世の中そんなに悪くない
3階シリーズが続いておりますが
続きまして3階小規模多機能町上です。
と書くと何か小規模で多機能な人だと思われそうなので、小規模多機能型居宅介護・クラブ滝子の介護職員町上です。
先日社用車のメンテナンスのため外出する用事があり、利用者Aさんにお声をかけて車で30分ほどかかる営業所まで一緒に同行していただきました。
波の女では十分な運転経験を積んだ介護職員が、日々送迎で車を使用しますが、その車両のメンテナンスを地域のご縁がある車屋さんにお願いしています。
Aさん、体は大変お元気ですが、上手く言葉で表現することが難しく、文字にすると
「#さ$とう%ま&まですか?」
という感じです。
知識や経験がない方が突然話しかけられると、びっくりされるのではないかと思います。
また、気持ちや行動が急に変化することが頻繁に現われ、業界用語でいう離設欲求(9月18日19日の当ブログ参照、パソコンの漢字変換でもやっぱり出てこないですね)の高い方で、行方不明になるリスクを減らすために常に腰にGPSを装着しています。
他の方と比べ、外出支援のハードルが高い方です。
なぜAさんに同行をお願いしたかというと、
1 いつも外に出ていこうとされるのなら、可能な限り少しでもその気持ちに応えるため
→外出ドライブは楽しんでいただけたようです
2 施設内ではなく、職員と1対1で施設から離れた所になると、どのように行動が変化するのか見極めるため
→この時は営業所でコーヒーを出してもらい、20分ほどソファでくつろがれましたがその後は外に出られました。 福祉施設という環境だけが外へ出ていく要因ではなさそうです。
3 施設内にいて、対応が滞ると外に出て行かれるので見守りが必要になり、他の利用者への支援に影響が出てしまうため
→職員目線ですがやはり全体の支援バランスは大切です
4 社会がこの方に対してどう反応するのか見極めるため
他にもなぜ外出をするのかは常に考えるべきことではありますが、とりわけ4番は僕にとって大きな関心で、どれくらい認知症の諸症状が介護施設という環境外で受け入れられるのかを常に気にしています。
ことあるごとに外に出るということに挑んでいる(株)波の女ですが、いつも僕の心の支えになるのは、いざ外出中に利用者さんの対応に困っても「大丈夫?」と声をかけていただいたり、心配して手を貸してくれたりする方が世の中にたくさんいることです。
見知らぬ方に車いすを支えていただいたり、パニックになっている利用者さんに「こっちだよ」と声をかけていただいたり、職員の不手際で迷惑をかけてしまっても「いいよ、いいよ」と温かいご理解をいただいたり。
実際に手を貸していただける方は、おそらくほとんどの方が何らかの介護経験がある方ではないかと思います。
一度経験したことがあるというのは本当に大きなことだと思います。
そういう思い遣りの見える風景を少しでも社会の中で増やしていくことも『波の女』として大きな意義があるのではないかと思っています。
勿論大きなリスクが伴う外出ですが、認知症が受け入れられる社会を作るためには、認知症という状態にある方々が時には大きな力になりうることを認識し、常に外出リスクの裏にある大切な風景を探しに行きたいと介護職員として思います。
ちなみに今回も車屋さんの若い社員さんは、マシンガンのように話しかけられ????????となりながらも営業スマイルを崩さず対応していました。
あとで少しでも記憶に残るように社員さんへ「脳の障害で話し言葉が少し不自由なんです。」とだけ声掛けさせていただきました。
素敵な対応とオイル交換ありがとうございました。
あーさわやかな秋晴れが続いていますね。
パソコンから離れて散歩にでも行きましょうか。
荒子川公園
今日の皆さんは秋空の下公園にお弁当を抱えて繰り出されましたー。
今しか見れない秋空ですね。
滝子通一丁目福祉施設
小規模多機能・クラブ滝子 町上 貴也