「先生」
「先生すみません」
入居者、利用者からそう呼ばれる事があります。
なぜ、そう呼ぶのでしょうか?
「先生」とは
1 学問や技術・芸能を教える人。特に、学校の教師。
2 師匠。
3 医師・代議士など学識のある人や指導的立場にある人を敬っていう語。
4 自分より先に生まれた人。年長者。
5 専門家、その他の有資格者、専門性の高い人。
その他にもあると思いますが、相手からみて自分に当てはまるものはありますか?
1~4という事はないでしょう。
でも 5 の「専門家」という立ち位置に自分がいるのでしょうか?
利用者、入居者側の言動をみてみると、
1「○○さん」という名前、固有名詞で呼ばれる
2「ちょっと」「すみません」「あの~」と言われる
3「呼ばない」
4「何らかのサイン」でアプローチされる
5「先生」と呼ばれる
6「お兄さん」「お姉さん」と呼ばれる
7 その他
自分の場合、「井さん」と名前で呼んで頂けるのは、31名の入居者、利用者のうち5名です。
利用者、入居者の思考、能力から想像してみるとどうでしょう。
1 覚えられない
2 覚えにくい
3 助けてくれる人
4 親しくなりたい人
5 大切な人
6 その他
1や2は、ほとんどの方が多かれ少なかれ「記憶障害」という状態であるので当然かもしれません。
そのような自分の特性を理解し、それに適応し、社会の中でうまく生き抜くための技なのだと思います。
「先生」と呼ばれて、気を悪くする人はそういるものではありませんからね。
しかし記憶障害があっても、名前を覚えてくれている方がいるのも事実です。
人と人とのコミュニケーションは互いの存在を認め合いながら行うものです。
そのために固有名詞である「名前」をくっつけて会話をする事が一般的です。
積極的に自分の名前を覚えてもらう必要はないと思いますが、時々さりげなく私の名前は「○○です」と伝えてみてはいかがでしょうか?
職員の事をどう呼ぶのかは、ご本人の選択です。
暮らしの中でのさりげない脳トレみたいなものですね。
相手にとって、自分がどういう存在なのかも関係してくるとは思います。
きっと覚えることができる方、多いと思いますよ。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「あなた ここどこの海?」