施設の質=職員の質
以前より、波の女への問い合わせがきっかけでやりとりしている方がみえます。
そんなある特養の方とのやりとりを一部紹介させて頂きます。
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波の女さんのブログにはいつもうなずきながら見ています。
いつも利用者に真摯に向き合う姿、特に私としては人が人として生きる上での「当たり前」についていつも「挑戦している」ところが本当に学びになりますし、やはり、立ち向かう「姿勢」というのがこの仕事にはとても大切なんだと気づかされます。
いつもブログを見ながら自分も鼓舞されています。
本当にありがたい限りです。
少しでも「チャレンジする」といった風を我が特養の現場でもふかせられるようにできたらと思っています。
とメールがきていました。
いつもブログを見て頂き、ありがたいことです。
しかし我が滝子も一見しっかりやってそうな雰囲気を出しているように見えるかと思いますが、まだまだの状況もたくさんあります。
というのも、和田や私が偉そうに語っていることを実践するのは現場のスタッフ達です。
人は1日24時間、1ヶ月720時間(30日の月)を生きていきます。
そこに私は現場勤務時間として1日8時間、月に168時間しか勤務しておりません。
残りの約550時間を超える時間は、私以外の スタッフにより暮らしは支えられています。
暮らしの約77%は他スタッフが支えているということです。
(もちろん緊急時や対応困難時等は24時間体制でサポートしています)
これは、私以外のスタッフの質に大きく影響される暮らしという事です。
つまり、1人ひとりのスタッフの質=施設の質ななるということです。
そう考えると、社会を舞台に暮らしを支援しているのは間違いないのですが、細かくみていくと、知識・技術・センス・コミュニケーション力・予測力・対応力等々まだまだの現状で、??な場面や対応は日々見受けられる状態があります。
そういった意味で、介護は一人ひとりのスタッフ力と、それを絡み合わせるチーム力が織り成すものだといえます。
「施設の質=職員の質」
このことを一人ひとりの職員が意識しながら、チーム全体で介護の質を上げていけるように挑んでいく仕事なんだと思います。
皆で一生懸命挑んでいく「姿勢」「努力」と、こんなのでいいのかと思える「センス」を大切にしていきたいですね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
地域との共存
机の上に綺麗に飾られた花。
これはある日のNさんが近所の庭先からちぎってきた花達。
花がちぎられる度に、その家へ頭を下げにいきます。
悪気はないにせよ、その家の方にとっては嫌な思いをされるものです。
それでも暖かい声が返ってきます。
本当にありがたい事です。
頭が下がります。
私達の仕事は花をちぎらないように施設に閉じ込める事ではありません。
ご本人の意思があれば、「外出すること」を支援するのが仕事です。
当然その外出中に起った事をフォローするのも仕事のうちです。
ただし、地域の方々に理解をお願いできても、我慢して下さいとは言えません。
これは施設の存亡をかけた挑みでもあります。
ー地域との共存ー
決してゆとりがある訳でない施設運営。
どこまでも正直に一生懸命事業を行うと、厳しくなるのが今の制度です。
その中で苦渋の決断を行い、Nさんの外出に張り付けれるよう、職員を加配しました。
ご家族も悩まれています。
地域の方々も悩まれている方がみえます。
職員も奮闘しています。
全ては憲法で保障された人権を守るためにです。
きっとその先に何かがあると信じて、今日を明日を踏ん張ります。
障害を持っても、認知症になっても「人として生きる姿」を追求する。
これこそが、私達の業界に求められる大きな使命と言えるでしょう。
そのためには地域との関係は欠かせないものとなります。
精一杯、できることを、やれることをやる。
そんな姿勢を地域にも示しつつ、共存を目指していきたいと思います。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
オマケなしで
昨日の午前中の食材買出しの領収書。
端数(1円単位)がない領収書が目立ちました。
もともと端数なしの場合もあります。
いくつかの店主さんは、「まけとくね!」と気をきかせてくれています。
支払いをされるお年寄りにとっては嬉しいことです。
確かにその気持ちはありがたいものです。
でも今度「オマケなしで」とお願いしてこようと思います。
支払いが簡単になると、頭を使う機会が減りますので。
脳トレーニングは生活の中の必然的な行為の中で結構できるものです。
職員の支払いの時はしっかりマケて下さいね。笑
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
買い物の途中でお年寄りの数が増えました。
(後ろから2番目の方)
近所の方です。
時々合流して買い物に行かれます。
素敵ですね☆
生活とは、生活感とは
見学や実習の方々がよく言われる言葉。
「生活感がありますね」
生活感とは何なのか。
生活は自分が「する」ものです。
生活とは主体的に自分の力を使って生きること。
それを他人視点でみると「生活感がある」となります。
「感」とは感じること。
視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚・・・
それぞれの感覚器で、生活しているんだなぁと感じるのでしょう。
そうであることの雰囲気や環境が滝子にあるのだと思います。
お年寄りが主体的に動いているか、話しているか。
互いの関係に豊かさがあるか。
社会と繋がっているか、繋がれる環境があるか。
そしてそれを支えるスタッフの意識や動きがあるか。
生活感を出すには、環境だけアットホームすれば出るものではありません。
そこで暮らすお年寄りの姿がどうなのかが大切なのだと思います。
「生活感」というキーワードを調べると、
「喜怒哀楽の感情を持ち、学び、働くなどの活動を行う、人らしい雰囲気。
また、住まいについて、いかにも人が暮らす所という感じ。」
とあります。
色々な感情を表出できているか。
主体的に活動しているか。
人が暮らしている雰囲気を有しているか。
このような要素を有していると、他者から見て「生活感がある」となるのだと思います。
良くも悪くも「生活感」バリバリの滝子通一丁目福祉施設。
暮らしは続くよどこまでも。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
何種類かあるメインのおかず争奪戦風景
「じゃんけんポン」
未経験の活用
認知症という状態になると、過去には強いが、未来に弱くなりがちです。
一般的に新しい事への適応が難しくなることがあります。
もちろん適応できない訳ではありません。
ですので残っている過去の経験、記憶に働きかけたアプローチが大切・・と言われることがあります。
もちろんそれも大切です。
自分の「強み」で語り、動いている姿は素敵ですから。
しかし、過去に囚われすぎ、過去に閉じ込め過ぎもどうなのかと思います。
グループホーム2階では、過去の記憶、経験値による料理のレパートリーが多いのです。
週間でみると同じようなメニューが繰り返されています。
(ちなみに3階はバリエーションが多いです。というか自分には??が多いです 笑)
頭で描ける、想起できるメニューばかりなので、マンネリ化しています。
それは強みでもありますが、当然余裕、余力が発生します。
できる人が片手間でちゃっちゃかやれてしまいます。
その中で他者の行動が目に入りやすく、批判をしやすい状態になっています。
この状況をどう打開するか・・・
作業量、工程の多いメニューを取り入れるのも手です。
あと、「未経験ゾーン」への突入も必要かと。
未経験の料理は、流れや勝手が分からない分、混乱や不安やストレスがかかります。
自分のやっていることに自信が持てないので、他者のことを気にかけている余裕がなくなります。
そんなメニューを少し織り交ぜておくといいのではないでしょうか。
勝手にメニューの一部を追加変更しても、作る時に「そうだっけ?」となります。
それが記憶障害を活用するアプローチでもあります。
話し合いの途中の過程、その場のやり取りが重要なのですから。
「ちょっと! こんなのでいいの!?」 集中~です。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
体調管理も仕事のうち
ここのところ体調が優れない自分です。
発熱、頭痛、食欲不振、腰痛、肩こり、倦怠感・・・
こんな調子が夜勤に入る当日に起ってしまう始末。
ちょっと早い夏バテのようなものでしょうか。
外部の環境要因もあると思います。
昼間は夏のような暑さになったり、夜は涼しくなったり・・・
でも今回の体調不良の最大の要因は、自分の体調管理能力、意識が足りなかったようです。
最近は夜勤が続くとどうもダメみたいですね。
リズムが戻りにくいというのか、体力の回復が遅いというか・・
以前は(1,2年前?)日中遊んでから夜勤に入り、夜勤が明けても夜まで遊べていたのに・・
歳ですね~。笑
気も体も若いつもりで今まできましたが、どうやら考えを改めなければならないようです。
自分の有する能力の把握は分かっているようで分からないもの。
他人から言われても「そんなことはない」と思ってしまいがちですしね。
大切なのは「自分の能力を認める勇気」でしょうか。
さすがに、今回ばかりは認めるしかないかな・・・と。
特に不規則な勤務体制にある職場では、体調の管理も仕事のうちです。
仕事(介護)の質は自分の体調・メンタルに大きく影響を受けることになります。
勤務に合わせて自分の体調を管理できないうちはまだまだ半人前ですね。笑
今回「できるつもりでいた」自分が、そうでなかった訳です。
時には、ハメをはずす事もあるとは思いますが・・・
その時は気合で。笑
とりあえず今の自分の場合、十分な睡眠でしょうか。
基礎体力の回復を図らねば・・・
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
自分の能力低下の「受け入れ」も大切ですが、「改善」もせねば。
基礎体力のUPに向けて、減量とトレーニングをしたいものです。
目的は、夜勤前後に遊んでも体調不良にならない体作り!ですかね(笑)
波勝崎苑の野生のサルのように、たくましく・・
いざ、伊勢神宮へ! ③
さて、神宮参拝ネタ最終回です。
車椅子マークを付け要介護者が乗っている施設車両ですが、障害者用の駐車場に入れれませんでした。
参道に近い駐車場を利用したかったのですが・・・
事前に許可証の取得が必要だとか、誘導員によって異なるとか、日によってとか等々曖昧な情報が多いですね。
仕方なく、少し離れた有料の駐車場へ向かいました。
元気な高齢者を乗せた観光バスは、バンバン横付けできているのですが・・・
参拝の課題は、車椅子で長い砂利道を進めるのか、最後の階段をどう上るのかといったことでした。
道中の課題については、入り口で砂利道対応の太いタイヤの電動車椅子の貸し出しがあったので、それを利用。
最後の階段については、ノーマル車椅子に階段下で乗り移って頂き、上の方まで上がれました。
(ノーマルを持っていかないと、電動は重たすぎて上げれませんので)
最後の最後の階段は奥行きがないので、職員2人で車椅子の両側を抱えなんとかクリア。
無事参拝することができました。
涙を流して喜ばれていました。
周りの参拝者さん達も協力的でしたし。
すぐに忘れてしまったとしても、道中の過程や、その瞬間瞬間に意味があるのだと思います。
その後は昼食を食べ、もうひとつのお目当ての「赤福」の本店で餅を購入して帰りました。
今後も、主体性の現われである「・・したい」「・・・行きたい」を叶えることができるよう挑んでいきたいと思います。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
帰りのサービスエリアのトイレ休憩時、なかなか入居者さんが出て来られません。
介助トイレなので、鍵を開け中に入らせて頂くと、流すボタンが分からず困っていました。
企業努力による便利・高機能・多機能型トイレもいいのですが・・・
認知症の方が対応できるトイレ環境も考えていく社会ではないでしょうか。
こんなにボタンがあったら、どうしたらいいものか・・・
仲間達
本日は滝子の歓送迎会。
新しく仲間に加わった者、夢を追いかけ去る者。
今までもこれからも、施設でも施設外でも、波の女スピリッツを胸に、挑む姿勢を持ち続けてもらえることでしょう。
会が終わるとお約束の2次会。
今回はカラオケ~♪
素敵な仲間達です☆
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
いざ、伊勢神宮へ! ②
さて、①の続きです。
引っ張ってしまい申し訳ありません。
トイレの前で、ちょうどカバンを持って出てきた一般の方と遭遇。
落し物と気づき、届けようとしてくれたところでした。
いや~本当に良かった!
ご本人さん涙を流しながら戻ってこられ、思わずハグ。
よっぽど不安で心配だったのでしょう。
心配と安心の後には、専門職としての情報収集です。
(立場的にもアセスメントしたいところです)
一般的に強烈な感情を伴った記憶は、保持されていることが多いと言われます。
(アルツハイマー型認知症の研究結果より)
今回の件では相当な不安感や動揺があったはずです。
5分くらい後にさりげなく話しを振ります。
「今までにカバンとか置き忘れたことありますか?」
「そんなことしないわよ。大切なものが入っているから、なくしたら大変!」
・・・・
この方には一般論はあてはまらないようです。
でも置き忘れが毎日やんや言っている他入居者であったらどうだったか・・
ある程度覚えていて、やんや言い続けることでしょう。
実際、日常の暮らしはそんな感じです。
自分自身がどうであれ、他者が言う・やる事の方が気になるのでしょう。
特に自分にはむかったりして、怒った時の記憶保持は少しの間保持されています。
「不安」よりも、「怒り」の場面の感情記憶の方がこの方の場合残りやすいようです。
怒っている時の関わりに注意しなくてはなりません。
でも基本は、「自分のことは置いといて」ですかね。
これは認知症の方に限らず、私を含めた人類共通事項なのでしょう。笑
もう1回だけ伊勢神宮ネタをUP予定です。
次回もよかったら見て下さいまし。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
神宮の人ごみの中でUさんの姿を30秒程見失いました・・・
一般のツアーのお客さんと、バスに向かってました。
誰か気づいて下さいよ~ 笑
約束の地、伊勢へ!
はじめまして。グループホーム2階の和田健二と申します。
どうぞよろしくお願い致します。
(ちなみにあの認知症ケアの巨人、和田行男さんとは血のつながりはありません。笑)
さて、先日、井施設長のブログにもありましたように、三重県出身の入居者Uさんとの会話の中で「お伊勢参りに行きたい」という思いを聞き出したスタッフとは私のことです。
「思いを聞き出した」と言ってしまうと、少し語弊があるかもしれません。
Uさんは、夕方から夜にかけて落ち着きが無くなることが多く、そうなるとなかなか寝て頂けません。
何とかUさんに心穏やかに過ごして頂けるよう、スタッフみんなであの手この手と毎日創意工夫して頑張っているのです。
その日も「何とかUさんに落ち着いて過ごしてもらえないかなぁ」と思い、Uさんとお話をしていました。
しばらくすると、Uさんの故郷のことに話が移りました。
故郷の思い出話をするUさんはとてもイキイキとされ、懐かしそうでした。
「これはもっと何か引き出せるかもしれない」
と感じた私は「三重県と言えば伊勢神宮だと思うんですけど、Uさんは行ったことありますか?」と尋ねてみました。
すると、Uさんの表情がパッと明るくなり「お伊勢さん、いいねぇ。私大好き。若い頃1人でよく行ったよ」と話してくださいました。
調子に乗った私は「じゃあ今度、久しぶりにお伊勢参りに行きませんか!?」と尋ねると、「うん行きたい!行こう!」とおっしゃったのです。
その夜、私との約束を胸に、ぐっすり眠って頂けたUさんでした。
私「これは使えるぞ(ニヤリ)」・・・
その後も、度々私はこの話を持ち出しては、Uさんに心穏やかに過ごして頂けるよう努めていました。
日によって、上手くいったりいかなかったり・・・・
しかし、次第にUさんから次のような言葉が聞かれるようになりました。
「いつになったらお伊勢さんに連れて行ってくれるの?」「どうせ嘘なんでしょ?」当等・・・
私「ガ-ン!全部見抜かれてる!!」
そうなのです。施設長がブログで言っていた通り、Uさんにとっては約束を「交わした」つもりでも、私にとっては、苦し紛れの方便として、その場を「かわして」いたに過ぎなかったのです。
「このままでは嘘になってしまうなー」
「Uさん、行きたいんだろうな。でも実際行くとなると・・・」
「老い先短いお年寄りのささやかな願いも叶えてあげられないで、これが介護って言えるのだろうか?」・・・
そんなこんなが頭の中をグルグルグルグル・・・
「行ってみようか?伊勢」
その矢先でした。施設長からその言葉を頂けたのは。
「・・・そうだ!ここは波の女なんだ!」
入居者の思い、願いは可能な限り実現して差し上げる。
それが波の女スタイル。
大事なのは「そうだ 伊勢行こう」という瞬発力だ。
これを実践していこうという空気が波の女には溢れている!
それからはとんとん拍子にことが進み、ついに先日(5/22)伊勢神宮へ行ってきたのであります!!
それなりにドタバタがありましたが、結論だけを申し上げると、Uさん、参拝した時に涙を流して喜んで下さり、行って本当に良かったと思いました!
ちなみに参拝後、Uさんに「私をどこに連れてくの」「こんなとこ来るんやなかった」と、どやされました。
予想通り!笑
でも、それでいいんです!
その一瞬に涙を流してまで喜んで頂けた、そのことを大事にしたい。
そのことにこそ認知症ケアの醍醐味があるんだと思います。
Uさんと知り合って、これまで色々なお話をしたり、色々な場面で介助をしたり、色々とプラスのこともあればマイナスのこともあったりして、今日まで何とかくることができました。
Uさん、入居者・スタッフの皆さん、本当にありがとうございましたー!
長文・拙文 失礼致しました。
グループホーム2階 和田健二