「説得」より「納得」
本日午後、クラブ滝子(小規模多機能型居宅介護)の利用者が、服の上にパジャマを来て宿泊室より出てこられた。 リビングで過ごしている他の利用者さんから非難されないように廊下の扉を締め、スタッフに着替えを依頼。 アプローチしてみたものの、「無理です」と返答あり。
さて、どうするか・・・
「これ寝巻きですよ。まだ昼ですから脱がれたらどうですか?」と伝え、反応を伺う。
「私が何着てようと関係ないです。さぁ皆さんも寝てくださいね」と返事。
なるほど、ご本人の中では夜になっていて、寝る準備をしたということか。
着替えではないにせよ、寝るためにパジャマを着ることができるのはとても素敵な事です。
どうやら私達の現実の視点で説得しても難しそうです。
さてさて、どうするか・・
「では布団をひいて寝ますか」と一緒に寝る準備をし、寝て頂くことにした。
「さてカーテンを閉めて寝ますよ」
もちろん、このままぐっすり寝て頂く事を目的とはしていません。
現実とズレてしまったご本人の世界を、私達の現実世界に引き戻すための「説得」よりも、いったんはご本人の世界に飛び込み、付き合う事で「納得」して頂けるようなアプローチをしてみることにしました。
30分程度昼寝して頂き、その後声をかけ、「朝ですよ。着替えて朝食にいきましょう」と、もっていく予定だったのですが、20分程過ぎた頃に部屋から出てこられました。 声をかけると・・・
「おはようございます」と、ご本人。
たまたまかもしれませんが、見事朝になってました。笑
すかさず、「さぁ、着替えて向こうに行きましょう」と声をかけると・・・
「そうですね」と笑顔で服の上に着たパジャマを脱がれ始めました。
廊下ですが(笑)すみません。
「説得」より「納得」できる仕掛けは大切ですね。
その後、お風呂も誘いたいと思っていたので、さりげなく脱衣室に誘い促すと・・・
「朝風呂なんて贅沢はできません」
ごもっともです。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治