これって虐待?(前)

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先日、これって虐待になりますか。

と話してくれた職員さんがいました。

 

「やらせる。」「させる。」ではなく「しかける。」「そそる。」が仕事。

それは、分かっている。

声を掛けただけでは、皆さん動いてくれないし、分かって下さらないことも。

 

とても難しい問題です。

 

職員さんの年齢によっても関係性が違います。

調理中、20代の男性職員さんだと、ご利用者さんは面倒を見てあげたくなります。

「いい?見てらっしゃい。教えてあげるからね~。」となりますが、

30代の女性職員さんだと「あーんた、そんなことも知らんのかね!」となります。

 

職員さんの体格や、しゃべり方、声の大きさ、普段の動き、関係性。

イメージもあるので同じことを、違う職員さんがしても利用者さんの受け止め方は違います。

 

一職員さんと利用者さんの関係であって、一概にこうしたら上手くいくよ。

と言う答えはないのですが、一番の近道は、その方を良く知る事だと思います。

その上で、どのように声を掛けようか。

と考えていくしかないと思います。

 

クラブ雁道では、デイに到着され、今日のお昼のメニューを決めます。

ご利用の最初の頃は、皆さん新鮮で、「牛肉!」「ブリ!」と元気よく意見が出るのですが。

毎度になると、面倒くさい(笑)。

 

「なんでもいいわ。口に入るなら。」「あんたが考えて。」などなど言われています。

「食べたい物?そんな事聞くなら、もういらない!食べない!」と言われる時も。

 

メニューが決まると買い物へ。

「寒いし、面倒だわ~。」「歩きたないわ~。」と。

 

買い物に出掛けてしまえば、「あ!これ食べたい。」

「これ大好きなの。」と皆さん楽しそうなんです。

 

さて、調理に入ります。

「面倒くさ~い。」と言う方。言葉はなくとも、

なかなか参加されない方。

 

食後、片付けに。

サッと席を立ち自分の食べた物を洗い出す方。

「面倒だな。」となかなか席を立てない方。

眠る方。

 

迎えの席の方が食器を洗いに席を立つと、すーっと静かに

自分の食べた食器を迎えのテーブルに置く方も見えます。

洗っていた方が洗い終わって席に戻ると、まだ洗ってない食器があります。

その時の関係性は色々あります。

「あれ?全部下げたと思ったけど、まだあったなあ。」

と笑いながら洗ってくれる方。

「よしよし、一緒に洗っとくわ。」と言われる方。

 

「え?ちょっと。コレ誰の!私、洗ったよ!。」と怒る方。

「ごめんね~。そこに1回置かせてもらっただけ。今から洗うとこ~。」

なんてステキな笑顔でそしらぬ顔で返しをする方。

 

最初から「さあ、洗うよ~。持ってきてね。」と全員の食器を洗って下さる方。

そうなると意外と他の方も「あんた一人にいかんわ。代わるわ。」となったり。

曜日によってメンバーが違い、いつもなら、なかなか洗えない方も、

このメンバーだとさっさと立ち上がり、洗える。

後は、体調だったり、睡眠だったり。

昨日何か良い事があった。と朝から、うきうきワクワクしているなども影響しています。

 

ご利用者さんの「面倒くさい。」本当にわかります。

なぜなら私も家に帰って面倒くさい事でいっぱいです。

かと言って職員さんが「そうよね。」として差し上げていては、デイサービスではない。

となると、何とかして、できる事は自分の事が自分でできるように支援させて頂くのが、私たちの仕事。

 

そんな時、いつもならやれる方が、「面倒だから」と言われたり、「やらない。」

と言われたら。職員はどうしたらいいんだろう。

他の利用者さんは、買い物に行く。調理する。食器を洗う。

と動いているのに、この人だけ動かなくていいの?

動けない方じゃなくて、体力、体調もできる方なのに。

 

と思うとここで、職員さんの悩みが発生します。

 

職員さん「ご自分が食べた後の食器を洗いませんか。」と声を掛けます。

 私の声掛け、「させる」に当たりますよね。

 

まずは、何でこの方、今日は洗いたくなかったのでしょう。

朝からの様子を振り返ってみましょう。

血圧や、体温などは良くても、昨夜、眠れていないかもしれない。

どこか痛いところがあるのかもしれない。

ご自宅で何かあったのかもしれない。

分からない事が増えたのかもしれない。

 

他の利用者さんや職員さんと、朝からこの方は関係性が出来ていなくて、

ご自分でも何だかよくわからないけど、つまらなかったり、

イライラしているのかもしれない。

 

朝から、そこに気が付き職員さんが、手立てを打っていたかどうか。

もしかしたら、どの職員さんもこの方と必要な事以外接する事もなく、

様子に気が付いていないとか。

 

そうであれば、この方に「洗いませんか。」

と正すことを言う前に職員さんがちゃんと仕事をしているのか

考えを正さなくてはいけないですね。

 

声の掛け方。声の大きさ。早口ではないか。表情は。

笑顔で言うのか、強く言うのか、目を合わせるのか、他の方も巻き込むのか。

「洗いませんか。」たった一言の声掛けですが、それによって

「洗わされている。」

と虐待になってしまう事もあると思います。

 

次回へ続く・・

クラブ雁道 デイサービス 日置 紀子

 

インフルエンザが流行りっています。

私事ですが、なぜか2年続けて受験生の息子がおり、とにかく体調管理。

今は大学生の為、満員電車で通うので、マスク。手洗い、うがい。

そして、十分な栄養と運動と睡眠。

試験だから。ではなく、これから社会人となり、

「仕事をする。」と言う事はどんな職業であっても、「体調管理」は大切です。

受験生を持つ家庭でなくても、普段からこれを意識して続けていかなくてはいけないですね。

2019年01月15日 Category:スタッフ日誌