夜の手さぐり

Published by sato

虫の音が、わずかに聞こえる程度で秋も深まり、冬到来がもうじき・・・。

 

先日久しぶりに夜勤に入り、利用者さんの夜の様子にお付き合いさせていただきました。

 

先月、退院されたAさん。

まだ、生活が本調子ではありません。

2日間寝ずに、3日目に寝るという状態が続いています。

 

自宅から寝ないまま、クラブの宿泊へ・・・。

 

夕食後からリビングでウトウトされはじめ、私の心の中は葛藤が始まります。

布団で休んだ方が、身体が休まるんだけどな・・・。

でもこれが、きっかけでパッチリ目覚める可能性も高い。

21時が過ぎ、22時が過ぎ・・・。

やっぱり、お布団に誘う!!と心に決め

『Aさ~ん』

「なんじゃ?」

目を開けられました。

『お布団に入って休みましょうか?』

「そうやな~。」

『寝る前の目薬がありますので。』

と声掛けをし、目薬をさし、お布団へ。

布団へ着くなり、

「わしの目を取ってくれ。」

???

ゴミか何か入ったのかな?

『目を見させてもらっていいですか?』

「見てくれ。」

何も入っていません。

「わしの目を取ってくれ。」

「目がおかしい。曇った。」

目が覚めて、緑内障の進行により目が見えなくなっているという現状がわからなくなっているのだと察知しました。

「わしの左目は、(視力)1、5なのに、目を取ってくれ。」

「この目を治さないと承知しないぞ!」

と続きます。

治さないとと仰る。

「あ~眼圧が降りていく~。」

【緑内障】を治療している記憶が戻ってきたということかな?

『明日朝イチに眼科の先生にみて貰いましょう。』という声掛けを繰り返すなかで切迫感が薄れて行きました。

「何時にみてもらえる?」

『朝の8時に出発しましょうか?』

「ほやな~。」

『寝坊しないようにそろそろ休みましょうか?』

「朝イチの飛行機で行くんだもんな」

「さぁ~寝よう寝よう。」

と横になられました。

一安心したのもつかの間

「腹減った!なんかパンでもあるか?」

と起き上がりパンを召し上がられました。

 

 

認知症の状態にあり、緑内障の進行により視力を殆ど失っているAさん。

不安に駆られるのは想像以上のことだと思います。

その大きな不安を少しでも取り除けることが私達にできれば。

御本人にヒットする「あの手、この手の引き出し」にアンテナをたて夜勤に挑みました。

また、Aさんのご家族の負担も軽くできたら・・・。

 

結果、この夜はリビングで寝た、2時間程の睡眠が一番まとまった睡眠でしたが、私達の引き出しを広げてくれるのも、じっくりかかわることのできる夜勤の醍醐味でもあると思っています。

色んなことを教えて下さるAさんやみなさん。

夜勤にお付き合いなんて、おこがましいですよね。

今夜のことを、次に活かすぞー!!!

 

滝子通一丁目福祉施設 副施設長 佐藤恵美子

 

『お知らせ』をアップしておりますので、是非ご覧ください。

 

2014年11月16日 Category:スタッフ日誌