工程を大切に
「何でもいいわ」
10人くらいの入居者・利用者さんと共にメニューを決めるアプローチは、なかなか難しいです。
入居者・利用者さんは記憶・判断・見当をつける力が衰えている方が多く、メージを持ちにくいので、「なんでもいいわ」となったりしがちです。
そうなるといかに情報を提供できるか、想像できるようにもっていくか、そそることができるかが大切で、スタッフは工夫してあの手この手で引き出しています。
途中の工程を大切にしたいところです。
実際、やっと出た意見や、発言権のある方から出たメニューで決定してしまう事が多く、「皆同じ方が楽でいいわ」となり、「てんぷらは店で出来合いを買ってこればいいよ」「肉は店で切ってもらえばいいよ」等、手抜き案まで出たりする時もあります。
確かにその方が楽だし、自分もそうだしと思ってしまう時はありますが、そこは仕事をする場面です。
統一メニューや出来合いのものは、途中の工程が少なくなってしまい、結果作る方が少数で偏ってしまいます。
結果、できる能力を持っていても調理の場面に参加できない方がしている方から「何もやらないのに・・」と言われてしまうのがオチです。
ですから、とりあえず全体のメニューが決まった後で微調整、大幅調整をこそっと進めたりします。
手間のかかるものに変更したり、出来合いを基から作ることにしたり、個別メニューを進めバラバラメニューにしたり等。
メニューの変更は大丈夫です。
「そうだったかね?」で終わることが多いですから。
認知症の特性や個別の性格を理解していればこその持ってきかたですね。
あと、調理・片付けに限らず全般的にそうですが、無理にしてもらうのはよくないですよね。
「やろう」「やりたい」と思って頂けるような仕掛けや持ってき方に力を注ぐべきで、やっている姿を目指して「やらせる」にならないようにすることが支援する上で大切なアプローチだと思います。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「力強いですね~」スタッフ
「いえいえ、このくらいは」ご本人
「米がつぶれてしまうわ」他入居者
「・・・・」スタッフ