先読み
Aさんが席を離れている間に、隣のBさんがタオルに挟まれている
ものが「何」かを確認されようとしています。
この場面の前は、皆で手作業をしていたのですが、
その時にAさんはその作業の「もの」を自分のタオルに
くるんでいたのですが、たまたまそれを見ていたのが隣のBさんでした。
皆で作業したものは職員が回収させて頂くものなのですが、
それを出さないAさんに、そのタオルの中に隠しているのを知っている
BさんはAさんに、「タオルの中に何を入れているの?」
と幾度となく問いただしていました。
Aさんはその問に「何も入っていません!」と怒り気味に返答しています。
多分、Aさんはタオルの中に隠した「モノ」を見られたく、
知られたくないのでしょう。
このままほっとくと、
そのうちにAさんのタオルの中の物が暴かれ、
Aさんが嫌な思いをされるか、
タオルの中を暴かれないように、
Bさんとの間で言い争いが起こる事が予想できます。
介護現場ではそんな先読みがとても大切なのだと思います。
それを察知したので、タオルの中身を変えるべく、
Aさんに用事を作り、タオルを置いたままいったん席を
離れて頂きました。
Bさんに悟られないように、さっと、タオルの中身を
Aさん自身の名前の書いてある小さなハンドタオルに巻替え、
テーブルに私がそっと戻しました。
その後のシーンが冒頭の写真のシーンです。
BさんはAさんのタオルの中に「モノ」が入って
いると確信されているので、Aさんが席を離れた隙に、
その証拠を見つけたかったのだと思います。
もし見つかったら、
「あなた、何でこんなものを隠し持ってるの?」
と問いただされてしまうでしょう。
でも、中身をAさんのものに巻き替えてあるので・・
中身を確認しても・・
「あれ!?」
となったのだと思います。
証拠が出なかったので、BさんがAさんのテーブルに
タオルを戻すシーンが次の写真です。
この後席に戻ったAさんとBさんには何も起こりませんでした。
Aさんの「脳力」からすると、
私が「モノ」を自分のハンドタオルに巻替えた事は
記憶的にも、理解力的にも分からないのだと想像します。
介護現場では、利用者間の関係性を維持するために、
いつも先読みしながら立ち振る舞いする事が大切です。
そんな一コマでした。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
Bさんの「あれ?」の気持ちに対しては、
後ほどBさんのモヤモヤを吹き飛ばす、
関わりをさせてもらってます。