反応に関係なく
前回のブログで、要介護状態が重くても、認知症という状態が進行していても、
たくさんの経験を積み上げ、能力をまだまだ秘めているという話を上げさせて頂きました。
そのような方の中には、見た目上は反応があまりないように見える方があります。
そのような方々に、食事を介助している場面で時々気になる事があります。
語り掛けずに、黙々と介助しているのです。
ちゃんと伝えてない組織、自分に課題があるのですが、人が人と関わる上での基本は、
「声をかける」
「意思を確認する」
事を大切にしているか?という事です。
これはこちらからの問いかけに反応が「あろうが」「なかろうが」という事です。
なぜなら、そこにいるのは「人」だからです。
たくさんの経験を積んで生き抜いてきた「人生の先輩」だからです。
反応がある方には声をかけ、反応がない方には声をかけない。
ではなく、
反応があろうがなかろうが、そこにいるのは「人」である以上、
声をかけ続ける必要があります。
たとえば食事介助の場面。
「昼ごはんを食べるお手伝いをさせて頂きますね」
「ご飯からたべますか?おかずからたべますか?」
「味噌汁を飲まれますか?」
「お茶はいかがですか?」
「今日は○○ですね」
「お下げさせて頂いていいですか?」
「これで食事は終わりですよ」
等々、声かけしながら介助をさせて頂く事が僕らの仕事の内だと思うのです。
決して特別な事ではありません。
人が人に関わる時の基本ということだと思うのです。
黙々と出された食事を全量食べさせるだけの、さみしい食事の場面にならないようにしたいものですね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
経験の積み重ね
要介護は一番重いランク
認知症の状態は結構進行中
意思疎通は難しく会話の成立はほぼ不可
そのような状態の方は、滝子の施設にも何人かいらっしゃります。
よく言われるのは、「何もできないし、分からないのでは?」と。
しかし心はしっかり生きていますし、意思もお持ちです。
ただ上手に言葉や仕草で表現できないだけです。
体の機能も立ったり歩いたりできなくても、腕や足、指を動かす事は皆さんできます。
食事、トイレ、お風呂は、ほぼ全てお手伝いさせて頂くのですが、その時に心や体の力はしっかり残っているんだなぁと思う事は色々な場面であります。
例えば、靴下を履いて頂く手伝いをする時。
自分はおおちゃくですので、片方の足の靴下を履いて頂いた後、続いてその足の靴を履いて頂こうとするのですが、片方の靴下を履いた後、もう一方の足が自然と動く方は結構多いと感じています。
これは、例えば右の靴下を履いたら次は左の靴下を履くということが分かっている、もしくは体が自然と覚えているという事だと思うのです。
上着も、右の袖を通すと、自然と左の腕が動くとかもあります。
そんな足や手の指一つの連動した動きを見ていると、脳が壊れているように見えても、長~い人生の経験が心と体にしっかり詰まっていて、その力はいつまでも使えるのだと感じています。
人は1歳の頃にはこういった感覚は身についていて、それが70年80年生き続けているのです。
指一つの動きにも、人って、時間って「すごいなあぁ」と介助の瞬間、仕事のに感じる事があります。
今後も、ご本人の心と体の動きをよく見て、息を合わせ、ご本人の生きてきた人生を感じつつ、支援をさせて頂きたいと思います。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
活用
「二十歳を迎えました!」と言いきる今年92歳の女性Oさん。
本日もきっと、一番乗りでリビングに見えるはずのこの方の席に、そっと封書2通を置いみました。
誕生日を迎えたOさんへのメッセージが入っています。
日頃から、女性達との口論が活発(?!)な男性入居者お2人が書かれたメッセージです。
先日このお2人に、Oさんがもうすぐ誕生日だと伝えてみました。
~社交辞令も大事だしー~くらいに考えて、筆を預けた自分が恥ずかしいくらいに、お二人とも、1時間近くかけて、贈る言葉を書かれていました。
部屋にある座卓に向かったお一人は、下書きの紙が足りず、ティッシュの箱の裏にまで、何度も何度も下書きをして、
「漢字は間違ってないか?」
「文章はこれでええか?」
「配置はおかしくないか?」
「日付は入れたほうがええかな~?」
など考えに考え、私にはとても書くことができない、味のある手紙に仕上げていました。
(施設から出す封書の差出人のところを書いていただくとか・・この羨ましい才能をなにかに活用できないかなあ、など余談ですが考えてしまいました)
「誕生日」
ご本人がどう過ごしたいか、どう祝われたいか否か・・への支援だったり。
祝ってあげたい側の人たちへの支援だったり。
興味はないけど、ごちそうや、お出かけなどには、ありつきたい人もいるだろうなあとか。
誕生日のメッセージを考えながら、相手を思い描き「いつもいる人」から「○○さん」に変わる瞬間があったり。
今日のOさんのように、ハレの日を意識する姿があったり。
「入居者さん同士」を育むための、瞬間々々の橋渡しは、大切だな~と改めて気づいたり。
今まで知らなかった、その人の一面や能力を発見することができたり。
私達、イベント屋さんでもないし、こんなことを考えながら、今日も繰り広げられる9人の日常生活や共同生活に、半日常「誕生日」を、ちゃっかり活用できたらなあ!と思ってしまいます。
まとまりのない文章で、ごめんなさい。
本当にあの才能が、羨ましいです。
グループホーム滝子通一丁目
駒木根純子
「大逆転」のススメ Vol.21
【行動を制限しているという自覚】
(大逆転の痴呆ケア 和田行男著 P122より一部抜粋)
自分自身が行動の制限を受けたらどうするか。
抑圧や差別を感じたらどうするか。
僕らには、仕方がないと諦めるか闘うかの選択肢があるだろう。
しかし、痴呆という状態にある人たちは、自分自身の力では闘って切り開いていくことができないことを、どれだけの人が感じているか。
施設で働く職員自身は、先人たちが切り開いてきた現代社会の恩恵を十分に受けて生きているにもかかわらずである。
きっと、施設の中で切り開く力もない婆さんたちを抑圧している人たちは、いつかは自分も同じ状態におかれ、人間としての屈辱を味わうはめになるだろう。
行動を制限するには、それなりに理由があってのことだと理解できなくはない。
でも、
「行動を制限してしまっている」
「非人間的な状態を強いている」
という自覚だけは失わないでほしい。
なぜなら、その自覚さえあれば、きっとそれが未来を切り開く糧になるはずだからである。
そう書かれています。
今の社会の到達点の事情、自分達の力量、施設の方針等いろいろあり、施錠しっぱなしになっている現状があるところもあると思います。
これから施錠しなくてはいけなくなる所もあると思います。
でも私達に大切なことは、
「追及をし続けようね」
「施錠する以外に手立てがなかったどうかを追及しようね」
「閉じ込めることは、専門職でなくてもだれでもできることだよ」
「家族や非専門職では思いもつかないような発想と試みる力が必要だよ」
専門職として、専門職だからこそ、
「人の姿で生きれるよう」
「人としての権利を護れるよう」
追及していく姿勢を大切にしていくための語りを続けていきたいものですね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「抜け出したものの、どこに行くんだっけ・・」
全体会議
波の女では、必要に応じて全体会議が開かれます。
月曜日のことですが、まだ職員足らずで運用できていない雁道二丁目福祉施設のお披露目を兼ねて開催されました。
全体会議の後は食事会☆
名古屋の中でも最高級クラスのステーキのお店のお弁当~
(待機している夜勤者にも配られました)
そして施設内の見学会♪
木の温もりが感じられる素敵☆な施設なんですよ~
この施設オープンに向けて、本体の滝子施設職員の募集活動継続中です!
気になる方は、お気軽にお問合せを。
(070-6410-8388 施設携帯 担当 井)
待っております。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
会議の後には二次会で繁華街へ繰り出し、飲めや歌えや☆
避難準備情報 出た~!
各地で大雨を降らせた台風16号。
昨日は自分の自宅のある市町村でも豪雨でした。
真っ白になる視界
激しく打ち付ける雨音
道路はあちらこちらで冠水
こんな状態が17時くらいでした。
そんな激しい状況と同時刻、
「猛烈な雨」予報の防災速報も、携帯に届いていました。
それから1時間程した18時過ぎには雨足も弱まり、街は落ち着きを取り戻していました。
19時になると、雨も上がりだしているような状況の中、携帯がけたたましく鳴りました。
【緊急速報!】
役所の災害対策本部から、「土砂災害の危険性があるため、新たに避難準備情報を出し、避難所を開設しました」
小松寺地区(自宅があるところ)→小松寺会館
と、表記されていました。
???
台風が通り過ぎて、雨も上がりだしているのに避難準備情報とは?
地理的にも自宅の場所は洪水も土砂もないような場所なのですが・・
と思いつつも、先日のグループホームでの災害の件もありますし、
訓練と情報収集を兼ねて、地区の指定の会館へ行きました。
すると・・
避難者は誰もおらず・・(笑)
会館の管理者や区長さんや役員の方のみ、みえました。
その中に交じりしばらく話をしていると、役所の職員が会場管理のために来られました。
「雨は止んでも、後々で滑り出す事はあるので情報を出しています」
「移動に時間がかかる状態にある方は、避難の準備をしてほしい」とのこと。
自宅周辺地区は平地なのですが、少し北に行くとゆるやかな坂や面斜面があります。
そこまで限定的(例えば、小松寺地区北側の傾斜のある地域の皆さまへ等)に地区の指定はできないので、
地区まとめて出しているそうなのですが、雨が止みだして1時間してから避難準備情報が出ると、なんだか体感的には危機感が去った状態なので、???となりがちです。
しかしそんな自己判断の先に、災害が起こって手遅れになる事だってあり得ます。
今後も懲りず?に、情報に基づいた行動を心掛けたいと思います。
今回はいい訓練、情報収集の機会となりました。
自宅近くの避難所は毛布なし、食料なしでした。
本当に避難する際は、用意して行かなくてはいけないようです。
また、施設のある地区の避難所内の情報も、足を運んで確認しておく必要があると感じました。
そして速報・情報頼りばかりではなく、自分自身の危険予知能力、感覚も磨いておいて、先行した動きもしなくてはと思いました。
行動も用品も「備えよ常に」ですね☆
すっかり静けさを取り戻した街の雰囲気の中、2時間後に避難準備情報は解除されました。
役所の災害対策本部の方々、地区の役の方々
地区住民のためにありがとうございます☆
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
夜更かしケア
「中高年になって夜中に何度も目が覚める人や、朝早く目が覚めてしまう人は、朝の光を浴びないことが大切なポイントです」
そんな記事を先日見つけました。
最初この記事を読んで、「???」となりました。
今までの自分の知識は、「朝の光で体内時計をリセットする」ということでした。
確かにその事実はあります。
それを意識して仕事の中でも利用者さんに午前中に光を浴びて頂き、夜の睡眠に繋げるアプローチを意識してしてきたつもりです。
そんな中で、冒頭の記事です。
若い人には、午前中の光は必要かもしれませんが、中高年者には違うという事だそうです。
「無理のない範囲で、午後や夜に光やライトを浴びて、できるだけ夜更かしして下さい」
「睡眠時間は精々6時間なのです。細切れに寝るよりは、コンパクトにぎゅっと詰め込んで切れ目なく寝た方がいいです」
「長く横になっていると、その分だけ睡眠が伸びるという発想は間違いです。むしろ寝床で目が覚めている時間が長くなると、かえって緊張が高まって寝れなくなります」
「早起きは、さらなる早起きを招く悪循環の基」
とも書かれていました。
日テレのBS番組でも放映されていたようです。
利用者の状態は別にして、自分自身のリズムを振り返ると「あるある」です。
年齢によるものもありますが、現在超朝型人間になってしまっており「おじいちゃん」と言われてしまっています。(笑)
利用者さんの睡眠環境は、20時くらいには横になっていて、朝は6,7時くらいまでの10時間、11時間「寝る」ではなく、横になってもらっている事が多いです。
もちろん全員という訳ではありません。自分のペースがある方は9時10時11時まで自由にされている方もあります。
全介助やそれに近い方は、夜勤者一人になる前に横になっているという事業所都合になっている事が多いと思います。
そんなに早く横になって、朝までの長い間、ずっと寝ていられないのは経験的に分かっています。
もう少し夜更かしできて、睡眠をぎゅっとコンパクトにとれる工夫が必要かもと思うと、夜勤者の考え動きを変えるか、夜は22時23時までの超遅番勤務、が必要になるかもしれませんね。
個人ごとの病気や体調によって、睡眠環境や朝夕のリズムを考え直していきたいと思います。
冒頭の話に戻りますが、どこまでが真実・事実かは分かりませんので、もっと情報を集めて勉強して、利用者へのアプローチに活かせないか考えたいと思います。
日中の利用者さんの状態を見ていると、もう少しメリハリのある暮らしの組み立ては必要だと思っていましたので。
朝の光を浴びない
無理のない範囲で夜更かし
介護の中で、この方法でうまくいっている事例情報下さいまし。笑
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
姿勢
「俺の青春時代がいつの間にかなくなってしまって、知らないうちにこんなじいさんになってしまった・・」
認知症という状態が進行しつつある利用者さんの言葉です。
話をする。
歩く。
食事を食べる。
トイレに行く。
風呂も入る。
まだまだしっかりされているところが多い方です。
その分よけいにおかしくなっていく自分に不安、混乱、いらだちを抱えて生きていらっしゃるのだと思います。
青春時代から、今目の前に映る自分の姿にタイムスリップしたら誰だって愕然となるでしょう。
今に至るまでの時間の流れ、積み重ねが消えてしまうのはとても怖い事でしょう。
普通に生きている私達には、想像できない辛い体験をしていらっしゃるのだと思います。
そんなご本人に私達は何ができるのでしょう。
専門職として何をするべきなのでしょうか。
毎日、混乱の中で感情が揺れ動きます。
笑ったり、怒ったり。
事業所、他利用者さんへの影響も結構でています。
そんな繰り返しの日々の中で、
「また機嫌が悪くなっってきた・・」
「怒り出した・・どうしよう・・」
そんな苦手意識や、とまどいが起こるかもしれません。
本人が困っている状態を受けて、職員も困っていく・・
そんな悪循環が続かないようにしたいものです。
今僕らにできることは限られています。
困ってる人がいれば、そこに耳を傾け、手を差し伸べるのが人の道。
人としても、専門職としても向かい合う姿勢を大切にしたいところです。
「どうされました? 私で良ければ話を伺いますよ」
「力にならせてもらえませんか?」
そんな思い・想いや、声掛けを、一日何十回もかけ続けるくらいの姿勢を持ち続けられる自分・組織でありたいものです。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
いろいろな事情
朝、出勤すると部屋が整っていませんでした。
あっちもこっちも・・
この状態をどう捉えるか。
そこは仲間同士ですので、
「きっといろいろあったんだろうな・・」
という捉え方が前提となり、声かけは
「大変だったね。何かあったの?」
となるのがいいのだと思います。
スタッフ間は互いのことを
認め合い
尊重し合い
理解し合い
信頼し合い
励まし合い
助け合い
たたえ合う
そんな風土を作っていけたら、もっといい仕事ができるのだと思います。
滝子の施設にはまだ時々しかそんな風が吹いていません。
だからこそ、これからも意識し、皆で作り上げていきたいです。
大変な仕事だからストレスをためて、職員間で足を引っ張り合うのではなく、
大変な仕事だからこそ、色々なアプローチの結果や事情があって「そうなっている」と捉え関わり合える事が大切だと思うのです。
そして「称え合う」を大切にしたいものですね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
前回のブログのその後です。
手間をかけてうまくいった・・と思いきや、
夕食前に「お前ら俺の家で何ごちゃごちゃやっとんだ!! 出ていけ!!」
と怒り始められる方がみえ、他の利用者へ手が出そうだったので、全員事務所へ移動~
ご本人はリビングや廊下を行ったり来たり・・
1時間もすれば気持ちは変化するのは分かっていましたので、
ご本人の世界を尊重し皆は視界の外(事務所)へ。
事務所で夕食を完成させ、そのまま食べました。
こじんまりと、密集しているのがいいのか、いがいといい雰囲気で過ごせました☆
予定通りにいかないのが介護ですね。
急がば回れ
今日は何やら動きが活発な日でした。
3階の方は外へ外へ。
2階の方も「家に帰りたいんだけど・・」とフロア外へ。
理由は色々あると思います。
今日の方々の場合は、
いつも利用している顔見知りが休みでいない
便がなかなか出ない
お金の心配事がある
朝から雨模様で天気が悪い
等々あったようです。
しばらくは、引き留めてみたり、色々な理由を伝えてみたり・・
でも、「説得」はなかなか通じません。
ご本人にとって「納得」できる理由が必要なのです。
でもそれも、頭で理解してもらうだけだと、動きは止めにくい時はあります。
引き留めばかりで気分が悪くなってしまうと、その先の関わりがより大変になる事があります。
そのような時は
「外へ行きましょう」
「行ってらっしゃい」
実際にご本人の思いを叶えれるような応援がいいように思います。
と、いいましても実際に「家に帰る」ところまでの応援でなく、
「外に出たい」という最初の過程を応援できたらと思っていますが。
人や状態にもよりますが、本日の方々の場合、外に出てしばらくすると目的や帰る所が分からなくなる方ですので、引き留めるばかりではなく、まず出てみることが大切なのだと思います。
という事で、同時多発的に外へ外へという行動が食後にありましたので、
Aさんは車で、Bさんは徒歩で、外へ出ました。
Bさんは後方をずっとついていきましたが、いつも行くスーパーへ往復1.5キロ歩いて自分で施設へ戻られました。
戻ってからは皆さんいつものペースに。
先手で、手間をかける方が後々よさそうですね☆
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
ペース早く歩かれるBさん。
膝が痛く走れない自分はついていくのが大変!
そのうち見失ってしまうかも・・