使命
知らない高齢者の方が自分の方に向かってきて、同じテーブルに座られようとしました。
「何か自分に話したい事があるのかな?」
と思い、その方の動きを見ていました・・
すると介助者の奥様が走ってきて、
「そこは違うよ。車に行ってて」
「すみませんでした(自分に対して)」
おじいちゃんは座るのをやめて、1人歩き始めました。
写真の方ですが、左手は拘縮しており左足も動きが悪そうです。
健側の右手右足を頼りに、杖をしっかりついて一歩一歩ゆっくり歩かれています。
売店で食べ物を購入中の奥様が介助者でしょう。
商品の受け渡し待ち、支払い行為が残っているようで、おじいちゃんが気になってはいますが動けない様子。
おじいちゃんはゆっくり移動しています。
その先には、30センチ下がる段差が目の前に迫っています。
さぁ どうしたものか・・
もちろん介護者ですから「有する能力に応じ」ですよね。
まずは「どんな有する能力があるか」行動から把握し、その結果から「どう応じるか」ですね。
認知症があるかどうかは分かりませんが、見当識や判断力の障害はありそうです。
自分が身内は他者か区別がついていたかは?ですから。
体の能力は、左半身麻痺。
介助者の奥様は、売店で支払い中で、その場を動けない様子。
目的地(車)は分かっているのかもしれませんが、スロープでなく、あえて段差方向へ移動中。
まず、動きがとりにくい介護者の奥様へ声をかけます。
(いつも段差を1人で安全に超えているのであれば、手伝いはよけいなお世話かも知れませんので)
「ご主人段差降りれますか? よかっったらお手伝いしますよ」
「時々転ぶんですよ・・」
「では、行ってきますね。介護職ですからご安心を」
(介護職は街の中にたくさんいるし、他人に頼れる社会ですからね・・というメッセージを込めて)
駆け寄り、段差の介助を行い、車まで一緒に行き、乗り込みシートベルトを装着し。
「さようなら~」
今後も増え続ける介護職員さん。
現在でも200万人は超えていると思います。
仕事を通じて得た、知識・技術・感性を社会の中に還元しなくては、もったいないと思います。
いや、社会の中で活用していく事が介護職としての使命なのではないでしょうか。
僕らの存在意義・仕事ぶりを社会へ示す時です。
オレンジリングもしかりですが、国民全体の助け合い風土ができあがあるまで、介護職の「印」なるものが一般国民から分かる仕組みができるといいと思うのですがいかがでしょうか?
そして介護職は、自分の存在意義を仕事・社会の中で意識して行動できるといいと思うのです。
介護の倫理観は、社会・他者と関係の中で学び、育まれていくもの素敵だと思うのです。
周りの様子に関心を寄せながら、必要に応じ自分の力を寄せていきましょう。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治