豊かな食材環境
滝子通一丁目福祉施設のグループホーム・小規模多機能型居宅介護の食事は、食事の都度、利用者・入居者より食べたい物を伺い、その食材を買いに行き、皆さんで食事を作っています。
自分の食事は自分で考え自分で作る・購入・食べに行くが基本ですからね。
これは私達も、障害を持たれた方も「同じ」ということです。
それが人として生きる姿の基本であり、「普通に生きる」を支援するということは、そういうことだと考え実践しています。
しかし認知症の状態にある方は、なかなか食のイメージが想起しにくい状況の方が多いのが現状であります。
ですからスタッフが選択肢として、「魚?肉?煮物?揚げ物?麺類?」等々のキーワードで、食のイメージを持ちやすいように支援しています。
そんな流れで、決まったメニューに必要な食材を利用者・入居者と買いに行きますが、その購入の際に余分にあれやこれやと食材を追加で買ったりすることもあります。
それは食材が目の前にあることで、料理のイメージを持ちやすくするための支援策であり、豊かな食事作りの場面作りに一役買っているのだと思うのです。
机の上に広げられた食材を見ることで、その組合せや調理・味付けにより、さまざま料理へとレパートリーが広がっていくのです。
決まったメニューの食材を買い料理を作ることも、豊かな食材を基に料理を作ることも大切にしていきたいと思います。
「肉に糸こんにゃくとネギがあるから、すき焼きにしよっか♪」
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
昨日は休日。
午前中は、以前から参加していた事例検討会に参加し、午後は天気が良かったのでスノーボードをやりに。
久しぶりでしたが、体は覚えていてなんとか3000メートルの滑降。
「冬はやっぱ山でしょ!」
あれから3年
あれから3年。
復興が進まない現地。
私達の意識・行動は何か変化があったのだろうか?
(今年2月15日 福島県の仮設住宅・仮設グループホーム訪問時の様子)
福島県では震災による直接死よりも関連死が上回ったとの報道も。
高齢者を中心に、環境の変化による体調悪化と帰還の見通しが立たないストレスが影響しているとか。
まだまだ震災は終わっていない。
いや、ずっと終わらないのかもしれない。
被災地訪問の時に、仮設グループホームのスタッフさんはこう言った。
「自分が生きているうちはもう帰れないだろう・・」
私達に何ができるのだろうか。
何をすべきだろうか。
他人事ではなく、自分の身の回りのこととして捉えていかなければならないのではないでしょうか。
(平成26年3月10日現在)
死者 15884人
行方不明 2633人
災害関連死 2916人
(震災後の肉体・精神的疲労が原因で亡くなったり自殺に追い込まれた方)
14時46分には利用者・入居者・スタッフで黙祷を捧げさせて頂きました。
涙を流される方もいらっしゃりました。
そして、避難誘導訓練を実施。
学ぶこと。
備えること。
活かすこと。
忘れないこと。
追悼の意を捧げさせて頂きます。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
強制外出
3日前のことになりますが、1,2階のグループホームフロアは清掃業者さんに入って頂いての大掃除の日でした。
当然入居者さん達は、「強制外出」せざるを得ない状況です。
でも半数くらいの入居者さん達は、「これ幸い」とばかりにお出かけができると盛り上がってみえました。
前日までスタッフと入居者さん達との間で、「どこいく?」「なばなの里?」「おちょぼ稲荷?」「南知多?」と決めきれないでいました。
結果、お一人の体調不良者を除く17名の入居者で「南知多 海の幸&えびせんべいの里ツアー」へ出かけてきました。
レンタカーを含む4台での大移動です。
高速で約1時間の旅の到着地は、地元では有名な食堂です。
海を望みながらの海の幸づくしで皆さん大喜びでした。
おおきなエビフライを手で握り締め、ほおばる方もみえました。笑
その後は、せんべい試食の食べ放題で有名な立ち寄りスポットへ。
皆さん食べる食べる。
自分が振舞っているかのごとく、「これもたべや~おいしいよ」と配り歩く方の姿も。
ということで約6時間の外出となりました。
今日も「いいとこ行けてよかった」と声をかけてくれる方もみえました。
スタッフも「素直に楽しかった」と言っているのが良かったです。
今回の全体外出の準備段取りのほとんどは、スタッフお任せにしましたが、皆さん必要な物を主体的に準備していましたし、外出時の注意の払い方もしっかりやれていたようです。
皆、成長したなぁと感じれるいい機会でしたが、一番嬉しかったのは、入居者さん達の生き生きした姿が見れたことでしょうか。
入り口は強制外出であったとしても、それを楽しみに変えてしまうたくましい入居者さん達の姿を見れて良かったです。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
地域社会の一員として
本日、ゴミ拾いを行いながら買い物へ行きました。
それにしても、たくさん落ちているものですね。
障害をもっても地域社会で普通に暮らすことを目指している私達ですが、日ごろから地域の皆さんにどれだけ気にかけて頂けていたり、助けられていたりすることか・・・
地域の方々に理解・協力をお願いすることばかりではなく、私達にもできることは何かあるのではないでしょうか。
そんな中から互いに助け合って共存を目指す、ひとつのアプローチです。
ゴミが落ちていたら拾う。
自転車が倒れていたら戻す。
「地域社会のために!」なんて気負いで行うのではなく、「当たり前」のセンスで活動していきたいものですね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「おカネは落ちてないのね・・・」
やり遂げる力
昨日は雨模様の名古屋。
基本雨でも買い物に行きますが、傘や雨具を使って安定し歩行できる方々が行かれます。
参加人数は少なくなるのが通常ですが、昨日は各階一人ずつしか希望者が出ませんでした。
という事で急遽「今日は車が出ますよ」と案内し、「それなら・・」と追加希望者が増えました。
そのような場合店舗入り口近くの障害者用の駐車場には停めず、少し離れた場所にわざと停め、傘をさす機会、雨を感じる機会、歩行する距離を伸ばすように仕掛けます。(参加者の状態に応じてです)
買い物が終わり休憩所でお茶をしていると、お一人の入居者さんが「トイレの行ってきます」と立ち上がられました。
歩行能力はありますが、認知力が怪しい方です。
しかし「では行きましょう」と付き添いをすることなく「あちらの方にあります。行ってらっしゃい」と送り出し、後からついていくことにしました。
この方の「有する能力」を見極める場面だからです。
最初はキョロキョロと、トイレのマーク、トイレらしい雰囲気の場所を探されていました。
しかし「分からない!」と思われたのか、途中にあるクリーニング屋の店員さんに聞いて教えて頂き、トイレにたどり着くことができました。 これも能力ですね。
とりあえず目的地にたどり着けてやれやれですが、ここからが肝心です。
目的を達成した後、何のためにここにいて、どこへ行くべきかを覚えているか、戻ることができるのかどうかです。
トイレより出られた後、出入り口より外に出ようとはされませんでした。
キョロキョロウロウロ。
どうやら、「待ち合わせをしている人」がいて、「そこに戻る」ということを覚えてみえるようです。
しかし店内は広く、お客さんも多く、正確に休憩場所へ戻るには不慣れと情報量が多すぎのようです。
(週に3回しかこないスーパーですので)
それでも目印や人など、頼るべき情報を探そうとされているようでした。
もちろん、目的が失われていたり、混乱がひどい場合には助け舟を出すのが僕の仕事です。
でも、そのタイミングはもう少し先だと判断し、その方の有する能力を信じ、見守りを続けさせて頂きました。
すると、支払いが終わり食材を袋詰めしている下の階の入居者と職員を見つけたようです。
そしてそこへ行き、どこに行くべきかを尋ねられたのです。
他のだれでもなく、見たことのある顔だと認識されたのでしょう。
「さすが!」
もとの場所へ戻る道筋は覚えれなくても、今自分の置かれている状況を記憶・判断でき、誰に聞くといいのかを判断できる能力があるということです。
ということで自分の力でトイレに行き着き、目的が達成された後に、もとの場所へ戻るという事をご自身の力でやり遂げる事ができたということです。
普段、違う階で支援に当たる職員の顔を覚える力を有しているということも分かりました。
このような「自分の力を使って生きる」姿を支援するのが私たちの仕事で、親切心で付き添って案内していては、このような能力を発揮する機会を奪ってしまうということを自覚せねばならないのだと思います。
このような機会は日常生活の多くの場面で存在しています。
時に相手の能力を見極める機会としたり、相手の能力を信じて時間を委ねてみることを意識するのも大切なのではないでしょうか。
「皆さんどこ行っちゃったのかと思った・・・」
「何言ってるの!あなたがどこかに行っちゃったんでしょ!」
どんまい。笑
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
主体性を引き出す支援の延長線
もうすぐ21時になる頃の、本日のグループホームのリビング。
写真に写っていないのですが、手前にも二人みえます。
新聞を読みふける方、お茶を飲んでいる方。
奥ではパジャマ姿でコーヒーを入れて飲もうとしている方もみえます・・
「寝る直前のコーヒーは、睡眠を妨げますよ」とスタッフの声かけに対し、「いつも飲んでるけど寝れるから大丈夫」と。
3人は布団の中ですが、残りの6名は「まだまだ夜はこれから」と言わんばかりの雰囲気。
皆さん自由だなぁ~
このような姿がみられるのも、日ごろからの主体的な支援の延長線なんでしょう。
なんと夜勤者泣かせな、たくましい認知症の方々でしょう。
でも、素敵な姿ですので、応援するしかないですね☆
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
そうそう、波の女「滝子通一丁目福祉施設」が表紙になっている雑誌が、3月8日に発売されます。
もちろん和田行男のページもあります。
「お知らせ」の方もご覧下さいませ。
ご家族の力を借りて
本日、来設頂いたご家族からの申し出がありました。
「記録を見せてもらっていですか? 日ごろの様子はどんな感じかと思って」
もちろんOK。このような機会を待っていました。
月に1回、グループホーム全体の活動の様子、事故発生状況、職員体制、その他の情報を紙面にて出していますし、各フロアごとから個人個人の写真で様子を伝えたり、来設時にも口頭で情報伝達をしています。
しかしそれだけの情報では、なかなか個々の様子をお伝えするには難しい現状があります。
という事で、今回のような申し出はありがたいことで、ご家族にとっても職員にとっても大切な機会だと感じました。
ご家族が読む事を前提に、表現や情報を記録に残すことを職員が意識することに繋がるといいと考えています。
コピー代を負担して頂ければ、1ヶ月分の介護記録全部、その他を毎月ご家族に渡す事もいいかも知れません。
ご家族に対し、介護の質の透明化や情報伝達共有を図り、入居者を支援する側の仲間としてご家族の協力も得たいものです。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
今日は天気もまずまず。気温も暖かく風も少ない絶好のお出かけ日よりの名古屋。
グループホーム2階全員で梅の花祭りが開催されている大高緑地へ行きました。
梅は咲きました。桜ももうすぐですね。
「声を合わせて1、2,3」
普段の階段昇降の能力の見極めができていると、外出時の段差遭遇時に安心感と対応のしやすさがありますね。
思いに応える
プロフェッショナル放映後、入居者さんに迷惑をかけないようにとしばらくの間、見学等のお断りをしていましたが。1年が過ぎた頃より、可能な範囲で見学や実習の受け入れを少しずつしてきました。
とはいいましても、「見てみたい」という程度の見学や自習は基本的に受けたくないと考えています。
和田行男の講演を聞いたり、大逆転の痴呆ケアを読んだり、プロフェッショナルを見たりして、「これだ!」と感銘を受け、「人として生きる姿を追求したい」「婆さんず開放運動」を展開したいという熱い思いを持っていたり、奮闘している方々を応援したいと考えています。
ということで本日は静岡県より2名来られてました。
4月にグループホームを開設されるとのことで、熱いメッセージを頂いたので、その思いに応えさせて頂いたところです。
熱心に朝から夕方まで、見て、聞いて、感じて、Q&Aさせて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
正直、見て頂くことがお恥ずかしいこともあると思います。
でも、同じ方向を目指す仲間との交流は、波の女にとっても刺激を受けることだと考えています。
互いに高みを目指す仲間を、全国に広げていきたいものですね。
静岡の高橋さん。
応援していますよ。
共に、目の前の方々のため、国民のために尽力していきましょうね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
障害が認知症があっても
「晩酌のつまみを買おうかな・・」
「暗くなっても行こか」
「試食大好き」
「雨にもマケズ」
「脱走計画打ち合わせ中」
「日向ぼっこ」
「無言の二人」
「寝ながら」
「ガラガラガラ」
「道は続くよ・・」
「ガオー!」
「波の女スタッフ募集中!」
皆さん、たくましく暮らしています。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「行方不明」から何を学ぶ?
本日夕方、野村さんが行方不明になりました。
職員総出で捜索する中、約3時間後に警察で保護され施設へ戻られました。
最初部屋に入ると不機嫌でした。
家の近くまで行かれたものの、たどり着けなかった模様。
発見現場は施設より6.5kmほど行かれた場所で、自宅より1km先でした。
疲労感はあるものの、怪我もなく無事に戻れてよかったです。
おかしいと感じた方が、後をついていきながら通報してくれたのが発見のきっかけでした。
その影で、どれほどの方々が尽力して頂けたのでしょうか・・・
施設近所の方々も心配し捜索に加わりました。
野村さんのご家族も加わりました。
瑞穂区のSOSネットワーク関係の方々も。
名古屋市全域の警察、消防の職員の方々も。
皆、必死に一人の命を守るために捜索して頂けました。
心より感謝申し上げます。
その反面、ご本人にとってはきっと「自宅に戻る」とあたりまえの感覚と、付き添いや見守りのない主体的で有意義な3時間だったのかもしれませんね。
課題は、あと一歩で自宅に帰りつけなかった事でしょうか。笑
どうせなら、自宅に帰りつけるようにルートの確認をしながら「自宅にたどり着ける」支援を試みたいものです。
帰ってきてからの風呂場にて。
保護しにいった警察官に、噛み付く等の大暴れをしたそうな。 たくましい・・
主体的というか、本能的というか・・・思いを行動に移せるって素敵ですね☆
それを見守り、寄り添って頂ける近所の方々も素敵ですね☆
職員も入居者・利用者、施設も、地域の助け合いの中で生かされ活かされているのだと思うと心が温かくなります。
さて、地域の方々へ何を還していきましょうかね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治