「見慣れたスタッフによる訪問」
誰もが「自宅」を中心とする暮らしを長い間続けるが、要介護状態になると、その環境(住環境や家族を含む人的環境等)によっては、自宅を離れて施設に移り住まなければならなくなることが往々にしてあります。
そんな中で「自宅」から切り離さないで暮らせるように、「小規模多機能型居宅介護」というサービスが介護保険制度の途中から導入されました。
我が滝子の施設にあるそのサービス事業所の通称名は「クラブ・滝子」といいます。
グループホーム同様、まだまだその目的にかなった支援ができている訳ではありませんが、その目的に向かって職員一同奮闘しております。
グループホームのように住まいを移して支援を受けるものではありませんので、以外とバタバタしている感はありますが、目指している目の前の要介護の方々の姿は共通であります。
小規模多機能型居宅介護の「基本方針(基準省令62条)」は、以下のように掲げられております。
「要介護者について、その居宅において、又はサービスの拠点に通わせ、若しくは短期間宿泊させ、当該拠点において、家庭的な環境と地域住民との交流の下で、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者がその有する能力に応じその居宅において自立した日常生活を営むことができるようにするものでなければならない」
とあります。
指定小規模多機能型居宅介護は、通いを中心として、利用者の様態や希望に応じ
て、随時訪問や宿泊を組み合わせてサービスを提供することにより、利用者の居宅に
おける生活の継続を支援するものです。
小規模多機能型居宅介護には、主に次のようなメリットがあります。
・毎回、ケアプランを作り直さなくても、必要に応じてデイサービス、ショートステイ、訪問介護の3つを臨機応変に選べる
・1カ月あたりの利用料が定額なので、毎月の介護費用が膨らみすぎない。
(要介護の場合:参考)
- 要介護1……(自己負担額:11,430円/月)
- 要介護2……(自己負担額:16,325円/月)
- 要介護3……(自己負担額:23,286円/月)
- 要介護4……(自己負担額:25,597円/月)
- 要介護5……(自己負担額:28,120円/月)
プラス、朝食400円、昼食600円、夕食400円、宿泊費 1泊3000円の利用した分だけを合算します。(クラブ滝子の場合)
その他ちょっとした加算を合算したのが1ケ月の利用者・家族の利用料となります。
その他メリットとして、
・契約する事業者が一つなので、連絡などの手間が少ない
・顔なじみのスタッフや利用者との交流がはかりやすい
といったところでしょうか。
「多機能」といっても「通い機能」「宿泊機能」「訪問機能」の3機能となりますが、単にデイサービス+ショートステイ+訪問介護という訳ではありません。
一人一人の利用者ニーズに沿って在宅生活継続のため必要な3機能を「一つの拠点」から「一体的・連続的に提供」するというのが「多機能」の意味となります。
そんなサービスの中の、本日の夕方の訪問は、独居の方への「服薬支援」と「食事支援」でした。
Aさんの家に行き、服薬の支援を行い、夕食は準備できるか伺うと、「一人でスーパーまで行くのが不安」だと言われるので、一緒に近くのスーパーへ買い出しに行きました。
本日は通いの予定でしたが、調子が悪く「クラブ・滝子」に来られなかったのでこちらから訪問し、服薬支援と買い出し支援を行いました。
「ごはん(米)を食べたかったので、一人でスーパーへ行こうと何度か玄関を出たけど、頭がフラフラするのでやめて、どうしようか考えとったところに来てくれたので、助かった」と言われていました。
このような感じで、必要に応じて訪問のサービスを行うことができるのも「小規模多機能型居宅介護」の良さだと思います。
要介護状態になっても、住み慣れた「自宅」で過ごすことを応援するこの仕組み(サービス)がもっともっと認知され、活用されることを望んでおります。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治