「大逆転」のススメ Vol.21
【行動を制限しているという自覚】
(大逆転の痴呆ケア 和田行男著 P122より一部抜粋)
自分自身が行動の制限を受けたらどうするか。
抑圧や差別を感じたらどうするか。
僕らには、仕方がないと諦めるか闘うかの選択肢があるだろう。
しかし、痴呆という状態にある人たちは、自分自身の力では闘って切り開いていくことができないことを、どれだけの人が感じているか。
施設で働く職員自身は、先人たちが切り開いてきた現代社会の恩恵を十分に受けて生きているにもかかわらずである。
きっと、施設の中で切り開く力もない婆さんたちを抑圧している人たちは、いつかは自分も同じ状態におかれ、人間としての屈辱を味わうはめになるだろう。
行動を制限するには、それなりに理由があってのことだと理解できなくはない。
でも、
「行動を制限してしまっている」
「非人間的な状態を強いている」
という自覚だけは失わないでほしい。
なぜなら、その自覚さえあれば、きっとそれが未来を切り開く糧になるはずだからである。
そう書かれています。
今の社会の到達点の事情、自分達の力量、施設の方針等いろいろあり、施錠しっぱなしになっている現状があるところもあると思います。
これから施錠しなくてはいけなくなる所もあると思います。
でも私達に大切なことは、
「追及をし続けようね」
「施錠する以外に手立てがなかったどうかを追及しようね」
「閉じ込めることは、専門職でなくてもだれでもできることだよ」
「家族や非専門職では思いもつかないような発想と試みる力が必要だよ」
専門職として、専門職だからこそ、
「人の姿で生きれるよう」
「人としての権利を護れるよう」
追及していく姿勢を大切にしていくための語りを続けていきたいものですね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「抜け出したものの、どこに行くんだっけ・・」