「後追い」から「先回り」へ(前編)
どこのフロアにも、そのフロアの介護の質に大きな影響を与える入居者・利用者さんはいるものです。
ボス格だったり
行動力があったり
「嫌だ」という意思表示を強く出せる方だったり・・
その方々に振り回されてしまうと、後追いの対処型介護になってしまいがちです。
ずっと個別対応ができる体制であれば、その方々のペース・やり方に合わる事もできるのですが、介護の現場はそうはいきません。
一人や二人の職員で3人、5人、10人と同時に多くの要介護者を支えなければなりません。
という事で本日の自分の仕事中の目標は、「小規模多機能・クラブ滝子利用中の素晴らしい能力を持っているF様をどうリードするか」でした。
この方、起きている間のほとんどはフロアから外へ出られようとされます。
外が好きですし、外で行動する目的を持たれていますので。
でも1人で外出すると迷子になってしまわれます・・
実際1週間程前にも行方不明になられてしまいました。
滝子通一丁目福祉施設は、「意思を行動に移せる」事の素敵さを尊重し、鍵をなるべくかけないという環境を作っていますので、出たいと思えばいつでも出て行けてしまいます。
できればいつでもご一緒させて頂きたいところですが、他の利用者の見守り、付き添い、介助、支援、介護等がありますので、実際はいつでもOKという訳にはいきません。
しかし、ご本人にとってはそんな事情は分かりませんので、フロアから出られるる行動をされると、ついていくしかないのが現状です。
スピーチロックにならない程度で、フロアに留まって頂くような声かけを行ったりしますが、それで留まれる訳がありません。
出口付近にいらっしゃるだけで、常に職員はその方の所在を確認する必要もあります。
そうこうしているうちに、やらなければならない事ができなくなったり、時間が遅くなったり・・
他の多くの利用者への支援・介護等の遅れの影響は大きいものです。
だったらどうするか。
「後追い」から「先回り」「先行」「リード」型への挑みが必要だと思うのです。
専門職として、全体のバランスや優先順位をうまくコントロールしないといけません。
後追い型の対処ケアになると、未達成感や追われ感により疲弊していきがちになります。
「全体への影響度合いが大きい方をどうリードするか」
この視点をチームで共有し、皆で挑んでみる事が大切だと思うのです。
もちろんリードして「外にでないようにする」を目指しているのではありません。
リードした結果、フロアにいて頂きたい時にいて頂き、職員が動ける時に一緒に外に出る。
そんなメリハリをつけたアプローチができるようになると現場の介護はおもしろくなるハズだと思っています。
結果として成功率50%くらい?だと感じていますが、そんな取り組みを次回にでも紹介させて頂きます。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
今回の話とは別の方ですが、ユーモアたっぷりの風景です。
髪につけているのは、むいているマンゴーを包んでいたもの。
不安いっぱいでしょうけど、そんな障害など吹き飛ばす勢いの素敵なセンス。
大変な中だからこそユーモアを☆