「予測力」たらず・・
「予測」:物事の成り行きや結果について前もって 見当をつけること。
本日の入浴介助中、風呂場の洗い場で便を多量にされてしまった方がみえた。
ご本人に申し訳ない。
この方、排泄をするという意味や行為は分かるが、トイレの場所の見当をつける事ができないのを知っていた。
にも関わらず、トイレ誘導せずに直接入浴へお誘いしてしまったのでした。
見当を付ける力、判断をする力が衰えていくのが認知症の特徴の一つであります。
当然、服を脱いで座ればご本人にとっては「排泄をする」になってもおかしくはありません。
その方その方の状態によって異なりますが、この方はその可能性があるということです。
その事を「予測」できていなかった自分がいます。
先にトイレを済ませてから、入浴を誘うべきでした。
認知症介護は「予測力」が大切です。
認知症の特性、ご本人の特性を知り、この後どうなるかを予測して先に手立てを講じる。
それが専門職というものでしょう。
風呂場で失敗させてしまって、誠に申し訳ない。
失敗から学び、同じ過ちを繰り返さないようにしたいと思います。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「南の島」で一息
3連休を活用し旅へ出かけました。
行き先は、沖縄の南西約400km、名古屋から約2000kmの石垣を中心とする八重山諸島です。
行程中、ずっと雨☂雨。
一時は台風並の暴風雨も。
太陽を仰げたのは行き帰りの飛行機の中だけでした。
3日間フェリーを使い、石垣島、西表島、竹富島、黒島を徘徊。
(雨でも綺麗な海ですね)
西表島で聞いた話。
「島のおばあ(現地高齢者の通称名)がノーヘルで走ってて鍵を取り上げられてた」
その方、頭をオレンジに染めてヘルメットに見たてようとしたけど、だめだったそうで(笑)
警察官はその方の事を考えて(先を予測して)鍵を取り上げたのでしょう。
人権だ、規律だ、職権乱用だという事ではなく、「仕事」をしたんでしょうね。
それにしても、暖かかったです。
ずっと雨でしたが、日中23,24度、夜間20度くらい。
ロングTシャツにクロックス(ぞうり)で過ごしていました。
ちなみに期間中体調がすこぶる良く、アレルギー等の薬を飲まなくても大丈夫でした。
環境やメンタル面が体調に及ぼす影響は大きいですね。
「病は気から」
皆さんも、要介護の方々も、「気」を整え、満たされるような関わりや生き方を大切にしないとですね。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
カニのチカラ!!
外へ出ると、シクラメンや柊の花が咲いているのを見ると冬を感じます。
クラブ滝子の食費が多く残っていた11月下旬。
利用者のみなさんに「こんな時はどうしましょう?」と日々聞いていたところ、
利用者「カニを食べに行くのも良いね~!」「カニ食べに行こうよ!」とノリノリ。
冬はカニの一番美味しい季節ですよね~。≪ザ・旬!≫ですよね。
10月からクラブ滝子を新規利用されているAさん。
独居で認知症があります。
「嫌いになってしまうと、とことん断固拒否となるので臨機応変に対応できる小規模多機能が良いと思うのですが・・・。」と
紹介者からの相談でした。
Aさん「“養老院”“デイサービス”なんて、私にはまだ早い!だって独りで暮らせてるもん。」と
“通いサービス”へ結びつかず、毎日の“訪問サービス”を日々慎重に重ねていました。
もしかして、Aさんをカニで “通いサービス”へ誘えるかもしれない!と考え、
前日夜、安否確認の電話折りに
職員「明日、カニを食べにいくのですがご一緒しませんか?」と投げかけてみたところ
Aさん「高いでしょう?」と慎重。
食費は昼食600円なので、
職員「600円ですよ~。」と伝えると、
Aさん「え~?ほんなら行くわ~嬉しい!」と。
すぐ、メモに書いて貰いました。(大事な予定をメモに残す習慣があります)
気持ちが動いた!と嬉しい限り。
しかし、明日になると、覚えてはいないだろうから・・・。この流れを!と気合が入ります。
そして翌朝、訪問前の電話、
職員「今日は、カニを食べに行きますよ~。」
Aさん「え~?初めて聞いたけど?」と。
職員「メモに書いてたと思いますが・・・。」
Aさん「あった、あった。11月30日カニ食べに行く。600円って書いてあるわ。
って600円なの?」
職員「600円ですよ~。お昼前に迎えにいきますね。」
Aさん「これからモーニング行ってくるで、昼前に家に居るで宜しく~。」
よ~しッ!!
11:00
自宅へ電話をかけると留守・・・。
いつもの喫茶店へ車でお迎え。
Aさん「こんにちは~。いつもありがとね~。今モーニングしていたところ。」と笑顔。
少々雑談しているなかで、カニの事は覚えていません。
職員「これから、カニを食べに行くのですが、ご一緒しませんか?600円で食べられの!」
と他客さんを気にしながら話かけたところで
Aさん「今~!?前もって行って貰わんと困るわ~。」と大きなリアクション。
職員「ごめんなさいね~。」と言っているそばから
他客さん「前もって言っていたのを、忘れていたんでしょうに。」と。
(ここは反省。店を出てから誘うと良かったのに・・・ごめんなさい!)
Aさん「そんなこと言ったって~。」といいながらも渋々乗車していただけました。
乗車してからは、他利用者と談笑を楽しまれています。
到着すると既に・・・
カニ会席では、カニを井の一番に召し上がり、
Aさん「楽しいわ~。」と談笑されながら、
「私のにカニ入ってないよ~。」と言っては次のカニ料理が届きます。素敵なお店です。
全て完食されて食後のコーヒーを味わい、そのままクラブへ。
「初めて来たわ~。」と他利用者と若い頃の仕事の話などで談笑。
クラブでの滞在時間は、1時間程でしたが、気持ちよく帰宅されました。
その後、今月に入ってからは週3、4日通いサービスを利用されています。
(決して、都度カニではありませんよ。カニは11月30日だけです。食費が持ちません。)
通われるのが定期的にというには至っていませんが、
「独りでいるより楽しい。」と言ってくださる言葉に救われています。
この先、独居生活をされている方が認知症を抱えた状態になることは増加傾向していきます。
決して孤立せず、自宅での暮らしが続けられることを応援するのが、小規模多機能型居宅介護の大事な役目の一つです。
今までの暮らし、ご近所付き合いなどから切り離すことなく、必要な部分への支援を一丸となって挑みます。
それにしても、カニ様~!
私もカニが600円で食べられるなら「嬉しい~!!行く!!」です。笑
滝子通一丁目福祉施設 副施設長 佐藤 恵美子
さわやかな時間
夜勤明けの朝の出来事です。
日勤の副施設長が洗濯物を取り込み仕分けしたものを、リビングにおられた利用者さんの前に置き、「畳んでもらえますかぁ」と声掛けをしました。
調理などお願いすると「わからない」と言われ、状況によっては気分を害されてしまうことが少なくないTさんが洗濯物からハンガーをはずし、丸めるように畳み始められました。
キリがついたところで、「部屋のタンスに納にいきましょう」と声掛けをすると「そうですね」と返事をされ、私は部屋までいっしょについて行きました。
部屋に行くと「ここで良いですか」とタンスの上に置こうとされたので、「タンスの中に入れましょう」と声かけしながら、引き出し一段一段に靴下、肌着、上着、ズボンと整理しながら納めました。
Tさんは入っていたものと重ならないように自分でスペースをあけ、丁寧にいれられて引き出しを戻し、
「出来た!」
と手をたたかれ満面の笑顔を見せられました。
次に和室に仮干ししてあった洗濯物をベランダに干すのを手伝って頂けますかお聞きすると、「出来るかしら?」と。
ハンガーに掛けた洗濯物をいくつか持って頂いてベランダに。
物干し竿に一生懸命ハンガー掛けようとされるが、竿が高く焦点が合わず、自分では掛けられませんでした。
それでも私に洗濯物を渡す役目を果たされ、「先生は上手ね。」と言いながら干し終わると、再び
「出来た!」
と手をたたき笑みをみせられました。
私は調子にのって、カバーがかかっていない布団が沢山あるのを思いだし、、今度は一緒にカバーの中に布団を入れました。
最後にファスナーのチャックを開けたり閉めたりされながら、最後は私が手を添えて一生に完了すると
「出来た!」
と今度は万歳万歳と手を挙げながら喜ばれました。
日頃、自分が出来なくなってしまった事を嘆き、塞がれることが多いTさんのこんなに沢山の笑顔を見られて私も楽しくなっていました。
例え人は病で認知症の症状が出ていても、自分に残された能力で役割を果たせたとき、大きな喜びを得られ、生活を豊かなものにしていくことができます。
その能力を引き出すことが、我々の使命だと改めて感じさせていただきました。
そしてそしてさらに、リビングに戻り一息つこうとしたらTさんが、私の方にまだ何かをしたいという笑顔で寄ってこられました。
そこで和室にあったシーツなどを協力してたたみました。
勤務時間も過ぎて夜勤終了となりましたが、こんなにすがすがしく勤務を追われたのは、初めてだったように思います。
このように利用者さんの能力を、いつも引き出せる支援ができるように、頑張らなければとかんじた1日でした。
小規模多機能・クラブ滝子:宮松 誠
「方向性」
組織のトップからリーダーや主任等の育成側の職員の間で、介護、仕事、施設理念などの「方向性」が共通認識、実践されているでしょうか?
この層が互いに信頼感を持ち、タッグを組み、同じ方向を見て進んで行こうとする姿勢がなにより大切です。
そうでなければ、そこで仕事する職員や入社した職員は、
どこに向っているのか
何のために仕事をするのか
などの「方向性」を感じられず、モチベーションが下がっていくかも知れません。
その「方向性」の基にあたるのが、「介護保険法の基本方針」であります。
そしてそれに基づく「施設理念」というものがそれぞれの組織にあると思います。
私達は常に周りの環境に影響を受けていきます。
職員は、その組織の中で流れている空気感や雰囲気といいますか、志気というものに影響を受け「感じ」「考え」自ら育っていくものです。
ですから職場内の「方向性」とそこに挑む姿勢といったものはとても大きな影響力を持っていると言えるでしょう。
それを波の女では利用者に対しても、職員に対しても「風を吹かせる」といった表現を用いたりします。
「一緒に頑張ろう!」「助け合おう!」「一生懸命やろう!」目の前の方のために。
そんな活気のある風を職場内に吹かせていくのは職場内の司令塔の大切な役割です。
後から入ってきた職員は、上の職員を見て感じ育つものです。
皆様の職場環境はいかがですか?
滝子でも確認し合っていきたいと思います。
「自分のことは自分で」
「互いに助け合って」
「社会と繋がって」
~人として生きる姿を追求します~
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
ペース配分と配慮
午前、午後と1日2回、食材を購入しに往復1.5kmを歩きます。
職員が支援に付き添うのですが、仕事をしないとこの通り。
(安全を確認した上でです)
どんどん先へ行ってしまう方、置いていかれる方。
一緒に歩くは要介護であり認知症も有する方々です。
認知症+性格+身体能力+環境によりこのようにバラバラになってしまうのは当然の結果です。
ですから職員が仕事をしなければなりません。
その日、その時で買い物へ行かれる顔ぶれは異なります。
その都度、個々の能力と群れ全体の動きを予測しなければなりません。
二人か三人の職員が互いに協力し合いながら、あ・うんの呼吸で群れをリードします。
リードと言っても「連れて行く」にならぬように配慮が必要です。
可能な限り能力や主体性を前面に出せるように支援します。
群れの中で一番遅い方やリスクが高い方に合わせる必要があります。
そして身体能力がある方をさりげなくリードする必要があります。
ただついていく、連れて行くとは異なり、高いスキルが要求される生活動作支援。
滝子の職員はたいしたものです。
それにしても、いつも声をかけて頂けたり、一緒に歩いて頂ける近所の方々の存在はありがたいものです。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「情熱」を持てるか
「情熱」・・ある物事に向かって気持ちが燃え立つこと。また、その気持ち。
では、「ある物事」とは?
滝子では「人として生きる姿」を追求するということです。
これを追求するために気持ちを燃え上がらせることができるか・・・
情熱を持てる人に敵はありません。
それには現状を打ち破る強い意志が必要です。
どうしてもやり遂げるという意思です。
意思があれば行動に表れてきます。
情熱には迷いがありません。
進むべき方向に突き進むのが情熱だからです。
やり遂げようとする意志こそ情熱なのです。
情熱の前に敵なし。
滝子ではそのような挑む姿勢が大切です。
一生懸命の姿勢が必要です。
情熱は分かりやすくもあります。
外から見ていれば一目瞭然です。
「情熱」を持てる専門職集団
来春から3年目に突入するにあたり、自分の中に情熱があるか確認していきましょうね。
または、情熱を持てるように努力していきましょう。
情熱なくして「人として生きる姿」を支援・取り戻し・創造できず。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「くっつける」
滝子の看板役「野村さん」
相変わらず単独行動バリバリの日々。
おかげで他入居者と折り合いが悪い現状。
感情を読む力に長けているので、よけい悪循環になるばかり。
男性スタッフは連れ出されるか、追いかける日々。
皆「仲良し」は難しいにしてもなんとかならないものか・・・
仲の悪い方と接点がないようにするのは誰にでもできる対処法。
あえて「くっつける」事に挑むのが仕事ではないか。
ということで、他の入居者と一緒に買い物に。
遊びに行くお出かけと比べ、以外に群れて移動できる。
色々配慮が必要ですが、買い物中もぼちぼち。
買い物前後の休憩もぼちぼち。
午後からも野村さんを含む全体にアプローチ。
まずまず。
介護は映し鏡。野村さんは特にそう。
私達の挑む姿勢や気持ちが反映されやすい。
対処的に他者と離そうとすると、かき乱され気味になる。
あえて関係性を作ることに挑むのが仕事ではないか。
難易度は高いが、「挑む姿勢」を試されているのかもしれない。
プロとして諦めず、挑み続けたいものです。
あの手この手で「くっつけて」みよう。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「先生」
「先生すみません」
入居者、利用者からそう呼ばれる事があります。
なぜ、そう呼ぶのでしょうか?
「先生」とは
1 学問や技術・芸能を教える人。特に、学校の教師。
2 師匠。
3 医師・代議士など学識のある人や指導的立場にある人を敬っていう語。
4 自分より先に生まれた人。年長者。
5 専門家、その他の有資格者、専門性の高い人。
その他にもあると思いますが、相手からみて自分に当てはまるものはありますか?
1~4という事はないでしょう。
でも 5 の「専門家」という立ち位置に自分がいるのでしょうか?
利用者、入居者側の言動をみてみると、
1「○○さん」という名前、固有名詞で呼ばれる
2「ちょっと」「すみません」「あの~」と言われる
3「呼ばない」
4「何らかのサイン」でアプローチされる
5「先生」と呼ばれる
6「お兄さん」「お姉さん」と呼ばれる
7 その他
自分の場合、「井さん」と名前で呼んで頂けるのは、31名の入居者、利用者のうち5名です。
利用者、入居者の思考、能力から想像してみるとどうでしょう。
1 覚えられない
2 覚えにくい
3 助けてくれる人
4 親しくなりたい人
5 大切な人
6 その他
1や2は、ほとんどの方が多かれ少なかれ「記憶障害」という状態であるので当然かもしれません。
そのような自分の特性を理解し、それに適応し、社会の中でうまく生き抜くための技なのだと思います。
「先生」と呼ばれて、気を悪くする人はそういるものではありませんからね。
しかし記憶障害があっても、名前を覚えてくれている方がいるのも事実です。
人と人とのコミュニケーションは互いの存在を認め合いながら行うものです。
そのために固有名詞である「名前」をくっつけて会話をする事が一般的です。
積極的に自分の名前を覚えてもらう必要はないと思いますが、時々さりげなく私の名前は「○○です」と伝えてみてはいかがでしょうか?
職員の事をどう呼ぶのかは、ご本人の選択です。
暮らしの中でのさりげない脳トレみたいなものですね。
相手にとって、自分がどういう存在なのかも関係してくるとは思います。
きっと覚えることができる方、多いと思いますよ。
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治
「あなた ここどこの海?」
「1000日目」
3.11の震災より1000日目
1000回 日は昇り
1000回 日は堕ち
風化しつつあるあの日の記憶
でもまだその渦中に大勢の方々がいるのも現実
そして誰の身にも降りかかる可能性を秘めている
災害から何を学び
災害にどう備えるか
人の「命」を支える私達の仕事
自分の身を守り
家族の身を守り
利用者の命を守る
そのために、日頃からの「備え」を考えよう
皆さんはどう備えていますか?
「備えよ常に」
ボーイスカウト活動の創始者 ロバート・ベーデン=パウエル卿
~謹んで哀悼の意を捧げさせて頂きます~
滝子通一丁目福祉施設 施設長 井 真治