未経験の活用

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認知症という状態になると、過去には強いが、未来に弱くなりがちです。

 

一般的に新しい事への適応が難しくなることがあります。

もちろん適応できない訳ではありません。

ですので残っている過去の経験、記憶に働きかけたアプローチが大切・・と言われることがあります。

もちろんそれも大切です。

自分の「強み」で語り、動いている姿は素敵ですから。

 

しかし、過去に囚われすぎ、過去に閉じ込め過ぎもどうなのかと思います。

 

グループホーム2階では、過去の記憶、経験値による料理のレパートリーが多いのです。

週間でみると同じようなメニューが繰り返されています。

(ちなみに3階はバリエーションが多いです。というか自分には??が多いです 笑)

 

頭で描ける、想起できるメニューばかりなので、マンネリ化しています。

それは強みでもありますが、当然余裕、余力が発生します。

できる人が片手間でちゃっちゃかやれてしまいます。

その中で他者の行動が目に入りやすく、批判をしやすい状態になっています。

 

この状況をどう打開するか・・・

 

作業量、工程の多いメニューを取り入れるのも手です。

あと、「未経験ゾーン」への突入も必要かと。

未経験の料理は、流れや勝手が分からない分、混乱や不安やストレスがかかります。

自分のやっていることに自信が持てないので、他者のことを気にかけている余裕がなくなります。

そんなメニューを少し織り交ぜておくといいのではないでしょうか。

 

勝手にメニューの一部を追加変更しても、作る時に「そうだっけ?」となります。

それが記憶障害を活用するアプローチでもあります。

話し合いの途中の過程、その場のやり取りが重要なのですから。

「ちょっと! こんなのでいいの!?」 集中~です。

 

滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治

 

2014年06月03日 Category:スタッフ日誌