「小規模多機能型居宅介護」の醍醐味
先日、様子伺いと、散歩か喫茶店へ誘うために、クラブ滝子(小規模多機能型居宅介護)の訪問でAさんのお宅へ伺いました。
希望を伺うと、喫茶店に行くことになったのですが、定休日にて違う所を探すことになりました。
そこで見つけたのが、自宅より200mくらいの、散歩に程よい距離の和風の喫茶店です。
「たまに前を通るけど、新しく開拓するのは勇気がいって」とご本人。
じゃあということで突入してみました。
訪問の仕事内容は、安否確認、薬の服薬支援、食事の買い出しや用意、掃除に整理整頓、その他お困りごとの対応等がありますが、そのような予定されている内容をこなすだけのものではなく、訪問の度に変化する部屋の中の環境に気づいたり、火事や怪我、転倒などの危険が潜んでいないか、自宅で過ごしている時のご本人の姿はどうかなど、その場で感じ考え臨機応変に行動できるかという視点を持って関わることも大切だと思うのです。
ご自宅の中はその方の情報で溢れているのですから、五感を総動員して情報を集めたり、感じたりする中から、今とこれからの支援に繋げていけるように情報収集する必要があります。
目的は「自宅で住み続けれるように」
人は社会と繋がって生きています。
この繋がりが多ければ多い程、地域の中の見守りや理解者が増え、何かあった時に活用したり頼ったり、情報を頂けたりします。
そのためにも、地域の中での生活を継続していくための大切な社会資源を増やすことも大切だと思っています。
喫茶店の中に入り、利用者さんと話をするだけが訪問の仕事ではないということで、積極的に喫茶店のママと話をする中で、いかにご本人とママとの関係性を構築できるかということを意識してみました。
結果、ご本人とママとの共通項の話題(今回は和紙の織物)を見いだし、会話を広げ、次回に繋がるきっかけ作りをすることができました。
小規模多機能型居宅介護は、「通い」「泊まり」「訪問」のサービスを組み合わせることができるのですが、単に「デイサービス」「ショートステイ」「ホームヘルパー」の組み合わせということではなく、一体的、包括的に組み込むことができるのです。
提供させて頂く主体が1事業所なので、この3サービスの情報を統合して利用者さんの暮らしに活かしていきやすくなります。
「訪問」の情報は「通い」「泊まり」時に活きますし、「通い」「泊まり」の情報を「訪問」に活かせるということです。
互の情報をそれぞれの支援の場面にフィードバックし合うことで、ご本人の支援の質向上を目指していきたいものです。
その目的は「利用者がその有する能力に応じその居宅において自立した日常生活を営むことができるようにする」ということです。
今回の喫茶店の開拓が、このご本人の今とこれからの暮らしに広がりと豊かさをもたらすきっかけになっていく事を望んでいます。
Published by 滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治