家族の思いに応える
本日、小規模多機能型居宅介護「クラブ滝子」に新たな利用者が利用開始となりました。
何ケ月か前に近所で転倒され、通りがかりの住民の方が「転んで怪我してるから見てあげて」と施設にお連れして頂いた方です。
怪我の処置をさせて頂いたのですが、その時の関わりで、要介護状態であることは十分に想像できました。
その後に、ご自宅へお連れすると、「探してたんですよ」とご主人。
ちょっとした隙に自宅より出られてしまったとの事でした。
高齢者のお二人暮らし。
要介護認定やサービスを使っているか伺うと、何もしていない状態で、「自分がみれるうちはみます」と。
その時は「何か困ったことがあったら、力になりますのでいつでも声をかけて下さいね」と伝えました。
それからずっと気にしていました。
時々家の前でご主人の姿を見かけた時は、その都度少しづつ声をかけました。
「無理しないでくださいね」
「認定を受けておく、といざという時安心ですよ」
それから1、2ケ月が過ぎた夏の真っ盛りのある日。
姿を見かけたので再び声をかけました。
「暑いですね。倒れないように気を付けて下さいね」
すると、「認定を受けましたよ」と。
いざという時の備えは大切ですからね。
滝子を使う使わないは関係なく、少し安心したのを覚えています。
そしてまた1、2ケ月が過ぎた先週に、隣区の地域包括より利用依頼が入りました。
「ご主人が急遽入院となるので、利用できないか」とのことでした。
急ぎの利用希望なので、即段取り開始です。
その日のうちに、休みの副施設長が面接に走りました。
そして今日からの利用開始です。
とりあえず夜は娘さんが付いてくれるとのことで、通い利用で来られています。
後は全力でご本人の支援に挑んでいくのみです。
そして、元気な様子や写真を旦那さんの入院先へお届けしなくてはと考えています。
17年間も旦那さんがコツコツと介護してきたとの情報を伺いました。
想像すら難しい、長い長い月日の介護生活。
なんとか自分がしなくてはと懸命に頑張ってこられたのでしょう。
サービス利用開始は不本意であると思いますが、利用開始せざるをえない状況になってしまった今。
私達にできるのは、ご本人の生きる姿をしっかり支える事。
そして長い月日を経て、私たちに委ねたご主人の思いに応え、安心を届ける事。
退院後はどうなさるか分かりませんが、安心して入院治療して頂くために、今日を明日を大切に丁寧に積み上げていく事をしたいですね。
ご本人にとっても、ご主人にとっても、クラブを利用して良かったと思って頂くために。
今後もさりげない中にも、地域に根付いた、市民のための事業所でありたいと思います。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治