「大逆転」のススメ Vol.18
「大逆転の痴呆ケア」 和田行男著 中央法規出版 P181、182より一部抜粋
■変化自在のかかわり
婆さんたちのことを知り、婆さんたちに伝え、行動につながるようにするにはどうするか。
それには、あの手この手だけでは足りず、あの足この足、あの声この声、自分が持ち合わせた響き合わせの術を駆使することが必要やな。
なんせ婆さんたちは百戦錬磨やし、性格や人生経験+痴呆状態!だから怖いものなしやろ。
世間では通じることもまったく通じないことだらけやし、施設では相手が複数で、時々・日々変わるから難しいんや。
こんな婆さんたちを相手に仕事をしてるんやから、自分の中に自分ひとりしかいないとなると応じることができなくなるのは当たり前やわな。
自分の中にたくさんの自分をもって、それを変化自在に操れないとプロにはなれへん。
また、それだけやなく、あらゆるものを味方につけて攻め落とすようにせんと、婆さんの攻撃の前に無残に玉砕するだけやで。
~中略~
婆さんと職員との関係っていうのは、固定的でない場合が多々ある。
婆さんは僕に、医者、この子、かつて知っていたいた人、教師、恋人、マイ・ダーリンなど、さまざまな配役を与える(笑)
逆にいえば、こっちもそれに乗っかって変化自在に関係性をつくっていくから、婆さんにとってみれば理解しやすく、事態を掌握しやすい。
たとえば、指示的なことが必要なときは、社長や医者、管理者などに。
癒すときには、恋人、男、この子であったり。
楽しんでもらうときには、芸者になったり、歌手になったり。
いつも和田行男は1人やなく、なかなか忙しいわけや。
と書かれています。
私達はプロの介護職として、変化自在を活用しているか?
意識的・意図的に役を演じているか?
自分の中にたくさんの自分をもてるように磨いているか?
そのために色々なものを見たり・聞いたり・感じたり・経験しているだろうか?
百戦錬磨の方々を支え・さりげなくリードしていくためには、業務的で、固定的で、ワンパターンで、一方的な自分では難しいと思います。
入居者・利用者の「生きる姿」は、職員との響き合わせの結果によるものが多いのです。
職員Aさんが関わるのと、職員Bさんが関わるのでは、相手の発語、表情、行動が異なっているということはいくらでも起こります。
それは相手とうまく響き合わせができる「自分づくり」ができる職員と、自分のペースでしか関われない職員との違いだったりします。
目の前の要介護の方々は、私達介護職との関わりによって変化し続けます。
「うまくいかない」「できない」理由は、自分の関わり方やもっていき方、響き合わせの足りなさがそうさせていると気づき、「変化する自分」に挑んでいけると素敵ですね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
そのためにもいっぱいいろんな事を経験しようよ☆
いろいろなところに行ったり。
いろいろなことをやったり。
いろいろなことを見たり・聞いたり・読んだり。
いろいろな人に合ったり、話したり。
無駄なことは何ひとつありません。
自分の中の新しい自分をどんどん積み上げていきませんか。
そして一生懸命仕事してみてはいかがでしょうか。