認知症に備える
先週、古巣である江南市の地域の方々の集まりに呼んで頂き、お話をさせて頂いきました。
テーマは「認知症予防」という内容でした。
熱気あふれるお母様?おばあ様?方々対象ですので、楽しみ反面緊張の時間です。
さて、今回の内容はリクエスト頂いたものだったのですが、なかなか難しい。
そもそも、「認知症予防」とはどのように考えればいいのか?
予防とは、「想定される悪化に対して事前に備えておくこと」とあり、更に備えるとは 「ある事態が起こったときにうろたえないように、また、これから先に起こる事態に対応できるように準備しておく。心構えをしておく」と辞書にある。
ということからすれば、お話する内容はある程度決まってくるのだと思いました。
「認知症にならないための備え」ではなく「認知症になった時のためにどう備えるか」ということになるのではないでしょうか。
実際、「認知症にならない」ようにすることは無理であると思います。
確かに、リスクを下げる事や、発症率を抑えるためのアプローチはあれやこれやと、様々な研究や取り組みのデータから分かってきていることはたくさんあります。
脳血管性の予防においては、血管にダメージを与えないような具体的なアプローチを行えばリスクを下げることはある程度できるでしょう。
でも、どれだけいいと言われていることをしたとしても「なる時はなる」可能性を持っているということです。
特にアルツハイマー型においては、どうすれば「なる」かが分かっていない今日では、「ならない」方法はなかなか見つけられないでしょう。
実際、認知症になることを目指した波の女役員和田行男でさえ、脳血管性認知症になる可能性を上げることはできても、アルツハイマー型認知症になることはできないと断念したとのことです。(笑)
そのようなことからすれば、「なった時のために準備をしておく」という内容が今回の話の柱になると思いました。
「なる」リスクを下げるアプローチ + 「なった」時の準備ということです。
今回の話の流れは、
・認知症とは何か(正しい知識)
・認知症になっても人として生きる姿の紹介(安心感を感じて頂く)
・早期発見のポイント
・早期受診の大切さ
・リスクを下げる取り組み
等々を住民向けに分かりやすくお話させて頂きました。
そして最後に「今からでいいから連れ合い・家族を大切にしよう!!」で締めくくりました。
だって、自分がなってしまったら、施設に追いやってしまうことを決めるのはその人達ですから。
「今日から旦那やお嫁さんに優しくしましょう」で大笑いでした。
でも、冗談ではなくて実際そうだと思うのです。
認知症になっても住み慣れた自宅で、わがまま言いいながら過ごしたいものです。
そのためにも大切にすべきは身内の方々でしょう。
そして、「近所の方々と仲良くしましょう」も大切です。
近所の方々に変な目で見られたくないですし、迷惑をかけれれないと思うのはご家族ですから。
ということで「人間関係を整えておく」が最大の備えだと思います。
最後に・・誰もがなりたくないと思っています。願っています。だから努力する人もいます。
でも、なってしまう時はなってしまうのです。
一番苦しんでいるのは本人です。
それを忘れないようにしたいものですね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治