わぁ!
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「わぁ! すごいね」
起床のアプローチをした時に、壁に自分の髪の影が映りました。
利用当初と比べ、ピントが合わない言動が増えてきたAさん。
そんな暮らしの中においても、自分の身だしなみへの意識はまだまだ健在。
そして影を見て判断できるということは、すごい事だと思うのです。
朝日を浴び、壁に映った影を見た瞬間に「髪が乱れている」と分かるのは、「見当」「判断力」「空間認識力」、もちろん日ごろからの「観察力」や「記憶力」がベースにあります。
すごく大ざっぱですが、Aさんの反応を分解してみます。
当然ですが目が見えています。
「影」が「影」だと認識できています。
その映りから、自分の髪がどうなっているかが想像できています。
そして「普通は・・」という状態がどのような状態なのか記憶が残っています。
その記憶と照らし合わせる事ができています。
その結果、普通の状態ではないという判断ができています。
その状態を笑いとばせるセンスや感情表出、乱れている髪に手をあてたり、声に出す能力をお持ちです。
そんな反応を1秒足らずでしてしまえる訳です。
認知症という状態にあっても、まだまだですよね。
人はどのような状態においても、有している能力はたくさん残っています。
本当にすばらしいことです。
そのような能力・脳力を認め、「人ってすごいなぁ」って思える感性を大切にしていけたらと思っています。
さりげない言動や、一瞬の出来事を分解して考え、目の前の方の能力について考えてみる癖をつけるのも、専門職に必要な能力なのではないでしょうか。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
2016年02月10日 Category:スタッフ日誌