「そうだよね」
ご自宅から来られた利用者さんが厚めのコート?上着を着られていたのですが、
「なかなか脱いで頂けなくてどうしようか?」となっていました。
本人の主張としては、「寒いから着ていたいの」
施設側としては、「籠り熱がおこりやすい」「室温は暖かい」「体温測ると37.4」
ご本人さんの気持ちを大切にしながら、どうやって脱いで頂くか・・
何回か声をかけてみても、「着ていたい」
「外で着る用なので、部屋の中では脱いでいきましょう」
「帰りに外にでる時に着るものないので、脱いでおきましょう」
あれこれ言い回ししてもなかなかうまくいきません
では、「流れ」を活用してと・・
トイレに行かれ、席に戻る途中に「上着掛け」のハンガーを目のつくところにセット。
それが目に入ったところで、自然と当たり前のような雰囲気で、
「上着はこのハンガーにあっけておいてくださいね」
と声をかけると、「かけといたほうがいいかね・・」といいながら、
服を脱いで、かけて頂きました。
「よしっ」
一方的に、正しいからといって、必要だからといって、
こちらの主張を無理やり、強引にもっていくのは可能な限り避けたいものです。
なるべく本人の気持ちを汲みながらとなると、
「そうだよね」
といった納得のできる状況や環境や声かけが必要で、
その気持ちや動きを引っ張り出せてこその、介護かなと。
今回はいつもの到着後の「流れ」を再演出して、さりげなく目的を達成しました。
いつもいつもうまくいくとは限りませんが、あれこれやり続けていきたいと思います~
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
うまくいったと思いきや・・
そのまま10分程置いておいたものですから、
ハンガーにかけてあった服を再び着込んで座られていました。汗笑
ちゃんちゃん♪
喪失
私事ではありますが、先日「歯」を抜きました。
50歳目前にして、初めて永久歯を失う事となりました。
自分にとっては、その不安というか喪失感といいますか、結構なものがあります。
今もぽっかり一部分が空いている違和感にはなかなかなれません。
人は歳を重ねる先に、獲得もしていきますが、失うものも増えてきます。
失うものが、自分自身の何かだと、結構へこみますね。
こればかりは、失ってみないと、その痛み、辛さ、不安はなかなかわからないものだと思います。
年齢もそうですが、自分の体の不調や失っていくものが出てくると、
「あ~ 衰えたな」
と実感、痛感せざるを得ません。
人はそうやって「死」に一歩一歩、日々近づいているんですよね。
そんな喪失感を数えきれないほど、山のように抱えて生きている、目の前の
利用者さん達を見ていると、なんとたくましい事。
喪失を抱えて生きる
これからも、いろいろなものを失っていく先に、
この仕事に通じるもの、活かせるものがあると信じ、
いろんなものを失う事に対する共感力Upにつなげていきたいと思います~☆
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
福島出張直前の抜歯でしたので、夜の交流会等でお酒が
飲めなかったのが残念~泣
というほど飲める訳ではないのですけどね。
抽象的ではありますが、大切な人や物を失うと喪失感を持つことが多いと思います。
脱出計画
少しお久しぶりです。
今回のブログで福島県への出張の様子をお伝えしようと思っていたのですが、
写真が取り込めなかったので、準備でき次第UPさせて頂きたいと思います。
話は変わり、本日、玄関の入り口横に上着と靴が置いてありました。
自転車置き場ですので、出勤してきた職員さんのなんらかの意図があってのことかな?
と想像し、その場を離れ、30分後。
このフロアのベランダを歩いている入居者さんの姿を見かけました。
それはそれで、探し物やぶらぶらしているのかと思ったのですが、
「ここから出れる?」
と話されたのを聞いて、先ほどの上着と靴と結びつきました。
「脱出計画だ!!」
よく見ると、窓も空いていました。
グループホームから出ようと、靴や服を投げだしたものの、
自分がその高さの窓から出れなかったのでしょう。
いや~脱出計画って素敵ですよね。
「ここが嫌!」という雰囲気はご本人からは感じられませんでしたが、
脱出計画を練っている雰囲気って、なんだか
ワクワク感? 目的感?
あっていい表情だなと思いました。
その気持ちに応える事ができたらと、フロアスタッフに伝達しましたが、
応える体制や状況が整わなかったのが少し残念です。
しかし、その行動力はステキですよね~☆
これからもその気持ち、能力を失わないようにしていきたいものです。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
業務の向こう側
自宅近所のスーパーで買い物をしようと店内を進んでいると・・
「おっと!陳列中ですね」
「では、違う通路へと・・・」
「こっちもですか!」
あちこちで通行止めです。
こちらは、買い物カートを押しつつ、幼児もつれているので、
存在感といいますか、移動の際の「音」や「気配」はそこそこあると思います。
それで近づいても、お客に対する配慮や声かけなど一切なく、黙々と陳列を続けています。
「やれやれ」
でも、自分達だって同じような事をしているのかもしれませんよね。
個人として与えられた、やるべき事柄に集中しているのはわかりますが、
それだけでは本末転倒になってしまいます。
「何のために陳列しているのか」
「誰のため、もしくは誰に買ってもらうのかという事をイメージできているのか」
並べるだけだったら、小学生でもできるかもしれません。
与えられた事や、やるべき事を淡々とこなすだけが仕事ではありません。
「自分がこうしたい、こうやらなくちゃ」
といった事ではなく、
「自分がこれをする事は、誰や何にとって必要だったり大切だったりするのか」
「自分が今やっている事が、何のためで、どこに繋がっているのか」
「それをしている自分の姿は、まわりの人から見てどう見えているのか」
「対象となる方にとって、自分の今やっている事が活きているのか」等々
そんな、「目の前の業務の向こう側の仕事」まで視野を広げたり、
「やっている事の目的」を理解したり、
それをしている「周りの環境へも気を配る事」が必要なのだと思います。
これは介護も一緒です。
「自分のやりたい介護」
「やってあげたい思い」
ではなく、
目の前の1回1回の介護や関わりが、
将来や先を見据えて、能力低下につながらないようにしているだろうか
相手の心理にどう影響していくのだろうか
周りからみて、どのような仕事をしているように見えているのか
等々、先々や周りへの繋がり広がりを意識して仕事をしていかなければならないと思うのです。
「相手」や「周りの人」にとってどうなのか?
を忘れないように、置き去りにならないように、していきたいですね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
金曜日から福島県へ移動します。
東日本大震災による、福島原子力発電所の事故があった町に入らせて頂く事になりました。
波の女も属する「おせっかいねっと(災害支援法人ネットワーク)」の活動の一環です。
その関係で次のブログUpは10日か11日頃になると思います。
しっかり学び感じとって、何かできる事がないか考えてきます~☆
☆新年度☆
新年度になりました。
今年度もよろしくお願い致します。
「年」と「年度」と、年に2回気持ちや環境を改めたり、新しいこ事が始まる機会がある日本です。
イギリス、カナダ、インド等も日本と一緒の4月~3月の区切りがある国だそうですが、
他の国では全く違うようです。
さて、新年度始まりましたが、
原点の確認をするいい機会だと思います。
自分達の軸はどこにあるのか
どこを目指すべきか
介護保険の理念にしても
施設理念や方針でもいいのですが、
個人、チームとして目指すもの、進む方向を再確認するいいタイミングですよね。
という事で、目指すものに合わせて、
私達の大切な視点の確認を、新年度冒頭にしておきたいと思います。
和田行男・作
私はすべてを失ったわけではありません
どんなことでも まず問いかけてみてください
何でも まず私の意思を確認してみください
食べる 食べない 行く 行かない 暑い 暑くない?
どうしたのって 聞いてみてください
訳のわからないことを言うかもしれまあせんが 私は病気です
痴呆状態にあるのです 進行性の難病といってもいいでしょう
察してください ようく見てください
私はすべてを失ったわけではありません
まだまだ若いものに負けないこともたくさんあります あると思います
でも 若い頃と同じようにはできないでしょう
あせらせないで じっと見ていてください
見ていて 少しだけ手を貸してください
人間の機能や能力は使わないと使えなくなると 若い頃に聞きました
生きるためにたたかう力はまだまだ・・・・・
私はすべてを失ったわけではありません
外だって自由に出たがるでしょう 雲や星が好きです
外に自由に出られるようにしていてくれさえすれば 自分ででかけます
でもきっと目的地には着けないでしょう 戻れなくなるでしょう
そっとついてきてくれると嬉しいです
とまどったり 不安げになったら そっと傍に来て
どうしたのって声をかけてください
きっとあなたのことが天使様に見えるでしょう
私のことを笑ってくれていいですよ
きっとおかしなことを言ったり おかしな恰好をすることでしょう
でもお願いです 陰で笑ったり 自分一人だけで 仲間同士だけで笑わないで
私にも笑っている訳を教えてください
きっと私も笑いの仲間に入り いっしょにおかしむでしょう
だって おかしいことはおかしいと 私にもわかるから
私はすべてを失ったわけではありません
私のことを痴呆老人なんて呼ばないでください
私の名前は 和田サンです
私のことをわがままなんて言わないでください
私はあなたと同じ人間です
ただ 痴呆という難しい状態になっただけです
私の努力では 止められないんです
相手の立場で感じ考える事ができる自分でい続けたいと思います。
今年度も、波の女をよろしくお願い致します!
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
次のブログUpは4日の予定です☆
生活行為
小規模多機能の利用者のTさん、
基本毎日通われています。
通いサービス利用中の時間は、
食事作りや片づけを中心に、時々買い物に行かれたり、
お風呂に入られたりしています。
風呂に入ると、服一式変えて頂くのですが、
着ていた服はクラブ利用中に洗濯となります。
毎日朝から夕まで通われているので、自宅で洗濯する時間、
意欲、行為等がないのが実情です。
という事で、利用中に洗濯し終わった
「自分の服」を「自分で干して」頂きました。
これ、自立している方にとっては当たり前の行為ですが、
介護サービスを利用すると、職員に取り上げられてしまいがちな行為です。
「自分の事は自分で」が人が生きる姿の基本の一つですから、
有する能力がある限り、このような行為をする機会を作り出すのも僕等の仕事の一部なのだと思います。
その行為を見ていた女性利用者が手伝いに行かれました。
女性としては、得意分野?なだけに、気になるんでしょうね。笑
このような「生活行為」は、いろいろな広がり、関係性をみせるので楽しいですね☆
たまに「生活リハビリですね。」
なぁんて事言われる事があったり、なんでもかんでも「療法」にしてみたりと、
この業界では捉えがちですが、
単純な「生活行為」の引き出しや応援をしているにすぎませーーーん。
「生活行為」は、自分という人生の主体者が、
自分のために自分の能力を発揮して行う事が基本です。
それを引き出し、応援していく事を大切にしていきたいですね☆
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
今年は桜満開後、雨が降らないので長持ちしそうですね。
施設近隣にも桜の名所ありますが、自宅近所にもあるので、
繰り出してみました☆
ご存じでしょうが、私は花より団子派です☆
春ですね~
急に暖かくなりましたね。
昼は暑いくらいの名古屋です。
利用者さんもそんな気候の変化を感じてか、
先日は全体的にそわそわ?モードでした。
いつもは全然動かない方が「家に帰る」と玄関へ。
「お客さんが来る」と玄関から外へ行かれようとする方。
「事務長さんに話がある」と立ったり座ったりする方。(転倒最注意の方です)
いつも以上にフロア内を歩きまわられる方。
等々、最近と比べると、動きが多いなと感じていた矢先、
当日の宿泊者と夕食作りをしている最中、怒り出す男性利用者さんがいました。
「ここは俺の家だ! おまえら何やってるんだ!! 出ていけ!!」
久しぶりの言動です。
「分かりました」
「すぐ出ていきますね」
とフロアにいる利用者さんに協力して頂き、
死角になっている事務所へ移動~
フロアはからっぽに・・
全員外出か、「出ていけ~!」の時に発生する滝子名物です~
まぁ、ご本人の世界に周りが合わせるのが一番ですよね☆
そうなる前に打つ手もあるとは思いますが・・
今回はささーっと、合わせたら30分程で、いつも通りに☆
ご機嫌でご自宅へ送り届ける事ができました。
負のエネルギーを発散した後は、スッキリするものですよね。
ああだこうだ、こちらの都合や言い訳をしてすったもんだするより、
ご本人の世界に合わせた対応を心がける方が、実は分かりやすく、早く、
本人さんにとってもいいのだと思います~☆
何が起こっても、「そりゃそうだよね」と、
本人さんの世界の理解を心がけていきたいものです。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
詳細は全くもって不明ですが、先ほど社長から写真が届きました。
「速報」という事で。笑
役員の和田行男が、パイオニア部門を受賞者したらしく、
安部総理と握手している場面みたいです。
万歳!!
先入観
ある男性利用者さんが、リビングで席を立ち、
角の方へ行かれ、ズボンのチャックに手をかけようとされていました。
(ように後ろからは見えました)
時々、外で「立ちしょん」をされる方です。
「皆の前で、されてはマズイな・・」
とっさに寄り、小声で語りかけます。
「○○さん。トイレはあちらにありますよ」
返ってきた答えは・・
「いや、ちょっとあそこが痒いからかこうと思って」
「しまった!!」
皆の前で、ズボンに手を入れ、ボリボリ?かくのはよくないと
判断されての行動だったのでしょう。
経験に基づく予測力を発揮し、本人のため、周りのみなさんのためにと、
勝手に先回りしすぎた結果が今回の出来事でした。
そのやりとりを見ていた近くの方には、「あの人は何やってんだ!」と言われたり、
思われた方があったと思います。
そっと見守っていたら、さりげなく事は過ぎた場面でもあったと想像します。
この方の行動をもう少し見極める必要がありました。
いや、「先入観」や「レッテル」を一方的にかけてしまった自分がいたという事でしょう。
先入観:前もっていだいている固定的な観念。
それによって自由な思考が妨げられる場合にいう。
実際の体験に先立って,ある特定の対象に対してもつ主観的価値判断。
レッテル:人物や物事についての断定的な評価。
「予測力」いきすぎると「先入観」
気を付けていきたいと思います~☆
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
穏やかな日が増えてきましたね♪
桜もいよいよ本番を迎える名古屋です☆
瞳の奥
どこの事業所にも介護を必要とする量や質がたくさん必要としている、
「要介護5」という状態の方がいらっしゃると思います。
不本意ながら、体や脳や様々な病気などにより、
自分の事が自分でできなくなり、
専門職の手を生活のあらゆる場面で必要とされている方です。
体の不具合もいろいろありますが、
認知症やその他の疾病により、脳の調子が悪くなり、
表面的には、コミュニケーションを取れなくなっている方も多くみえます。
表面的には、
私達に伝わる言葉で表現できなかったり、
私達からご本人に対するアプローチが届いていないようにみえても、
「心は生きている」
と感じる場面は関わっている最中のあちらこちらに感じる場面は結構あります。
脳や体の不具合により、
私達に対し意思表示をうまくできないだけで、
私達のしている事、話しかける事、思っている事は
かなり本人に届いているのは間違いありません。
これは専門職のだれもが感じる事実でしょう。
それに対し、
「Yes]「No」「いい」「悪い」「いやだ」「ああだこうだ」等
反応できる機能や回路は、不具合があり表出できないだけで、
私達のしている事に対し、いろいろな「思い」を抱いている事でしょう。
その事をしっかり理解していないと、
「わからないだろう」
「覚えていないだろう」
「反応ないから」
と、職員本位の一方的だったり、ご本人に不利益な事や、
雑な対応をしてしまう事が起こってしまうかもしれません。
表面的に反応があろうがなかろうが、
私達は、目の前の人間に対し、
人間として真摯な態度で、関わり続ける
という、自分を律する行動が必要な仕事なんだと思います。
そんな「人が生きる」「人として生きる」
を応援できる専門職であり続けたいと思います。
時に利用者の「瞳の奥」を覗き込んでみてください。
その視線や瞳の輝きの奥から
私達に何かを語りかけている事を
察知していきたいですね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「思える力」
時々、食事の介助の必要がある、Hさん。
食事時間が1時間以上かかることが頻回にあります。
他の方が食べ終わり、片づけが済んだ後でもゆっくりゆっくり食べられています。
写真は、自分の食事が終わったKさんが、Hさんの口に食事を運んでいる場面です。
月に1回2回あるかないかくらいの頻度ですが、ふとした瞬間にこのような姿がみられます。
飲み込みにリスクがあるのであれば、この状況をよしとはいえないのですが、
そうでないこの場合、「素敵だなぁ」と思えたりしています。
人は互いに助け合って人生を送ります
目の前に助けた方がいいのかな?
手伝った方がいいのかな?
といった状況に直面すると、
「ほかってはおけない」
「力になってあげたい」
と「思える力」が発揮されるって素敵ですよね☆
僕等よりも、自分自身に不安がある利用者さんなのに、
他人の事、他人の立場で物事を捉える事ができ、
そこに自分が何ができるか、何をするかの行動を起こすことができる。
何十年に及よぶ人生の中で、人が獲得した力を発揮し続けることができる
環境やその思いに気づき、素敵だなって思える事も大切にしていきたいですね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
次のブログUpは23日頃の予定です。