々諦めともとれる言動がみられ、終始目を閉じ無言の入浴。
しかし服を着終わって入浴が終わった後に、「お疲れ様。終わりましたよ。いやな思いをさせてごめんね」とハグをさせて頂いた。(この方にとっては一番喜ばれると想像でますし、いつも求められるので・・笑)
すると、「ありがとね。嬉しい」と笑顔。
この繰り返しが、次の入浴のお誘いの流れをスムーズにするコツなのだと思います。
その場の感情の積み重ねが先の介護にも繋がっていくのですね。
入浴に限らずトイレ誘導もそうですし、外出支援もそうです。
このような細かい積み上げが、いい人間関係の構築の基になると思いますし、先々の介護をさせて頂く時のスムーズさと連動する事になっていくのでしょう。
対人援助の奥は深いですね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「車椅子+自転車」
スピーディー且つ、アクティブな外出支援器具ですね~