リスクを回避するのではなく取り込めるように

Published by wada

複数の入居者に対して1人の職員が付き添って買い物に出かける。

簡単そうに見えるため、経験のない職員でも、見た目だけ能力が高い人たちを連れて実施してしまいがちですが、ここに落とし穴があります。

ましてや開設して間もない時期は、その人の情報が不十分で、整理もされていませんから、危険です。

例えば、40分ほどかけて700メートルほど歩いて買い物に出かけると、血圧が異常に高くなる人がいました。新しく入居された方は、玄関先へ出てきただけで急上昇しました。

自宅や施設にいて、ほとんど動かなくなった人たち(動く機会を奪われた人たち)ですから、体力が低下し、能力が低下しているのは致し方ありません。

 

見た目だけではわからない、振る舞いだけではわからない身体の中で起こっていることを「推し量りながら支援する」ということへの訓練がないと、思わぬ事態を招きます。

体調を気遣い、休みながら、水分を摂りながら、一人一人の状態を把握しながら買い物へ出かけますが

それは入居者の状態を把握するということだけでなく、職員訓練でもあるのです。

これからの季節、暑くなるばかりですが、今のうちにどんどん行動して、夏場を乗り切る身体をつくらないと

夏場を乗り切れなくなります。

でも、身体を動かせばよいということではなく「能力に応じて」ですから、まずは「能力を知る」ことからです。

一人一人のことを知れば予測できるようになります。

職員の予測する力が生活支援を担保すると言っても過言ではないのです。

つまり予測できればこそ(描ければこそ)リスクから逃げるのではなく取り込むことができ、だからこそ入居者を箱の中に閉じ込めることなく、できることを封じ込めることなく、この国の人々が暮らす一般的な姿から遠ざけることなく、入居者たちが暮らし続けられるように応援できるのですから。

経験の少ない・まったくない滝子のスタッフたちが「リスク・テイク」できる力を身につけられるようにするのが、今の僕の役目です。

今はまだ一人一人の「自分のことは自分で」を把握する段階ですが、いよいよ「互いに助け合って」の段階へ階段をのぼっていきます。

まだ始まったばかりですが、施設に入居者を閉じ込めることなく「社会とつながって」を実践できていることは滝子のスタッフたちの「あたま」が「閉じこもっていないから」ですね。和田的には嬉しい限りです。

 

2012年04月27日 Category:情報ブログ