「食べない」にどう応えるか
2階グループホームに今月から入居されたUさん。
入居前の老人保健施設利用より、食事をあまり食べられようとされないとの事。
生活感たっぷり、主体的に動く事もOK、食べたい物も食べれる環境により、少しずつ改善するでしょう・・・
と思っていたところ、変わらず? いや、更に食べられようとされません。
「まあどうなってもいいですわ」と食べる意欲、生きる意欲を失っていっしゃります。
「このままでは死んでしまう!」と危機感を持ち、チームでアプローチを続けています。
まずは「嗜好」の調査とアプローチ。
食べたい物、食べれるもの、飲みたいもの、飲めるもの・・
食形態や見た目、温かいもの、冷たいもの。
甘いもの、味の濃いもの。
興味を引くものあれやこれや用意。
次に「場所」「環境」の工夫。
ホームの食堂でだめなら、居室内でどうか。
事務所でどうか。
オーム内でだめなら外はどうか。
喫茶店ではどうか、食堂だとどうか。
食べるタイミングを変えてみてはどうか。
人間関係は影響を与えていないだろうか。
そして「体調」の把握。
脱水の状態はどうか。
便秘の状況はどうか。
薬の副作用はどうか。
痛みは、苦しさはどうか。
ドクター、看護師も絡めながら体調や何らかの疾患が関係していないか探ります。
検査や調整を含め体調の把握、調整を進めます。
それに加え「心」へのアプローチ。
興味のある話や事柄等、キーワードを探し活用します。
そこから活動へ繋げます。
釣りが好きならと、つり堀へ行ってみたり、つり新聞を用意してみたり。
ホームセンタやスーパーへ必要なものを買出しに出たり。
本能に絡め、エロ本に反応示されるかどうかも試してみたり(笑)
とにかく、心と体の状態を探り、いろいろな事をアプローチし続けています。
でもだいたい10個試して10個ダメ。
その繰り返しを続ける中で、10個試して1個なんらかの良い結果が得られればそれでいい。
それくらいのつもりで挑み続けないと、なかなか成果がでない事は介護ではよくあります。
好結果はまだ出ていませんが、現在点滴による脱水状態の改善で体調を整えながら、食べれる物が少しずつ出てきています。
それに加え、心を動かすアプローチとして、よく行われていたとの情報から「将棋」を準備し実施しているところです。
将棋をされている時の集中力と能力は目をみはるものはあります。
「あれがだめならこれはどうか」
あきらめずに本人の心と体に関わり続ける。
この姿勢を維持し続けるのが専門職というもの。
なんとかしたいものです。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治