「外見」と異なる「中身」

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昨日、観光バスで高速を走らせ、30人もの方々が見学にみえました。

認知症サポーターになられた方々の、フォローアップ講座として来られました。

 

「えっ 自由に外へ出られるのですか?」

「買い物に行くんですか?」

「自分達でご飯を作るのですか?」

「お酒やタバコもいいんですか?」

 

「ここは自由で何でもありでいいですね」

そんな声も聞かれました。

 

しかし「自由」は「危険」と、常にとなり合わせです。

「なんでもあり」がいいと思って、なんでもやって頂いている訳ではありません。

専門職として能力・状態を見極めた上で、リスクに配慮しながらも「人として普通に生きる姿」を目指しているのです。

 

しかしそれは職員の個々の力量によって、アプローチの仕方が変わり、できる範囲が変わります。

私達職員を含む「環境」や「支援」により認知症の方の生きる姿が変わります。

認知症という状態にある方が輝くのも、人としての姿から遠ざかるのも、私達次第なのです。

 

見学の方々は一見、普通の暮らしを取り戻せているような錯覚を感じられたのかもしれません。

もしかしたら私達介護職でさえ、「慣れ」の中「できている」と錯覚しているのかも知れません。

「つもりになっている」のかも知れません。

 

しかし実際のところは自分を含め、まだまだまだまだです。

まだ危険だらけの滝子の施設。

私達に入居者・利用者の「命」「人生」「暮らし」を護れるのか・・・

それはそんなに甘くない。簡単でもない。

 

それを振り返った時に、外から見学や実習を受け入れさせて頂いている場合ではないと感じます。

 

基本を忠実に、予測力を活かし、チームでサポートする。

そしていつも挑む姿勢を持ち続けれるように。

そんな支援ができるまで、しばらくの間見学や実習の受け入れを原則中止させて頂きたいと思います。

 

「外見」はまあまあに見えるのかも知れません。

でも「中身」をしっかり詰めなければいけない時期なのだとて思います。

早く期待に応えられる施設になりたいものですし、なれるように皆で挑んでいきたいものですね。

ご声援をお願い致します。

 

滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治

 

2014年12月06日 Category:スタッフ日誌