伝染?

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ちょっと久しぶりにお迎えに行った利用者さんが、

「とられちゃった」

「なくなっちゃった」

という話をされました。

 

今まで、そのようなたぐいの話をするような方

ではないと思っていましたので、

個人的に「おやっ?」となりました。

 

「何があったのか?」

「何か変化したのか?」

「きっかけがあるのか?」

 

いろいろ考えてみると、

「もしかしたら・・」

と推察の範疇ではありますが、

心当たりの一つが浮かびました。

 

最近、発言力、行動力のある別の利用者さんがみえるのですが、

その方が「とられたのよ」「なくなたのよ」と

近くにいる利用者さん達によく話をされています。

この迎えに行った方も、話をされる側の一人でした。

 

実際、周りの他の利用者さん達も、影響を受け、

「盗られるから自分で持ってた方がいいわよ」

(少し離れたところにある、荷物置き場に置かず)

等々、少し隠れながら、ひそひそ、ぼそぼそ話をされている場面を、

見かけるようになっていました。

 

きっと、このお迎えに行った方も

その影響を受けてしまっているのだと想像します。

もちろん、認知症の進行により、自分自身の不安が

内面から出た可能性も、ない訳ではないと思いますが。。。

 

いずれにしましても、毎日「盗られた」「なくなった」を

繰り返し言われる環境下では、自分も不安に

なってしまう事は、認知症という状態にある方は

ありがちだと思います。

 

記憶障害もなんのその。

嫌な出来事や、不安な気持ちは、

ちゃんと記憶にとどまり、なかなか消えない状態になって

しまうのだと思います。

そして、周りにどんどん伝染していっているようです。

 

もちろん、そこに手を打ってはいますが、

嫌な記憶や不安な記憶は、なかなか消去できないし、

上書きもできないものです。

 

しかし、記憶障害があっても、記憶に残せる部分があると

分かっている以上、よい記憶の上書きができるよう、

アプローチし続けていかなければなりません。

 

いい事はすぐ忘れ

嫌な事はずっと残る

 

これは認知症があろうがなかろうが、

人の常ではあるので、

結構手こずると思いますが、

良くも悪くも、伝染していくものだと思うので、

良い出来事や、心地いい事や、

嬉しい事や、できたできるといった達成感や、

その他もろもろのプラスのエネルギーの

風が吹くように、していかねばと思います。

 

互いに影響し合える素敵な能力を

いい方向に向けていくのも僕らの仕事ですよね。

 

いい仕事をせねばです!

 

滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治

 

 

 

2020年03月03日 Category:スタッフ日誌