挑み
「どうアプローチしたらいいのでしょう?」
現場スタッフが悩んでいました。
排泄や入浴の介助が難しく、ともすると嫌がられているのを職員2人がかりで、
着替えの介助を行う利用者さんへの関わりの件です。
排泄の失敗があっても、「そのままでいい」と本人は言われます。
もちろんそのような状態になっている事が分からないという事もあるでしょう。
当然、認知症という状態にあり、正しい判断がしにくくなっていらっしゃります。
しかし、ご本人にとって不利益がある場合には、そのままという訳にはいかず、
その場をなんとか凌いでいるのが現状です。
そこに疑問・違和感を持ち、本来といいますか普通は「こうあるべきでは?」と考え、
「ご本人のペース・ご本人の納得で入浴行為や、排泄の着替えをできないか?」
ということを目指したいと考えるスタッフからの相談です。
最初から「難しい」「今までの介助方法しかない」と考えてしまえば、そこまでの仕事となってしまいます。
本人視点、本人のために、
「何とかしたい」「何とかしなくては」
と思えばこその苦難ですね。
そして失敗に失敗を重ね、「次こそは・・」とモチベーションを維持していけるのも、専門職のスキルの一つです。
その思いやセンスは、この仕事ではとても大切だと思います。
という事で相談してきた職員の思いに応えるために助言、セッティング、支援を行いますが・・
「何するんですかぁ!」
「やめて下さい!」
「お願いだから仲良くしようや」
いつもよりは少しいいものの、課題を残す形で終わりました。
もってき方や、環境設定も重要ですが、「タイミング」もかなり重要な方です。
職員都合のタイミングで介助に入るばかりでなく、「今だ」という本人のタイミングを察知し、
そこで合わせられる力量が事業所にも必要だと思います。
とはいえ、それにめげず「次こそは」と言っていた職員のたくましさと姿勢は素敵だなと思いました。
成功するよう、成功するまで、できるまで、職員支援を続けたいと思います。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
あっ!ぼかしはいりませんでしたね。笑
沈丁花
名古屋は、温かい日が続き、モクレンが咲き春の訪れを感じます。
先日スーパーへ向かう途中、懐かしい甘い香りが漂ってきました。
何だったかな~?と思いながら見渡すと、沈丁花(じんちょうげ)が咲いていました。
以前、小規模多機能・クラブ滝子の利用されていたAさん(男性)の自宅で、春になると庭先にたくさんの沈丁花が咲き、『この香、いいだろう。庭先にあると言い気分になるで~。』と思い入れを話して下さりました。
3年前のことですが、懐かしと同時に、『かおり』って私達の生活に密着していることを改めて感じました。
季節を感じたり、思い出があったり、食欲が出たり、心が躍ったり、安心したり。
当施設で『かおり』ってなんだろう・・・。『食事を作るかおり』『洗濯物を干すときの洗剤のかおり』『コーヒーのかおり』『お茶のかおり』
施設近くで咲く花のかおりが風に乗ってくる・・・。
『臭い』となると・・・体臭、口臭、排泄臭・・・。
日々の暮らしのなかで、『臭い』への対策は一つ一つクリアしていき、『かおり』の豊かさの視点も大切だな~と沈丁花のかおり、Aさんから学んだので還して行こう~!
滝子通一丁目福祉施設 副施設長 佐藤 恵美子
繋がり
毎日クラブ滝子へ通い
毎日夕方に買い物同行し、
自宅へ送らせて頂く、来月で96歳のAさん。
独居で頑張ってみえます。
毎日休みなく朝から夕方までクラブで過ごしているので、地域生活とはかけ離れていきそうなものですが・・
毎日地域資源(スーパー)を活用することで、駐車場整理の方、スーパーのレジの方等と顔見知りになられています。
本日もレジでの支払いの様子を見ていると、
「お財布の中の小銭見てあげるね」
と財布の中の事まで気にかけてもらっています。
他にも、住んでいるマンションの関係者、民生委員、新聞集金担当、近所の郵便局で出金支援する権利擁護の方、木目込みの先生もやられているのでお弟子さんが来られてたり等、結構自宅において色々な関わりがあるものだと気づかされます。
最近では帰りになると、誰か一緒に住んでいる身内の方がいる話をよく話されます。
頭の中で存在している方なのか・・
一緒にいる誰かが見えるのか・・
まぁ、それは置いておいて。笑
生活とは、地域資源や人との繋がりで成り立っているのだと教えて頂いています。
グループホームに空きが出たので、そろそろ小規模多機能からグループホーム入居という流れもありかと考えていますが、結構豊かな繋がりの中で暮らしてみえるので、
「もう少しこのまま・・」
と、自宅を絡めての暮らしを応援したいと思っています。
小規模多機能という在宅での暮らしを支えるサービスは、結構粘り強く色々な支援ができるサービスなので、限界点が高くなりがちだと思います。
その分、施設への入居のタイミングの見極めが難しくなるという事もあります。
もう少しご本人と地域と繋がりのある人々を中心に置いて、今後の事を考えていかねばと、悩みの日々が続きそうです。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
今日は「名古屋シティマラソン」「名古屋ウィメンズマラソン」がありました。
地域生活分断はもとより、通所や訪問サービス分断?泣かせ?な交通規制、通行止めの嵐でした~
3.11
3.11
震災から5年。
昨年は雪が積もっていた所が多かった東海地方でしたが、今年は晴れ間が広がりました。
しかし空気はピシっと冷たく、気が引き締まる感じの1日でした。
「今日」という日が迎えられる事に感謝です。
「今日」という日を迎えたいのに、迎えれなかった方々の分も、
「今日」という日に感謝し、一生懸命生きる事を大切にしたいものです。
それが「今」を生き、「明日」を迎える者の勤めだと思うのです。
被災者とその関係者
そして頭の中で起こった災害とも呼べる認知症という状態の方々のために
何ができるのか
何をすべきなのか
今一度考えていきたいと思います
震災で被害にあわれた方々に対し、謹んで哀悼の意を表します。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
医学の進歩
本日、核医学検査(RI)というところで行われる利用者さんの検査に付き添いました。
「核医学って・・」
難しそうですが簡単?に説明すると、
血液の中に害のないレベルの放射性物質を入れ(注射)、
3時間以上過ぎてから、脳の中のどこにどのくらいたまったかを、
放射線を捕らえて画像にする装置(SPECT装置)を使って撮影します。
注射し、3時間以上時間を空け、30分横になって撮影
(始めの注射も、撮影も指定の時間厳守です)
ダット・スキャン(DAT)という検査です。
これで、脳の中の神経の働き具合が見て取れます。
今回はこの検査により、アルツハイマー型認知症か、レビー小体型認知症かを鑑別しようというものです。
ちなみにお値段は1本 56,636円です。
たった2mlで5万円以上する超高級な医薬品です。
保険はききます。
とはいっても8100円お支払いされていましたが・・
すごいですね~
医学、科学はどんどん進みますね。
そこに「人の手」「関わり」がくっつく「医療」や「介護」が追いついていかなと大変な事になってしまいます。
早期発見、早期診断だけどんどん進む。
しかし治す薬がない現状。
認知症になって治療を受けようとすると、拘束。
認知症により、介護を受けようとすると、虐待。
一部にせよ、これがこの国の現在の到達点です。
診断確定の先の、医療や介護の「対応力」や「質」が伴わないと「お先真っ暗」の期間が前倒しで早く分かってしまうというのは、本人にとっても辛い話です。
認知症の確定診断がついた=もうだめだ・・
ではなく、
認知症の確定診断がついた=介護を受けながらなんとか生きていくか・・
と思える関わり・支えができる業界になっていかないといけないと思うのです。
最期まで尊厳があり、生活を送る一人の人として生きていける社会を目指して。
皆でこの国の将来、自分や家族の将来を自分達の手で創造していきましょう。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
不納得
自宅横の公園の梅も満開
春ですね
昨日は休日でしたが色々ありましたのでご報告を。
午前中は地元の模擬徘徊訓練に参加しました。
久しぶりだったので「井さん、珍しいですね」と言われてしまいました。
今回は歩き回る訓練ではなく、老人会の集まりに重ねての「声かけ訓練」を実施しました。
対象者は高齢者層ではありますが、狭い地区内の大勢の方への意識付けをできる機会でしたので、少し張り切ってしまいましたが楽しかったです☆
介護職員は、自分の住んでいる地区内の活動に参加すべきだと思うのですが、いかがでしょうか?
午後は・・・
名古屋で出かけ、介護福祉士の実技試験がありました。
試験内容は、右方麻痺があるの方へのアプローチのお題がでました。
レク終了後に、食堂へ移動するというものです。
介助のポイントを自分なりに分析すると、車椅子上のポジショ二ングの整え、段差超え、椅子への移乗、飲み物の選択提供に加え、声のかけ方や自立支援の要素を盛り込むのかなと思いました。
思ったより!?
いや、相当緊張してしまいました。
ゆっくり丁寧に時間をかけながら、会話に自立支援を心がけアプローチしていると・・・
「時間です」
!!!!
全工程の半分ちょっとくらいで終わってしまいました。汗
「これではポイント足りないな・・」
意外と飲まれてしまったのか、マイペースだったのか、自分では良く分かりませんが。
やってしまった感はありますね。
「不合格」の文字がちらつきます・・
まぁ、後は結果を待つのみですが。
また、月末頃報告させて頂きます~
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
結果は気にしていないのですが、夜に他の職員に聞いてて納得できない事が。。。
みんな要介護役の対象の方は「若い女性」だったのに・・
自分は「男性」でした!!
対象が女性の方が乗れたはずなのですが。
納得いかない~!! 笑
ともに
かつてない大惨状の廊下ですね。
シュレッターのゴミです。
掃除に対する「意欲と行動」を引き出す仕掛けをスタッフがしたようです。
「なんでこんなになってるの?」
と必然的に始まった掃除。
もとの埃や汚れも一緒に掃除できます。
ここで大切なのは・・
「やらせる」は当然の事としてだめな訳です。
「やって頂く」は表現がソフトですが、どうでしょうか?
ポイントは「本人の気持ち」だと思うのです。
「やらせる」「やって頂く」も、結果としてやっている行為は同じ訳で、
本人が「やらされている感」があるかないかが分かれ目なのではないでしょうか?
その「やらされている感」を軽減するアプローチで大切だと思うのが、
「一緒に行う」
だと思うのです。
有する脳力能力を活用する、引っ張り出すのは、介護職の仕事です。
しかし「能力を使っていればいい」という事だけではありません。
能力に合わせ、ご本人の主体性や気持ちを引っ張り出したり、気持ちよく行って頂く事が大切なのだと思うのです。
「何で私だけが・・」
「何であなたはやらないの・・」
仕掛けをしたり、依頼した張本人の職員が、「見ているだけ」「声をかけているだけ」ではそんな風に思われてもおかしくないと思います。
「一緒に行う」
仕掛け、声かけした職員は「どうかな?」と見ていたところ、一緒にやっていました。
基からできているのかもしれませんが、職員さんが「仕事」をしている姿を見るのは気持ちいいですね☆
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
察する
小規模多機能に宿泊しているAさん。
ご家族が愛犬を時々連れてこられます。
この姿を見ていると泣けてきます。
何を思い
何を感じているのか・・
私達はこのAさんの思いに少しは応える事ができるのか?
皆さんはこの方の表情から何を感じますか?
察する力
応える力
磨かないとですね
一生懸命
一生懸命
一生懸命
僕らにできる事を追求し
還していきたいものです
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
備え
2007年に、認知症の状態にある方がJRの電車と事故を起こした裁判の最高裁の行方が本日示されました。
「大変温かい判断をしていただき心より感謝する。良い結果に父も喜んでいると思う」
要介護状態の妻も、別居する長男も、「監督義務者に準ずる者に当たるが、免責される」という家族側の逆転勝訴が確定しました。
これほどまでに「認知症」に関する事で、社会全体の話題となったことがあったでしょうか。
多くの認知症の方を抱える家族達や介護関係者は、本日の訴訟の結果に関心を寄せていたことでしょう。
当事、愛知県大府市で認知症の男性(当時91歳)が1人で外出して列車にはねられました。
JRが「電車に遅れが出た」として、男性の妻(93)と長男(65)に約720万円の支払いを求め、1審の名古屋地裁は長男を事実上の監督義務者と判断し、妻の責任も認めて2人に全額の支払いを命じました。
「えっ!? そんな事になるの?」
責任能力や、監督義務について、その時点での判断が示され、衝撃が走ったのを覚えています。
2審が行われることになり、長男の監督義務は否定しましたが、「同居する妻には夫婦として、監督義務を負う」として、妻に約半分の360万円の賠償を命じました。
「やっぱり、免責にはならないのか・・」
「家族は辛いでしょうに」
「1人歩きをされる方は、家に閉じ込めておくしかないのか・・」
「認知症という状態にある方の尊厳や権利はどうなるのか」
身内に認知症という状態の方がいる家庭や関係者は、この国の行方に失望や怒りを感じていたのではないでしょうか。
そして最高裁に持ち込まれ、本日の午後、最終判断が下された訳です。
しかし、他の同様のケースも全て家族側が守られるという訳ではないでしょう。
今回の家族は、基本的な対策をちゃんとやっていたという事があります。
それに加え、世論が影響したのかもしれません。
とにかく結果としては、良かったのだと思います。
この国の認知症の方とその家族の進む道は閉ざされなかったのです。
しかし逆の見方をすると、JR側も被害者なのですよね。
では、どうすればいいのか・・・
不本意ながら、とんちんかんな事が起こりがちな認知症という状態にある方が増えるこの国において、個人や家族側もそのリスクに「備え」が必要なのだと思います。
今は、「個人賠償責任保険」といった基本の保険にくっつける特約をつけて、安価な保険料の割りに補償は大きいものがありますが、これは直接被害に対しては有効ですが、今回みたいな「遅延」となると間接被害、二次被害となり補償の範囲外になってしまうのだと思います。
これからは個人の備えとして、「認知症保険」なるものの保険商品のラインナップの拡充が必要だと思うのです。
保険会社さんどうでしょうか?
また、今回のJR側のような立場の方への補償が、全額でないにせよ公的に税金の中からできる仕組みも、必要だと思うのです。
時間の関係で、中途半端な終わり方になってしまいましたが、「道は開かれた」と個人的な感想と、個人も企業も「備え」をしておく時代なのではと感じた判決だったと思います。
とにかく良かった良かった。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
会議
「会議」
合議体の構成員が会し、一定の議題について、互いに意見と情報を交換し合って審議を行い、最良 の施策を見出そうとする会合
金曜日は「運営推進会議」
土曜日は「フロア会議」
会議会議のオンパレードの週末でした。
「運営推進会議」は、地域密着型サービスのうち、認知症対応型共同生活介護などの事業を実施する事業者が、利用者、利用者の家族、地域住民の代表者、市町村の職員などに対して、提供しているサービス内容等を明らかにすることにより、事業所による利用者の「抱え込み」を防止し、地域に開かれたサービスにしていくことで、サービスの質の確保を図ることを目的としており、各事業者が自ら設置するものです。
おおむね二月に一回以上会議を開催し、運営推進会議に対して活動状況を報告し、運営推進会議による評価を受けるとともに、必要な要望、助言を聴きます。
波の女で開催している運営推進会議にも、区内や、隣区の地域包括職員、家族、地域住民や役員、有識者の方々が参加して頂けています。
報告事項としては、ここ2ヶ月のトピックス、日ごろの様子を写真で紹介、職員配置について、事故報告や利用状況の判定に加え、今回は小規模多機能型居宅介護の「外部評価」の場としても活用させてもらっています。
色々と相談させて頂くと、様々な意見や助言を頂ける場ですので、密度の濃い2時間です。
運営を推進するための会であり、メンバーですので、地域に開かれた、透明性のある施設であるために本当に力になって頂けている事がありがたいです。
次回はメンバーに施設内全体を自由に探索して頂き、お気づきの点、気になる事、疑問に思う事等を聞かせて頂けないかと考えているところです。
ツッコミどころ満載だと思いますので、じゃんじゃんご指摘を頂き、改善し続けていけたらと思います。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
次の日にはフロア会議
その夜には・・
本社にて鍋会議・・
いえいえ、「会議後」の懇談の写真です。
人と人は、会する事が大切ですよね。