「説得」よりも「納得」

Published by i

夕食途中で席を立たれ、お手洗いに行かれた方がみえました。

途中というのは、ごはんだけ食べての状態です。

 

認知症という状態にあるAさん。

当然席にもどった時に、

「なんでごはんだけないの?」

となりました。

IMG_7740

 

そこで一応伝えてみます。

「席を立たれる前に食べられていましたよ」

 

「そんな事はないよ」と、ごもっともの返事。

ごはんがないと食事が始まらない様子で、

食事が止まったままでした。

 

「ごはん、もってきますので、先におかずから食べててください」

とお伝えするも、箸を持たれようともしません。

 

空のごはん茶碗があるからなのかと、

ごはんをよそってきますと言いながら、ごはん茶碗だけ下げてみます。

IMG_7741

「先におかず食べててくださいね」

「今日のおかずは・・・○×△で、□□□」

等々、環境を変え、話をしながら

「ご飯待ち」の状態自体を、

すっぽり記憶障害という力を借りて

なんとかごはん以外のおかずを食べないかとアプローチするも・・

箸は進まず。

 

「ご飯待ち」を忘れてくれればと思いましたが、

これは記憶障害うんぬんよりも、習慣やこだわり、順番的な感覚が

しっかりあるのでしょう。

 

何をしても、箸はすすみませんでした。とほほ

 

最後は2杯目のご飯を出してみることに・・

IMG_7742

「いただきます」

あっさり食べ始められました。

 

体重増加や糖尿病や其の他いろいろな理由により、

いつでもだれでも2杯目の提供は簡単にはできない場合もありますが、

出すだけでこれほど、あっさり解決するとは。

 

「説得」は難しいですね

「納得」のできる対応が大切です。

 

忘れてほしい事に限り、忘れてもらえないのは、

記憶障害の難しさであります。

ご本人さん視点で考えると、自分を守り、行き抜くために

必要な力なのでしょう。

 

工夫していきたいと思います~

 

 

滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治

 

 

 

2019年01月11日 Category:スタッフ日誌