「虐待」を考える
前々回のブログで、「虐待・身体拘束」の勉強会の記事をあげましたが、少し補足です。
家庭では色々な関係や事情があるにしても、介護現場では起こってはならないことですよね。
波の女のことでないにせよ、一緒に考えていかなければならない皆の課題だと思っています。
「残虐な待遇」の略であると言われる「虐待」とは何なのか。
調べていて一番しっくりくる表現がありました。
「立場の弱い者に対して、酷い取り扱いをすること」
「立場の弱い者」
これは子供であれ、大人であれ、高齢者であれ、人間関係の中で起こる力の差。
私達の業界においての要介護者の方は、「弱い」とは思いません。
しかし支援を受ける、支援が必要な状態であります。
スタッフからの言葉、アプローチ、環境設定に逆らう事は難しいでしょう。
その方々に「むごい事をする」ということです。
「むごいこと・・・」
身体的、精神的、経済的、状況的等の様々な状況があると思います。
第三者から見て「そりゃひどい」「それはないでしょ」「それは辛いでしょ」といったことでしょうか。
人権、尊厳、道徳、モラル・・色々と人として守り守られるべき権利を侵害、迫害されるといったことでしょうか。
「人として生きる姿」を目指すべき介護職が、他人の持つ権利を脅かすことはあってはならないと思います。
具体的には・・
・縛る、固定などして動けないようにする
・薬で気力や行動を押さえ込む
・部屋やフロアに鍵をかける
・他人の前で恥をかかされる(「おしっこ漏れたので替えましょう」と聞こえるように言うなど)
・たたく、どなる、叱る、睨む
・無視をする、放置する
・ナースコールの電源を切る
・食事、衣類、機会等々、選択肢を設けない
・オムツ交換に時間をかけすぎる(下半身の露出時間が長い)
・影や施設外で悪口を言う
私達の給料の基になるお金を支払ってもらっている方々に、むごい事をして返すことは許される事ではありませんよね。
お金をもらってむごいことをしてかえす・・・詐欺みたいなものですよね。
それは人の道を外れるということです。
今一度、自分自身と向かい合いながら、この仕事の大切さ、尊さを考えようではありませんか。
あるスタッフが言ってました。
「万が一自分がそのような事をすることがあったとしたら、この仕事を続けることはできないだろう」と。
重たいですが、それくらいの覚悟を決めて挑む仕事だと思います。
人の命・人生に関わる仕事なのですから。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治