瞳の奥
どこの事業所にも介護を必要とする量や質がたくさん必要としている、
「要介護5」という状態の方がいらっしゃると思います。
不本意ながら、体や脳や様々な病気などにより、
自分の事が自分でできなくなり、
専門職の手を生活のあらゆる場面で必要とされている方です。
体の不具合もいろいろありますが、
認知症やその他の疾病により、脳の調子が悪くなり、
表面的には、コミュニケーションを取れなくなっている方も多くみえます。
表面的には、
私達に伝わる言葉で表現できなかったり、
私達からご本人に対するアプローチが届いていないようにみえても、
「心は生きている」
と感じる場面は関わっている最中のあちらこちらに感じる場面は結構あります。
脳や体の不具合により、
私達に対し意思表示をうまくできないだけで、
私達のしている事、話しかける事、思っている事は
かなり本人に届いているのは間違いありません。
これは専門職のだれもが感じる事実でしょう。
それに対し、
「Yes]「No」「いい」「悪い」「いやだ」「ああだこうだ」等
反応できる機能や回路は、不具合があり表出できないだけで、
私達のしている事に対し、いろいろな「思い」を抱いている事でしょう。
その事をしっかり理解していないと、
「わからないだろう」
「覚えていないだろう」
「反応ないから」
と、職員本位の一方的だったり、ご本人に不利益な事や、
雑な対応をしてしまう事が起こってしまうかもしれません。
表面的に反応があろうがなかろうが、
私達は、目の前の人間に対し、
人間として真摯な態度で、関わり続ける
という、自分を律する行動が必要な仕事なんだと思います。
そんな「人が生きる」「人として生きる」
を応援できる専門職であり続けたいと思います。
時に利用者の「瞳の奥」を覗き込んでみてください。
その視線や瞳の輝きの奥から
私達に何かを語りかけている事を
察知していきたいですね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治