「介護」から「生きること支援へ」
「波の女」の封筒に書かれているキャッチフレーズです。
現在の大多数の介護サービスは、施設の中で利用者・入居者の生活をほぼ完結させています。
生きていく上で必要なものを、ほとんど施設の中に持ち込み、呼び込んでいる事が多いと思います。
その限られた空間の施設の中で、親切・丁寧に関わり、様々なレクリエーションを提供したり、「必要以上」にして差し上げる事の連続の中で、どちらかと言えば目の前の方々を「生かしている」現状があります。
そんな現在の介護の概念を変え、枠を広げ、本来の「人の生き方」を追求するために作られたのが「波の女」です。
「そんな事ない!頑張っています!」という事業所も間違いなくありますが、どこにあるか分かりにくい社会ですので、そんな事業所は声を上げ、繋がり、波紋を広げていきたいですね☆
先日行われた「就職博」で、上記のような説明を繰り返ししている中で、自分自身の振り返り・反省の機会となりました。
「自分の事は自分でできるように」
例えば、何を食べたいか考え、その食材を買いに行き、調理して食べ、後片付けを行い、周りが汚れたら掃除をしたり、洗濯物を干したりたたんだり・・そんな暮らしの基本を整える。
「互いに助け合っていけるように」
狭い空間の中で他人同士がいるので、「共に生きていく」「共に過ごす」ための活動や人間関係調整を行う。
「社会と繋がれるように」
自分が生きていく上で必要なものはほとんど「外」にあります。
外から中に職員や業者が持ち込んでいくより、中から外へ調達しに出たり、利用しに行ったりする事を応援する。
そんな「人として生きる姿」に向かい、有する能力に応じて支援していかねばと改めて考えさせられました。
目指すは「自分達自身が生きている側」に、入居者・利用者を近づけたいものです。
「生かされる」から「自分の力を使って生きる」と体感・実感できるのが「生活」
それを引っ張り出す、応援するという、従来の「介護」から枠を広げた支援を心がけ、追求したいと思います。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「あっ・・でも、自転車外出の支援はちょっと・・・・」
と限界点もあるのも事実です。(笑)
「縁」
本日は、学卒者・転職者との「縁」を頂く就職博でした。
(波の女ブースと、和田健二さん)
他の業界と混合で行うと、この業界の話を聞きにくる方の来場者数は少ない~
とはいえ、健闘の「14名」の方々と「ご縁」をきました。
本当にありがたい事です。
承諾して頂けたので、何名かの学生さんの「後姿」と、説明をしているフリの私こと「井」と、めったに登場しない「社長」とのショットをご覧下さい。
それにしても、よ~しゃべってしまいました。
それも「熱く」! 笑
相手の話を聞く事を尊重したいはずなのに、気がつけばしゃべり続ける自分は、ほとんど病気?なのかもしれませんね。笑
本日話できた方々は、とても素敵な方ばかりで、有意義な時間を過ごす事ができました。
ありがとうございました。
「波の女って・・・海の関係とか、あまさんの仕事かと思いました」笑
といった話もして頂けました。
この素敵な「ご縁」が、未来に繋がっていくといいですね。
明日はどんな方々とお会いできるか楽しみです♪
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
あ~喉が少しい痛いし、声が変になっています。。。
明日、声でるかな(笑)
「介護の質」はどうなるのか・・(後)
(前回の続き)
別の視点で考えてみます。
「15万人の待機をなくす=入れる施設を作る」
これを単純計算すると、100人の特養を1500ヶ所作る事になります。
それに伴う職員を、1施設50人と仮定すると、75000人の雇用が必要になります。
確かにお金と人が動く事で、景気的にはいいように思えるのですが、そう簡単な話ではありません。
主に特養を作れるのは「地方公共団体」や「社会福祉法人」等です。
そこに求人がかかると、「株式会社」等の施設の職員採用が更に厳しくなる可能性があります。
大手のチェーン企業ならまだしも、小さな株式会社と大きな社会福祉法人の求人が同時に出ていると、求職者の目がいくのはどちらなのでしょうか。
就職フェア等にブースを設置して、来場者の動きをみてみると7:3、8:2くらいで社会福祉法人の方に人が動いていると感じています。(個人的主観です)
そういった意味で、小さな民間企業の介護施設の求人が更に厳しくなるような気がするのですが・・
いずれにしても介護全体の人手不足に拍車がかかり、「来るもの拒まず・拒めず」環境も、ますます進む可能性があります。
このような環境の中で、介護の質が逆行してしまうのではないか?と怖くなります。
今、介護現場に必要なものは、「志」を基に「姿勢」や「向上心」を持ち続けられる人材や、それを支え、引っ張り出す職場環境・風土が必要なのではと感じています。
職員の「数」だけでは、介護施設の質は低下してしまいます。
まずは現場の「介護の質」向上を目指し、魅力や意義のある介護現場最前線を、現任者の私達が作り出さねばいけないのだと思います。
そのために、「保護され生かされる姿」から「活き活きとたくましく生きる姿」を、国民に見て頂けるような介護・支援が必要なのではないでしょうか。
国として、「待機者を減らす」「整備にお金を動かす」という表向きだけでなく、そこから広がる色々な波紋や背景を調査、予測した上で「魅力ある職場」「やりがいのある職場」を作り出しやすい環境や条件を整える事も同時に考えて頂きたいものです。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「介護の質」はどうなるのか・・(前)
「介護離職ゼロ」目指し、特養増設・待機解消へ
安倍首相は、先の自民党総裁選の公約で掲げた「介護離職ゼロ」の実現に向け、特別養護老人ホーム(特養)の大幅な整備に乗り出す方針を固めた。
全面的に介護が必要な入所待機者を、2020年代初めまでに解消することを目標に掲げ、16年度当初予算から特養の整備費用を拡充する。24日の記者会見で、社会保障制度改革の最重要施策として表明する。
首相の記者会見を踏まえ、政府は、少子高齢化や、労働力人口の減少を食い止める策の検討に向け、経済界や労働界などでつくる「国民会議」を創設する。
特養の入所待機者は、13年度で全国に約52万人いる。このうち、身の回りの世話が一人ではできず、自宅で待機している「要介護3」以上の約15万人をゼロにすることを目標とする。
特養を増やす具体策として、政府は、消費増税分を原資とする「地域医療介護総合確保基金」(15年度の介護分で724億円)を財源として活用する。社会保障の財源としては将来、家庭に眠っているタンス預金を掘り起こすことが期待される「無利子非課税国債」の発行が検討される可能性がある。
読売新聞 9月24日(木) 記事より抜粋
最初見出しを読んで、離職ゼロ=職員の待遇や環境改善を図るのか?
と思い、ドキドキして内容を確認したのですが・・・
「家族が介護のために退職するのをなくす=施設に入れるよう整備を進める」
という事で少しがっかりしました。
今の介護業界の進む方向性は、在宅思考を進め、地域密着サービスや地域包括ケアを促進している側面があると思いますが、それと逆行しているようにも思えます。
介護をするために離職する人は10万人程度みえると思います。
その方々を働き続けられるようにとういうのは大切な事です。
しかし、「親を施設に入れれば働き続けられる」という前に、手を打つ事があるのではないでしょうか?
会社へのアンケート調査によると、勤務先で介護の相談ができたり、介護の情報を入手する事がほとんどないというデータがあります。
介護を抱えている社員がいるかどうか把握していない企業が全体の半分近くあるとい
う現状もあります。
介護の悩みや相談は、担当のケアマネや地域包括スタッフだけでなく、会社内においてできる仕組みが必要なのではないでしょうか。
ある程度社員数がある会社は、社内に「介護相談」の窓口・担当者を設置するとか、アドバイスをしてくれる専門職と提携するとか、地域包括職員と連携するとか、介護休暇や介護支援勤務体系の周知や実施を進めるとか、地域の会社と地域の施設が密着し、相互に情報交換や連携できる仕組みを推進する等、いろいろやれそうな事はありそうですが・・
「預かってくれる所を増やす」という視点だけでなく、介護を理解し、支えようとする会社の意識や仕組みを整える必要があると思うのです。
いかがでしょうか?
(長くなったので次回に続きます)
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「主体性」を導き出すアプローチ②
- 押し付けない、強要しない
利用者の「できる事」が見えてくると、「やらせる」「やらなければいけない」といった、行き過ぎた誤った感覚に陥る可能性があるので注意です。
「○○して下さい」
「○○しないとご飯食べれませんよ」
といった「させる」とか「条件付き」になり、押し付なってしまいがちです。そうなると、動いて能力は発揮できていても、主体性は職員に移り、職員の指示で動く受動的な姿になってしまいます。
最初の内はやる人、やらない人が分かれる(ずっとやらない人もいるとは思います)と思います。
そこであせらない事です。
力加減で勝る職員が押し付けると、断りきれず嫌な思いをされる事もあると思います。
それでも続けていると、職員も利用者も慣れて、押し付けている、押し付けられている感覚が麻痺してしまうかもしれません。
行き過ぎはパワハラであり、虐待と言われてもおかしくないという事を肝に銘じておかなければなりません。
私達のもって行きかたは「そそる」です。
「しようかなぁ」「やってみようかな」を引き出す事を、心がけ、色々なアプローチや仕掛けをする必要があります。
皆さんも「させられる」より「そそる」方がいいと思いませんか?
そんな環境の方が素敵だと思いませんか?
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「天気がいいから海いきたいね」利用者
「ではいきましょう!」
「○○したい」が即叶うと、主体性が出てきますよね。
「わがまま」と「主体性」の区別がつきにくいのですが・・笑
「見守りシューズ」初活躍
一見、普通の介護シューズですが中敷の下には・・
位置情報の電波を発信する装置が入っています。
毎日20回、30回と外に出続ける方の家族に協力頂き運用を開始しています。
基本的に外に出る時に職員はついていきますが、10秒、20秒遅れて出るだけで見失ってしまう程の歩行能力をお持ちの方なので、早期?即時発見にはとても役立つのではと期待しているアイテムです。
導入して数日たっていますが、本日自分がついている時に行方を見失ってしまいました。
いつも通りに近いルートで街の中を歩かれているものと思い、ウロウロ探していましやが、姿が見えず・・・
そこで早速携帯で検索してみました。
画像は帰りついた後のものですが、その時点で検索をかけると赤い矢印で地図上に表示されます。
それを確認すると、いつもとは異なる方向で表示されました。
「これは行方不明になる可能性が高い!」
という事でそちらの方へ行くと・・・
200か300メートル先を突き進まれているのが見えました。
あとは距離をつめて、行動を見守りながら分析をしながらついていくだけです。
途中で疲れから足取りが悪くなり、転倒の危険性が高まってきたので、横に寄り添い、支えながら施設へ戻ってきました。
現在地がすぐ分かるって素敵ですね。
心置きなく、外出をして頂きたいと思います。
スタッフも必死に走り回りますので(笑)
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
不本意×不本意
昨日、グループホームのNさんの採血を行いました。
認知症という状態に加え、高い身体能力をお持ちの方です。
「嫌な事は嫌!」
というスタイルは、3年を過ぎても変わりません。
「何かされるのは嫌」という事で、普段の血圧測定すらほとんどできない状態で、「採血」なんてとんでもない状況です。
しかし色々な状態や状況があり、採血を行って体の中の状態を把握する必要がでてきたので、今回は強行させて頂く事にしました。
結果として、2分程男性職員3名で体を固定させなんとか採血できました。
本人さんも不本意ながら、こちらも押さえつけるのは不本意です。
「不本意×不本意」の状況ですが、この先の体調管理に必要な事で、後々本人さんに不利益にならぬよう仕方なしにさせて頂きました。
申し訳ありません Nさん
でも、むさっくるしいかもしれませんが、男に囲まれて、痛み以外ではいい状況だったのかも知れません。
表情からご想像下さいませ。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
天気が良くなると、布団や洗濯物だらけの滝子通一丁目福祉施設です。
そんな好天の中、いつもと違うルートで一人歩きされる方にそっと付いていきました。
きままに街の中を歩く姿って素敵ですね☆
「主体性」を導きだすアプローチ①
「主体性」を考える①~③のような視点や意識を整えたら、いざ実践です。
最終的に、そこのフロアの中に、「自分達の事(少なくとも自分の事)は自分達でやる」のが当たり前という空気感といいますか、風が吹き出すと素敵ですね。
主体的に動くのが継続的になり、動かれる人数は増えてくると、相乗効果でその流れは加速していくのだと思います。
「皆がやっているから自分も・・」人は流される生き物ですから。
では実践するにあたり大切にしたい事や、アプローチ方法の一例を何回かに分けUPさせて頂きます。
①関係性を基に進める
主体的な行動を引き出すにはそれなりの「仕掛け」や気持ちを引き出す「そそる」等のアプローチが必要になってきますが、それらを引き出すには、職員と相手との関係性が影響してきます。
嫌な人から何を言われても、そそられないものです。
「あんたがそういうならやってみようかね・・」というあたりが入り口となってきます。
まずは、「あなたの味方で、あなたの力にならせて頂きたいです」といった態度で接する事を大切にしていきたいですね。
経験値が高い方は、瞬時に主体性を導き出せるアプローチができる方もいるとは思いますが、自分を含め普通?一般?の介護職の方は、ある程度信頼関係やなじみの関係ができた上で、アプローチできるといいのではと思います。
日頃からの関係性を大切にしましょうね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「老人?」の日
本日9月15日は「老人の日」です。
知ってますか?
毎日出勤時エンジンをかけると、車のナビゲーションが「今日は○○の日です」と教えてくれて自分は知りました。笑
「ん? 敬老の日は来週にあるけど、どう違うのか?」と疑問に思い調べてみました。
9月15日…………老人福祉法で定める「老人の日」
9月15日〜21日…老人福祉法で定める「老人週間」
9月第3月曜日 …祝日法で定める「敬老の日」
となっていました。
「老人の日」、「老人週間」の目的は、「国民の間に広く老人の福祉についての関心と理解を深めるとともに、老人に対し自らの生活の向上に努める意欲を促すため、老人の日及び老人週間を設ける」とされています。
「敬老の日」は、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」とされています。
結構、趣旨が異なる日なんですね。
ちなみに 9月15日という日付には何の由来もないそうです。
そもそも「老人」とは何で、何歳からを指すのでしょうか?
老人福祉法では、老人の定義はないようですが、具体的な施策対象は65歳以上を原則としているそうです。
少しイメージ良く「高齢者」と表現される事もあると思います。
ちなみに国連では60歳以上、世界保健機関(WHO)では65歳以上を高齢者としていますが、いつから位置づけたのか知っていますか?
それは、1956年!!
約60年以上も前の話です。
当時の日本人の平均寿命は66歳!!
そりゃ65歳は「老人」「高齢者」でOKだった時代だと思います。
今の日本の平均年齢は、男性が80.50歳、女性が86.83歳!!!(2014 年7月現在 簡易生命表より)
65歳で「老人」「高齢者」なんてとんでもない時代だと思うのですが・・
これを機に、日本における「老人」「高齢者」の定義を考えていきませんか?
65歳なんてまだまだ現役。
「老人」なんて当人も思わない、周りも認めない、まだまだ現役で役割を持ち、社会参加をする「上位の人生経験者」として活躍して頂きたいと思います。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
昨日は「和田行男」による、施設内勉強会が開催されました。
なんとも贅沢で貴重な時間ですね。
手前から2番目の方は、クラブ滝子の利用者さんです。
最初から最期まで参加されていました。
まだまだ現役!!(笑)
本日のグループホームの会議でも・・
会議参加 皆勤賞に拍手!!☆
「主体性」を考える③
「家族へ説明・同意」
利用者さんへの支援・介護は、事業所単独で行っているものではありません。
本人・家族の意向を踏まえたケアプランも絡んでいます。
更に、事業所の今までの方向性や理念・方針との関係もあります。
今までは親切丁寧に、手取り足取り「して差し上げる介護」をしておきながら、明日から「主体性は大切だ!」「自分の事は自分で」と方向転換を図ると、本人も家族も大混乱してしまうかもしれません。
特に事業所理念やパンフレットに「安心・安全を第一」等と明記している場合、慎重さが必要になります。
主体性を引っ張り出すという事は、リスクを想定して減らす努力や仕組みをもってしても、完全無欠で安心・安全を守れるものではないという「覚悟」を事業所も家族も持つ必要があると思うのです。
そうでなければ、その先にある「障害を抱えても人として生きる姿」を引き出すのは難しいのではないでしょうか。
ですので、施設見学時や説明時に「主体性」を引き出すアプローチに絡めて、メリットやデメリット、リスクの話をしておき、契約時に念押しをするくらいの周到さが必要になるのではと思います。
「聞いていた話と違う!」等々の家族とのトラブルは、互いにとても無駄な時間・エネルギー消費となってしまいます。
家族はケアをする仲間の側にいて頂くのが一番ですね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治